- Amazon.co.jp ・電子書籍 (313ページ)
感想・レビュー・書評
-
【感想】
「イシュードリブンからビジョンドリブンへ」というテーマの本。
(※イシュードリブン...すでに顕在化している課題に対し、それを解決していくような思考。)
(※ビジョンドリブン...まだ目には見えない理想状態を自発的に生み出し、そこと現状の間にあるギャップから、思考の駆動力を得ていく方法。)
最近、「外への反応」ではなく「内への反応」、つまり自分自身への反応を勧める本が多い気がします。
この本もご多分に漏れず、冒頭で「僕たちの脳はずっと、人から受け取った情報に反応する『他人モード』になっており、自分がどう感じるかよりも『どうすれば他人が満足するか』ばかりを考えている。」と問題提起されていました。
ただ、まず僕は、「それのドコが問題なの?」と思ってしまいました(笑)
それは、僕自身がこの本で言うところの「カイゼン思考」「戦略思考」にドップリ浸かっているからに他なりません。
確かに周りに反応してしまうだけの毎日だと、自発的な感情やドリブンを生み出す事が出来なくなってしまうのでしょう・・・
本書で、「いま現存している問題に取り組むだけではなく、ある意味クリエイティブな発想をもって思考・実践していきましょう」という一文がありました。
4つの思考法の中で、「カイゼン思考・戦略思考<デザイン思考・ビジョン思考」と決めつけするわけではありませんが、、、
行き詰った際のシフトチェンジとして、このような考え方も併せて持っておく必要性はあるな~とと納得。
そのあたり、「右脳思考&左脳思考」に近い部分がありますね。
イシュー、ビジョンのどちらかに偏らず、双方をうまい具合に併せ持ちながら、良いストレッチをもって思考できるようになりたいなと、読んでいて思いました。
【内容まとめ】
1.「他人モード」にハイジャックされた脳。
僕たちの脳はずっと、人から受け取った情報に反応する「他人モード」になっており、自分がどう感じるかよりも「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えている。
「自分モード」のスイッチを切ったまま日々を過ごしていると、そもそも「自分がどう思うのか」すら、よくわからなくなる。
2.4つの思考領域
・カイゼン思考
⇒PDCAによる改善、「単位時間あたりのアウトプットを増やすこと=効率化」
・戦略思考
⇒ゴリゴリ営業。競合が着手していない分野はないか、うまく出し抜いて領土を奪う道はないか、そのための目標を絞り込みながら、資本投下の「選択と集中」を行う。
・デザイン思考
⇒Lモード(左脳:言語脳)とRモード(右脳:イメージ脳)、どちらのモードにも切替、行き来できる
・ビジョン思考
⇒「他人の目」を気にしていない。周囲の景色を楽しみながら、「自分モード」の思考に没頭し、ひたすら目の前の道を一歩一歩踏みしめる。
3.関心が「外」に向きがちな時代だからこそ、「今ここにいる自分」へと注意を引き戻す必要がある。
4.「現存する課題(イシュー)」と、「内発的な妄想(ビジョン)」
思考のアプローチは、大きく2つに大別できる。
1つは、すでに顕在化している課題に対し、それを解決していくような思考。イシュー・ドリブンなアプローチ。
2つは、まだ目には見えない理想状態を自発的に生み出し、そこと現状の間にあるギャップから、思考の駆動力を得ていく方法。ビジョン・ドリブンなアプローチ。
【引用】
・直感と論理をつなぐ思考法=ビジョン思考
・「他人モード」にハイジャックされた脳
僕たちの脳はずっと、人から受け取った情報に反応する「他人モード」になっており、自分がどう感じるかよりも「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えている。
「自分モード」のスイッチを切ったまま日々を過ごしていると、そもそも「自分がどう思うのか」すら、よくわからなくなる。
p24
・4つの思考領域
カイゼン思考
戦略思考
デザイン思考
ビジョン思考
p27
・PDCAによる「カイゼンの農地」
この世界で勝者になるために必要なのはただ一つ、生産性を高めることだ。
人に与えられている時間は等しい。持てる能力や資源にも大した差はない。
だとすれば、その範囲の中でいかに「収穫量」を増やすかが勝敗を分ける。
要するに、「単位時間あたりのアウトプットを増やすこと=効率化」がすべてなのだ。
→しかし、VUCAと呼ばれるこの時代において、PDCAを回転させ改善してゆくだけでは立ち行かなくなっている。
p32
・戦略の荒野
PDCAやリスク管理に守られた「農地」を抜け出し、一定のリスクを取りながら狩猟・採集や陣地取りに明け暮れる。
ライバルに負けない強靭な体力を身につける以上に、正面からの衝突を回避して、彼らが見落としている領域をいち早く手中に収める戦略が欠かせない。
競争相手たちにまだ気づかれていない分野はないか、ライバルをうまく出し抜いて領土を奪う道はないか、そのための目標を絞り込みながら、資本投下の「選択と集中」を行う。
→戦略思考やフレームワークでは、新しいゲームそのものを生み出すことはできない。クリエイティブな能力が欠けているからだ。
→また、終わりのないゲームなため、シンプルに個人が「疲弊」してしまう。競争状態にはプレッシャーやストレスも付随するため、持続可能性に乏しいのである。
→どこかのタイミングで限界を感じ、何のために戦っているかわからない「目的の難民」となる。
p38
・デザインの平原
デザイン思考のシンプルな3つの本質
1.手を動かして考える「プロトタイピング」
→Build to think:考えるために創る
→まず手を動かしてみて、その中で発想を刺激し、新しいものを創り上げていく。
2.五感を活用して統合する「両脳思考」
→Lモード(左脳:言語脳)とRモード(右脳:イメージ脳)、どちらのモードにも切替、行き来できることが大切
3.生活者の課題をみんなで解決する「人間中心共創」
p51
・人生芸術の山脈
みんな「他人の目」を気にしていない。
周囲の景色を楽しみながら、「自分モード」の思考に没頭し、ひたすら目の前の道を一歩一歩踏みしめている。
マインドフルネスのような瞑想の背景にも同じような事情が読み取れる。
関心が「外」に向きがちな時代だからこそ、「今ここにいる自分」へと注意を引き戻す必要があるのだ。
p79
・「空間的余白」と「時間的余白」
「余裕ができたらやってみよう」ではなく、まず先回りして余白を作ること。
→いますぐ無地のノートを買う。
→いますぐノートを書く予定を入れる。
やるべきことで溢れている今だからこそ、「何もしない状態=余白」をつくる事に価値がある。
p96★
思考のアプローチは、大きく2つに大別できる。
1つは、すでに顕在化している課題に対し、それを解決していくような思考だ。イシュー・ドリブンなアプローチと言える。
2つは、まだ目には見えない理想状態を自発的に生み出し、そこと現状の間にあるギャップから、思考の駆動力を得ていく方法である。これがビジョン・ドリブンなアプローチである。
「現存する課題(イシュー)」か、「内発的な妄想(ビジョン)」かの違い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
下手な広告屋さんとかが書いてるアイディア法みたいなものより、圧倒的に良書だった。
-
表紙や図解にセンスを感じる本。
こういう本、とても好きです。
内容としてはビジョン、意義を持つことの必要性について解説されており、自分の仕事の意義について考えさせられます。自己啓発、セルフブランディングの基礎にしたい一冊。 -
「根拠のない直感・思い込み」を成果に結びつける、“ビジョン思考”の特徴や習得法を指南する。多く図が用いられており、よく聞く戦略思考などとはどう違うのかがわかりやすう示されている。
はじめに 「単なる妄想」と「価値あるアイデア」のあいだ
第1章 「直感と論理」をめぐる世界の地図
第2章 最も人間らしく考える
第3章 すべては「妄想」からはじまる
第4章 世界を複雑なまま「知覚」せよ
第5章 凡庸さを克服する「組替」の技法
第6章 「表現」しなきゃ思考じゃない!
終章 「妄想」が世界を変える?
おわりに 夢が無形資産を動かす時代 -
周りの期待にばかり応えているとじぶんモードを失う、という指摘はなるほどとおもった。デザイン的な思考、余白の大切さ、など具体策も豊富。