ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう [Kindle]

  • NHK出版
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感想・レビュー・書評

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  • 興味を持ったビッククェション
    ①神は存在するのか
    昔、宇宙は小さく時間もなかった。しかし、ビックバンによって、現在の地球になった。ビックバンは、原因がなかった。なぜなら、時間がなかったからだ。時間がないので神が宇宙をつくることは出来ない。
    ④未来を予言することはできるのか
    ある時刻における粒子の位置と速度を知ることができれば粒子の運動は決定する。しかし粒子の位置と速度は同時に正確には求められない。

    人間はゆっくりと生物学的進化の速度であるが、AIは加速的に自らを設計する。なので目的が合わなければまずい、なので制御可能なAIを作らなければいけない。

    勉強になった語句(Youtubeで調べました^_^)
    ①ビックバン:宇宙開始時の爆発的膨張
      ⇅(反対の意味)
     ビッククランチ:宇宙終焉の第一形態
    ②相対性理論(特殊相対性理論+一般相対性理論)
    特殊相対性理論
    •光の速度より早く動けるものはない
    •重さとエネルギーは同じ
    •光の速度に近づくと空間が縮む
    •光の速度に近づくと時間が遅く流れる
    一般相対性理論
    •重いものの周りでは時間が遅く流れる
    •重いものの周りでは空間が歪む。

  • 2018年に亡くなった重度ALSの天才宇宙物理学者ホーキング氏が、10のビッグ・クエスチョン(神は存在するのか?、宇宙はどのように始まったのか?、宇宙には人間のほかにも知的生命が存在するのか?、未来を予言することはできるのか?、ブラックホールの内部には何があるのか?、タイムトラベルは可能なのか?、人間は地球で生きていくべきなのか?、宇宙に植民地を建設するべきなのか?、人工知能は人間より賢くなるのか?、より良い未来のために何ができるのか?)について見解を綴った科学エッセー。

    ブラックホールに関する部分(ブラックホールの面積定理、エントロピー公式、情報パラドックス、そしてホーキング放射)はさすがに難解でお手上げ状態。

    それでも、ユーモアを交えた秀逸な例えがちりばめられていて、内容は結構イメージし易かった。例えば、「宇宙が始まる前の時間について語ることには意味がなくなった。それはちょうど、南極の南にある場所に行くためにはどうすればいいかと問うようなもの」、「生命体とは、赤ん坊が生まれるたびに家が散らかっていく夫婦のようなもの」といった感じ。

    氏は、人類が未来を切り拓くために必要なこととして「人類が生きていくのに適した惑星を求めて宇宙を探査すること。そしてもうひとつは、地球をより良いものにするために人工知能を建設的に利用すること」の2つを挙げている。宇宙移民に活路を見出だせというのは何ともSFチックだが、それより印象的だったのが「自分たちのDNAを変化させて改良する「自己設計による進化」」に氏が大きな期待を寄せていること。そのベースには、ALSで身体の自由が全く効かなくなってしまった自身の健康問題があるんだろうなあ。「もしも人類が、どうにかして自らをデザインし直し、自己破壊のリスクを減らすか、あるいは除去できれば、その人類はおそらく宇宙に広がり、ほかの惑星や恒星系に植民するだろう」という未来予測、実現するといいな。

  • 難病に罹りながらも、長年に渡り研究を続けた、スティーヴン・ホーキング。
    残念ながら2018年に亡くなってしまいました。
     
    恥ずかしながら、彼が発表してきた書籍はこれまで読んだことがありませんでした。
    遺作となった本が話題になっていると知り、この機会に読むことにしました。
     
    宇宙の謎について質問されることが多かった、ホーキンス。
    彼はそれらの質問について答えてきた内容を、記録していたとのこと。
    未完のまま残されていた記録をまとめたのが、本書なのだそうです。
     
    本書では10個の質問が取り上げられています。
     
    質問の内容は例えば、「宇宙はどのように始まったのか?」というような根幹的なもの。
    これらの質問に対して、「科学者」としての立場で、ホーキングは答えを示しています。
     
    正直、著者が考える答えの、説明の部分については、深く理解することはできませんでした。
    わかりやすい説明をしてくれていると思うのですが、前提となる知識(〇〇理論など)が自分には不足しているようです。
     
    しかし、著者が提示している答え、そして彼が予想する未来像は、興味深く読ませてもらいました。
     
    ・宇宙のはじまりは時間のはじまりでもある
    ・惑星が誕生し消滅するまでの時間に対し、生物の進化にかかる時間は長い
     
    そして、彼が重要な問題として取り上げている項目は、人類として真剣に取り組んでいくべきだと、理解しました。
     
    ・地球が、人間が住めない環境になる危険性
    ・人工知能をいかに管理するか
     
    宇宙(この世界のしくみ)についての研究というのは、ここ数十年でだいぶ、進んでいるのですね。
    科学を学ぶ楽しさを、思い出させてもらえた一冊でした。
     
    サイエンスカテゴリーの本;
    『極大と極小への冒険』デイヴィッド・ブラットナー
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4314011157
     
     .

  •  亡くなったホーキング博士の遺言ともいえるインタビュー集である。科学者が容易には答えてくれない重大問題に真摯に答えてくれている。
     宇宙の始まりの話はやはり難しい。ただ、現状の理論に安住することなく、それを乗り越えようとする博士の柔軟な思考力には驚かされる。また気候変動か核エネルギーの不正確な使用、さらにはAIによる人智の超越などで人類は必ず重大な危機を迎えると断言する。そして地球外での移住植民を計画的に進めるべきだというのである。
     SFのような話も博士の言となると重みのあるものとなる。そして地球が深刻な局面を迎えていることを痛感できるのである。
     後書きには博士の子どもの回想や研究者による解説がついている。難病を克服した天才としか認識していなかった己の不明を恥じるばかりである。

  • 2018年3月に亡くなられた偉大な科学者スティーヴン・ホーキング博士の遺稿と言っていいでしょう(財団が引き継いで完成させている)。中学生の時に大ベストセラー『ホーキング、宇宙を語る』を手に取って以来、難解で理解できないところが残りつつも読み続けている。本書では、ー科学に立脚して物事を考え、先を見通すホーキング博士の姿勢を余すところなく感じることができる。青木薫さんの翻訳も素晴らしい。青木さんの翻訳する科学本にハズレなし。

  • 難しくてよくわからない部分もあったけれど、面白く読めた。物理の知識があれば、もっと理解できただろうと思うと悔しい。
    読んでて疲れるので、他の本と併読しながら読んだ。
    すべての人が科学リテラシーを持つ必要がある、とホーキング博士は言う。より良い未来を選択していくために。この本を読めば、それを実感できる。私ももっと学んでいこう。

  • 面白かった!平易で優しさ滲み出る親しみを持てる文章が良い。評判に聞いていたユーモアも垣間見れて楽しい。最初は、こんなに難しい話題をわかりやすく解説する手腕に驚き、発想の視点や巧みな表現にのめり込んで読んでいたが、中盤はそれでもかなり難しくなってきて理解しきれなくなる部分もあった。それでも語り口の柔らかさや前向きで活力のある文章が楽しく、最後まで読み切った。解説も良かった。博士の人柄が反映されたような解説で、読んでいてニコニコと嬉しくなった。

  • 天才の思考

  • audibleで本作を見つけて迷うことなく購入を決めた一冊。audibleは「聞く読書」なので、どうしても向き不向きがあ利、一番の難点は、前のページを参照したり、わからなくなった時にパッと戻るということができないことだ。しかし、ホーキングの語り口であれば、文字を追わなくても大丈夫だろうと考えたのだ。

    実際に聴き始めてみると、この領域に多少の知識を持っている人間であれば朗読でも全く問題なく内容が頭に入ってくることに気がついた。ブラックホールとそれに関連する物理学的理論の説明が行われているにも関わらず、まるで挿絵があるかのように”絵として”内容が頭に入ってくる。彼が生涯をかけて研究した内容が、その本質にまで触れることはできなくても、外縁から十分に理解が可能なように構成と語り口が工夫をされているのだ。


    そのこと自体で科学啓蒙書としての本書の価値は十分に満たしてくれているのだが、それよりも驚くのはホーキングの興味の方向性が非常に幅広く、かつその全てが現代科学において重要な領域であるということだ。列挙すれば、彼の興味の対象は核融合技術、自然破壊と環境保護、宇宙開発、そしてAIになる。彼は宇宙物理学という、ある意味で究極の「根本的な課題」に取り組みつつも、その視野には工学の最先端がちゃんと含まれているのだ。

    そしてその理由は、本書内でも明確にされているように、人類という種(よりわかりやすくいえばホモ・サピエンス)の生活範囲が地球のみであるとすると、いずれ滅亡をしてしまうという問題意識によるものだ。その滅亡の理由は、例えば核戦争かもしれないし、地球環境の大変化かもしれない。あるいは恐竜が絶滅した時と同じように隕石の衝突かもしれない。その「何が」「いつ」起こるかということは正確に予知することはできないとしても、今後の1,000年単位で考えれば、人類がこのような問題に直面することは避けられない・・・と彼の卓越した頭脳は判断したのだろう。


    自分はこの下りを読んでいて、優れた知性というのは最終的に同じような問題意識に到達するのかということに驚いた。衰えていく地球から宇宙に飛び出し、そのためには物理的な理論や核融合の知識がいる・・・というのは、まるでインターステラーで描かれた世界のようだ。おそらくかなり近い将来、こういった問題がより身近になり、より真剣に議論されるようになるのだろう。そして、自分が生きている間ではないかもしれないが、これらの問題が解決されて、人類が他の星で暮らすような未来が来るに違いない・・・と、本書を読むとそう思わずにはいられない。

  • 問いかけは非常に普遍的。
    だが、説明が難しい。
    そう、私の頭が悪いだけなのである。

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著者プロフィール

スティーヴン・ウィリアム・ホーキング
1942年1月8日-2018年3月14日
イギリスのオックスフォードで生まれ。1957年、物理と化学を学ぶためにオックスフォード大に入学。その後ケンブリッジ大学大学院、応用数学・理論物理学科に進学。大学院在学中の1963年に「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)と診断され、当時あと2、3年の命と宣告されたが、途中から病の進行が弱まったこともあり、精力的に活動を続けてきた。
1963年にブラックホールの特異点定理を発表し世界的に名を知られた。1967年論文「特異点と時空の幾何学」でアダムズ賞受賞。1974年に 「ブラックホールの蒸発理論」発表し、同年に史上最年少でイギリスの王立協会会員(FRS)となった。1977年ケンブリッジ大学の教授職を務め、1979年にはケンブリッジ大学のルーカス記念鋼材教授職に就任。1991年にタイムトラベルの不可能性などを説いた「時間順序保護仮説」を提唱。
1990年、1993年、2001年と度々来日して大きく報道されており、日本で最もよく知られる世界的科学者の一人でもあった。
代表作に、『ホーキング、宇宙を語る』。

スティーヴン・ホーキングの作品

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