- Amazon.co.jp ・電子書籍 (200ページ)
感想・レビュー・書評
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現代人は知識社会という世界に生きている。
ただし、知識社会が成立してから200年しか経っていないため、人間は種として知識社会に対応できていない。
そのため、知識社会では人間の直感に合わないことが多々起こり問題となっている。
例えば、本書によると先進国の成人の半分は簡単な文章が読めないそうだ(正確には読み取っても意味が理解できないという事だと思われる)これは産業革命が起こり世界が知識社会に突入するまでは、問題にならなかった事だ。
なぜなら、産業革命以前文字を読んだり書いたりするのは、一部の特権階級だけで、それ以外のマジョリティは田畑を耕したり、羊を飼うなどの肉体労働をしていればよかったからだ。
それが、現代では皆が文字を読みIT機器を使いこなすことが求められている。教育の機会を平等にしても種としてデスクワークに最適化されていないため、適応できない人間が出ているということではないだろうか。
これが、知識社会に種として対応できていないために起こる問題だと考える。
本書を読んで印象に残ったのは、リベラルな社会になればなるほど、環境要因による差が減り、知能は遺伝により決まってしまうという点だ。皆に平等な教育機会が与えられるよう(ユートピア)になれば、生まれた段階でついた知力の差は埋まる事がないというのは皮肉なものだ。
また、人種による能力の差を犬種で例えているのがわかりやすかった。例えば、チワワとドーベルマンどちらがいいとは言えない、強いのはドーベルマンだが、座敷犬として生きるのであればチワワが良い。人種も同様に筋肉が付きやすい人種や、計算能力が高い人種などあるが、どの人種が優れているという話ではない、環境に適応したため差が出ているという話だ。
ただ、知識社会では知能が重要視されてしまっているため、人種による知能の差を語ることはタブー視されている。
そのタブーにエビデンスベースで突っ込んでいったのが本書と言えるだろう。 -
私達は何者なのか? という問いに対する展開は前著よりも鮮やかだと思う。IQのレベル、知識の高さとそれを理由づける進化論的分析が、今となっては遺伝が大きな影響を与え、実は環境要因が少ない、というところは前著を踏襲している。その上で日本人としてどういうところで自分を認識し、どういう努力をしていくか、それを考えたいと思える。微弱なランが、自分が咲くのに適した場所に移動する自由を堂々と行使できるような、そういう考え方を持っていたいと思う。
アプローチの方法は全く違うが、日本人の勤勉さを説明する著作としては山本七平の本と同様の説得力があるように思う。これらの本を短期間に読めたのはラッキーだった。
今年の本はアタリが多い。 -
「私(日本人)は何者か?」という問いに、人種と知能の関係という「言ってはいけない」領域から答えようとする。
前段の「ゲイ遺伝子」の話が面白かった。同性愛者は子孫を残さないのに、なぜ遺伝的に排除されないのか? 調べてみると、ゲイ男性の母方の親族に多産の傾向が見られたという。つまりゲイ遺伝子が「男性から見て魅力的」な容姿をつくるのならば、その遺伝子を持っている女性は優位になるのではと。
さて、IQ(一般知能)は遺伝と関連が深い。国別にIQを比較してみると、あきらかな偏りがある。北ヨーロッパや東アジアのIQは比較的高い。アフリカから出てきたホモ・サピエンスは、寒冷地に移住することで、賢くなければ生き残れなくなり、じょじょにIQを向上させた。東アジアでは中国の科挙の影響や、稲作により人口密度が上がることで、知能に影響が出たのかも知れないとする。
そこからさらに考察はすすみ、農耕の開始によって「人工稠密なムラ社会」で生きてきた東アジア系は、それに最適化するよう気質や性格を「進化」させてきたはずだ。アメリカにおける東アジア系は、白人に比べ世帯年収が25%高い。これは(白人と同程度に)知能が高く、性格的に真面目で内向的だから、(医師、科学者、会計士などの)賃金の高い専門職に向いているのだと分析する。また、東アジア系は知能は高いが不安感が強く、目先の利益よりも将来のことを心配するという。知能と先延ばしの力=意志力が、経済的な成功の鍵になる。一方で、生得的な敏感さは息苦しい社会をつくるだろう。日本人は世界でもっとも「自己家畜化」された民族なのだと結論づける。
本書の「日本人論」をまんま信じ込むとろくなことにはならないと思うが、個別のトピックとそのつなげ方には、なるほどというところも多い。遺伝と能力の関係についてはPC的に語りづらいところはあるが、ほんとうはもっとよく考えないといけないところかとは思う。 -
一年間積ん読にしていた橘本、ようやく読了。遺伝から知能が決まり、いくつかの歴史的事件の原因にもなるという分析は、興味深い。
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(図書館で借りた本)
読み始めた(4月5日〉〜読み終わった(4月30日)
〈プロローグ〉
PIAACの結果は本当なのかな?
日本人の1/3が日本語が読めない?
パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下?
それでも日本はPIAACで一番?
「知識社会に適応できない国民が多いほどポピュリズム(排外主義)が台頭し、社会が混乱する」
〈1〉
「知能における遺伝の影響は思ったより大きい」「犯罪は遺伝する」
〈2〉
「人種によりIQが異なる」「知能は遺伝する」
「教育の無償化」でなく「奨学金制度の充実」は賛成。認知能力は5歳までが重要で「教育の投資」は「貧困層の就学前児童」に必要。さもなくば教育投資のリターンは期待出来ないという理屈にも賛成。
(あらすじのようになってしまうので以降記載せず)
〈3〉
〈4〉
〈5〉
〈6〉
〈あとがき〉
それぞれの人種(私は日本人(アジア系))の人種の特徴をよく知り、良い面は上手く発展させ、弱点は上手くカバーして生きていくことが大切だ。
「過ぎたるは及ばざるが如し」
何事も程度が大切と思ったとともに、筆者の著書をもう少し読んでみようと思った。 -
今回はかなり専門的な内容のように感じた。