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- / ISBN・EAN: 4988707544200
感想・レビュー・書評
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若い時に観ていたら随分感じるところは違っていたような気がする。カッコいい映画の部類に入っていたんだろうな。自分が何をしたいのか、何になりたいのかもわからない九條や青木の日常はいまのオイラには退屈だ。ただ松田龍平が演じる九條は、どこか諦観しているところがピッタリだった。薄気味悪いって感じが。青木がひとりで始めたベランダ・ゲームを見て屋上に向かって走った九條は、そこだけやけに普通の人のようで印象的だった。
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2002年 日本 82分
監督:豊田利晃
原作:松本大洋『青い春』
出演:松田龍平/新井浩文/高岡蒼佑/大柴裕介/山崎裕太/忍成修吾/瑛太/塚本高史/マメ山田/又吉直樹/小泉今日子
男子校の朝日高校。春から3年生になる不良生徒たちが屋上に集まり、柵の向こう側に立って、手を放して何度手を叩けるかを競う「しあわせなら手をたたこう」ベランダゲームをしている。最高記録を出し勝ち残った九條(松田龍平)は新しい番長として認められるが、感情をどこかに置き忘れてきたかのような彼は、その地位にあまり執着がない。彼の幼馴染の青木(新井浩文)のほうがむしろ下級生をシメようとはりきっている。
卒業した先輩に媚びを売りいきがる大田(山崎裕太)と、無表情に彼の相手をしながらも得体のしれないメガネの雪男(高岡蒼佑)、野球に打ち込んでいたが諦めてヤクザの先輩についていく木村(大柴裕介)、黙々と一人で練習する野球部の後輩(塚本高史)、パシリ扱いされている吉村(忍成修吾)、病気なので授業中いつも寝ているが桜の木につく毛虫を必死で駆除しているオバケ(瑛太)らの群像劇。
原作が90年代の発表ということもあり、途中までは80年代ヤンキー文化的バイオレンスな部分も若干あったが、最終的には松本大洋の原作らしく『ピンポン』におけるペコとスマイル、『鉄コン筋クリート』におけるシロとクロのように、九條と青木の関係性にクローズアップしていく。九條への劣等感のあまり闇堕ちしてしまう青木と、何ごとにも心を動かされなかった九條が彼のために必死で屋上に駆けあがる場面はさすがに胸アツ。
音楽がとても良かった。エンディングの「ドロップ」はじめ、ミッシェル・ガン・エレファントの曲が沢山使われていて(赤毛のケリー、モナリザ、ブギー)それらも勿論良かったけど、音楽を担当した上田ケンジ(元ピロウズ)と元レピッシュの杉本恭一のユニットanalersの曲もとても良かった。(https://www.youtube.com/watch?v=jj4CQtAnFXA)
2002年の映画なので、まだ幼さの残る松田龍平や、のちに「まほろ」シリーズでコンビを組む瑛太(まだEITA表記の時代)、ヤンキー映画の常連になる高岡蒼佑や新井浩文などの若かりし日が新鮮。とくに高岡蒼佑がまだ線の細いイケメン風味がありカッコ良かった。舞台ではよく見るマメ山田氏の、いつもお花に水をやってる、生徒思いの先生役もとても良い。駄菓子屋のおばちゃん役で小泉今日子も出演。
ヤンキーものなので暴力描写も多少あるが、それがメインの抗争ものではないので比較的ひかえめ。唯一闇堕ちした青木がある生徒をボコボコにする場面がちょっと凄惨だけど、この被害者役がなんとまだ線香花火時代の又吉直樹で驚いた。