愛しのアイリーン [DVD]

監督 : 吉田恵輔 
出演 : 安田顕 
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988021147903

感想・レビュー・書評

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  • ヒロインこそ健気で愛しいフィリピーナですが、岩男といいその母といい粗野で身勝手で偏見に満ち、同じ日本人として見ていて恥ずかしい。ヤクザを殺してからの岩男の暴力的で性に暴走する変身ぶりにも引きました。ようやくアイリーンと絆が生まれたところなのに。でも、監督はそれも人間の弱さとして、見つめる視線は優しい。それも共感できませんが。コミカルな割には多くの人が死にます。アイリーンは岩男の子供を宿しているし、実家を支えないといけないので、これからも逞しく生きていくのでしょう。頑張れ アイリーン!

  • なんだかすごい映画を観てしまった
    安田顕さん、木野花さん、演技が凄い…
    フィリピン人アイリーン役のナッツ・シトイさんもキュートで、演技力に引き込まれた
    安田顕さん演じる岩男が まぁクズなんだけど なんだろう…不器用な男なんだろうなってのは感じた

    バイト先にフィリピン人のお母さんがいるハーフの女の子がいるんだけど、その子もお母さんに仕送りしていて、偉いなぁと思う
    日本は姥捨山(今はそんな事ないだろうし、親に仕送りしてる人もたくさんいるだろうけど)かたやフィリピンは子が親の面倒をみるのはあたりまえっていう 国が違えば文化も違うってのをまざまざと見せつけられた感が強い

  • 漫画は相当コミック表現だったが、ほぼそのままの味で、そのままの筋で、実写化されている。
    何よりも主演ふたりの演技……というか、もはや存在感で映画を持たせている感じがある。
    安田顕は原作漫画ほど「図体が大きくない」が、そのデカさとマグマ的性的鬱屈とを、実に的確に表現していた。(オマンゴー! はもちろんだが、おめーの生理どれだけなげーんだ、エブリデー、コツコツマネー、300万払ってるんだぞー! という台詞も面白い。)
    というか、本物っぽかった。
    さらにナッツ・シトイ!
    原作漫画ほど(もちろん)幼くないが、体格の小ぢんまりした感じと、何よりキュートな顔と動きと!
    ついエクスクラメーションマークを使ってしまうくらい、この人が素敵だった。
    というか、本物っぽかった。
    このふたりをキャスティングした段階で勝っていたのではないか。
    そこにさらにマンガチックな母や、薄幸そうな同僚や、女衒やが絡んでくるわけだが、やはりみな顔だちと佇まいと演技が、原作にハマっている。
    やはりキャスティング勝利の映画だ。
    フィリピン女性が、雪景色の中、半纏を羽織って、イヤーマフを当てて、という格好をするのだが、ここが話的ドン詰まり感覚も相まって、可愛いんだか愛しいんだか感情がかき乱されて。
    筋を表面的に見れば、嫌悪感を抱く人もいるに違いない。(特に個人的には、「おもひでぽろぽろ」と同じく余所から嫁をもらってくる感覚とか、余所者を受け入れるとか受け容れないとかいう田舎モンのエゲツナサを代表する木野花に、胸やけした。)
    それだけアクが強いお話だ。
    だが、いいも悪いも価値判断はすべて捨て去って愛しさが残る、人間の業そのものが愛しくなってくる。
    ここまで来れば映画に限らず創作物は勝ちだろう。

  • 新井英樹の同名マンガを、吉田恵輔監督が映画化。
    観る前に想像していた熱量をはるかに上回る、情念みなぎる映画だ。

    私は吉田恵輔作品ではオリジナル脚本のもの(『純喫茶磯辺』『ばしゃ馬さんとビッグマウス』『さんかく』など)が好きで、原作もの(『ヒメアノ~ル』『銀の匙 Silver Spoon』など)は一段落ちると思っている。
    その印象は変わらないが、本作は原作ものの中では突出してよいと思った。

    主人公やその母親などのルックスは原作と似ても似つかないし、ストーリーも随所でアレンジされている。それでも、原作の「核」をきちんと抽出している映画化だと思う。
    吉田監督が原作から強い影響を受けたことを明言しているように、原作との共鳴度の高さゆえだろう。

    吉田監督の映画には、立派な人間が一人も登場しない。誰もが少し歪んでいて、ヘンだ。だが、その歪んでヘンな人間たちを、吉田は映画の中で愛おしむように描く。それは新井英樹のマンガとも相通ずる姿勢だろう。

    主人公・岩男を演じる安田顕と、その母を演じる木野花――2人のメーター振り切った熱演が、まことに素晴らしい。

    四文字言葉の連呼などもあり、地上波では放送不可能であろう作品。下品といえば下品極まりないが、根本には人間を見つめるあたたかいまなざしがある。

  • 地方の山村のパチンコ店で働く42歳の宍戸岩男(安田顕)は独身で、母・ツル(木野花)と認知症の父・源造(品川徹)と暮らしている。
    同僚のシングルマザー・愛子(河井青葉)に気があるが、女性経験のない岩男にはどうすることもできなかった。
    ある日、岩男は愛子から食事に誘われ舞い上がる。
    しかし、愛子は他の男性従業員とも関係を持っていた。
    岩男は愛子に告白するが、本気になられては困ると告げられる。
    傷心の岩男が帰宅するとツルになじられ、勢いで家を飛び出す。
    そのまま姿を消した岩男は、貯金の300万円をはたいてお見合いツアーに参加し、フィリピンにいた。
    30人もの現地女性と面会をしてパニックになった岩男は、自棄になって18歳のアイリーン(ナッツ・シトイ)に決めてしまう。
    彼女は貧しい漁村に生まれ、家族に仕送りをするために日本人との結婚を受け入れたのだった。
    フィリピンで結婚式を挙げ、二人はすぐ日本に旅立つ。岩男がフィリピンに行っている間に源造は亡くなっていた。
    よりにもよって葬儀の最中に突然姿を現し、フィリピン人女性を嫁だという岩男にツルは怒りを露わにする。
    さらに、源造が生前に作った揺り椅子をアイリーンが壊してしまい、ツルは猟銃をアイリーンに向ける。
    しかし、それをアイリーンが奪ってツルに向け、一触即発の事態になる。
    家に戻れなくなった岩男とアイリーンはラブホテルで寝泊まりすることに。
    アイリーンは岩男に体を許しておらず、いまだ二人は結ばれていない。
    一方、二人の結婚を認めないツルは、密かに別の女性を岩男の妻にしようとしていた。
    和解する振りをして二人を家に呼び、日本食でもてなすツル。
    だが、岩男が留守にした隙に、自身もフィリピン人の母親を持つヤクザ塩崎(伊勢谷友介)が現れる。
    外国人女性の人身売買に手を染めている塩崎は、ツルとの取引でアイリーンを連れ去る。
    塩崎の車に乗せられたアイリーンを、岩男はカーチェイスで追い詰める。
    アイリーンを助けたい一心でツルの猟銃を発砲し塩崎を殺害してしまう。
    岩男は、アイリーンを案じフィリピンに帰るように言うが、岩男と一緒に暮らす中でいつしか愛するようになったアイリーンは、初めて岩男に身も心も許し、岩男とアイリーンは身も心も結ばれる。
    だが、岩男とアイリーンの前には、更なる試練が立ち塞がる。
    果たして岩男とアイリーンのバージンロードは、ハッピーエンドになるのか?
    新井英樹の漫画を映画化。
    母から親離れ出来ず、性と愛を欲望むき出しで求める岩男。最初は金目当てだったが、いつしか岩男の不器用な優しさを愛するようになるアイリーン。難産で産んだ岩男に執着するツル。したたかに生きるマリリン。母や自分を苦しめた日本とフィリピンに対して愛憎を抱える塩崎。愛と幸せを求めながら、性に流れてしまうシングルマザーの愛子。愛や幸せを求めながら、金や欲望にまみれて優しくするつもりが殴り憎しみながら愛してしまう矛盾に満ちた人間というどうしょうもない存在を、突き放しつつどうしょうもなさをいとおしむ目線で、岩男とアイリーンの不器用に愛と幸せを求める地獄のバージンロード、岩男と母ツルの愛憎半ばする歪んだ親子愛を、過疎問題や老老介護問題や男女差別や人種差別を絡めて、セ○クス&バイオレンス満載で描く衝撃作。
    岩男の愛を求めているのに、性への欲望むき出しで求めてしまうイタイ不器用さを含めて不器用な愛すべき人物として岩男を演じ切った安田顕、岩男に対する執着を含めツルを演じた木野花、愛子の魔性さを演じる河井青葉、アイリーンを原作からそのままのキュートさ強さで演じたナッツ・シトイの好演、生々しいセ○クスとバイオレンスだらけの中で、中盤の雪国のネオン煌めく中での岩男とアイリーンのファーストキスシーンと岩男とアイリーンが初めて身も心も結ばれるシーンのピュアさが印象的でイタリア映画「道」を彷彿とさせる強烈なラブストーリー映画。

  • なかなかすごい映画だった。安田顕の演技、木野花の演技、凄かったなぁ。

  • 「宮本から君へ」以来の新井英樹原作とする映画でしたが、愛をテーマとする強烈なストーリーで、多くの内容が詰まっていて考えさせられました。一人に感情移入というのではなく、登場人物それぞれの立場に立ってみると、各々の愛とその表現の仕方が異なっていて、でもそれが人間なのだと思いました。
    知識や経験が増えた立場で見てこそこの映画の深みを読み取れるのではないかと思い、この映画を40歳になったボクが観れて良かったです。

  • 過剰すぎて、どう受け止めていいのかわからないまま見た。でも、見終わってひとつの結論は出た。
    姥捨てが、いちおう表向きのテーマ。
    しかし、すごく人種差別的な過激な内容を持ちつつも、一つ気になったのは、そうしたいかんともしがたい複雑な対立関係を、作中で四度も「死」を持って解決したこと。
    これは、アイリーンの立場に身を置こうが、その、愚かとしか言いようがない日本人夫、岩男の立場に身を置こうが、あまりに都合が良すぎる。こういう映画作品に明確なメッセージがこめられていること自体、野暮なのだけれど、最後にアイリーンを生き延びさせたいという意図しか感じられなかったところ、予想通りだった。
    双方の過激な差別的態度を、安易な死をもって解決しようという、この、クリエーターにおける冒涜を、いくら倫理的なメッセージがこめられているとしても、私は、断固として許さない。

  • 映画館にて。

    原作は連載当時読んでいても、
    さっぱり面白さがわからなかったけれど、
    この映画化は素晴らしい。

    安田顕はもちろん、
    木野花を観るためにあるような作品でもある。

    奇妙礼太郎の主題歌がとても良い。

  • 全体的に「汚い」という言葉がしっくりくる。
    毒母のパワーと主人公の性欲が中心となってぐるんぐるん渦巻く、なかなかの地獄だった。すさまじい。台風というかもうハリケーンのような。
    観終わってとても疲れた。強烈すぎる。

    最後のシーン、かわいいペンギンのイヤーカフをして真っ白な雪の中佇むアイリーンが、雪駄もインスタント味噌汁も日本語も日常にして適応したアイリーンが、正しく反発しながらも最終的には相手を大切にしようとするアイリーンが、とても綺麗に見える。
    でも誤魔化されないぞ、騙されないぞ!と私も必死だ。
    あんなものだけで、岩男はアイリーンを愛していたんだねなんて結論にさせるものか。これが愛だなんて言わせるものか。
    人間が嫌いになりそう。あまりにも頭が悪くて。社会がうまく回せていなくて。これが現実のすべてではないけれど、こういうところがあるのは事実だと思ってしまうと、キモいな〜。
    田舎の閉塞感も、絶妙に胃の重さをアップさせていた。

    映画としては良い映画だと思う。
    人に勧める気にはとてもなれないけど、観た人と話したい気はする。

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