- Amazon.co.jp ・電子書籍 (254ページ)
感想・レビュー・書評
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「わたしたちは物語なのだ」
今とは、時間とは、人生とは何か?詩情溢れる筆致で、難解な物理学が気持ち良く胸の真ん中にストンと落ちる。
「わたし」はただの出来事でなく、記憶と言う名の特殊な糸で自分の過去としっかり結び付けられている。 -
タイトル通り時間なんて存在しないということを物理学的に哲学的にあるいは神話や宗教的に解説している。時間は存在せず、存在するのは出来事と関係だけと著者は主張する。物事をどの観点で捉えるかの考え方の違いのような気もしたが、物理・数学的に時間がなくても事象を表現できるらしく、時間は存在しないものらしい。一方で一般人の感覚として、時間という概念は身に染みこんでいる。時間に縛られ、時間に追われて生活している人はたくさんいるだろう。そのあたりの整合性も説明しているようだが、私はよく分からなかった。著者の「すごい物理学講義」も面白いらしいのでこちらにも挑戦しようと思う。
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量子重力理論に基づく時間論についての啓蒙書。
科学啓蒙書としてはなかなか良い。
後半1/3は転じて哲学的思索が展開されている。
著者としては書かずにはいられなかったのだろうが、本書には含めない方が私にとっては好ましく思えた。 -
時間はニュートンが考えたように「宇宙のどこでも同じように流れる」わけではない。時間は空間と一体化した広がりであり、それ自体が物理現象を担う実体であるというアインシュタインが明らかにした事実を説明してくれる……ところまではよくわかった。〈わたしたちの「現在」は、宇宙全体には広がらない。「現在」は、自分たちを囲む泡のようなものなのだ〉という説明で納得しよう。
「時間」には方向がないことの説明は、エントロピーとの関係で示される。エントロピー増大則は、常にエントロピーが低い状態から高い状態への一方通行である。これが過去から未来への感覚をつくる。ところがエントロピーというものは〈宇宙を近似的なぼんやりとした見方で眺めたときに、はじめて生まれるもの〉であり、〈過去と未来が違うのは、ひとえにこの世界を見ているわたしたち自身の視界が曖昧だからである〉とされる。ぼんやりとではなく、厳密に見たとき、時間の方向性は消える。
さて、それから先のループ重力理論のほうは、ちょっとさらっと読んだだけではよくわからない。さらにわからないのは第11章で〈世界を動かしているのはエネルギー資源ではなく、低いエントロピーの資源なのだ〉というところから、〈過去が現在の中に痕跡を残す〉〈痕跡を残すには、何かが止まる、つまり動くのをやめる必要がある。ところがこれは非可逆な過程で、エネルギーが熱へと劣化するときに限って起こる〉〈過去の痕跡が豊富だからこそ、「過去は定まっている」というおなじみの感覚が生じる〉と、エントロピーを主役になにかの言い換えを行っていくところで、そういう言い方をしなくても脳のしくみによって過去と現在と未来の感覚が生まれるということの説明はできるのではないかと思う。
結局、時間というものは絶対ではない。空間といっしょに伸び縮みするもので、ある限られた範囲内でおおまかに共有されるものだということである。そして時間の「方向」さえ、量子力学的世界では消え失せる。流れているように見えるのは、世界をおおざっぱに記述するときであり、その原動力はエントロピーにあり、エントロピーを持ち出すということは「世界をおおざっぱに記述する」ということなのだ、という説明であると理解した。
半分はとてもおもしろく、半分はかなりまわりくどい。でも、ちょっとわくわくするというか、自分が無意識のうちに当たり前と考えていることにくさびを打ってくれる感覚はあった。 -
むずかし〜〜〜!
ということで、途中まで読んだんですが、積んでおくことにします。いつの日にか読もう…読むかな… -
自分の読解力が試されるなと思いつつ、数学的、物理学概念を節々で詩的な文章で表現している部分を追うだけで読み終えることができた。
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直感に反するのでなんかだまされているようないないような。
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福岡伸一的「10代におすすめのSTEAM的好奇心を刺激する3冊」
https://fasu.jp/series/steambook/vol2/#2