トヨトミの野望 (小学館文庫) [Kindle]

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  • 小学館
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感想・レビュー・書評

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  • ⭐️4.2。イギリスポルトガル旅行のお供。上司に勧められて。
    面白い!どこまで事実なんだろう、でも大体似たようなことが起きてるんだろうな。イチイチ誰のことなんだろ、どの会社のことなんだろうと調べながら読んでしまった。武田かっこいい。

  • 超面白い企業小説。はっきりと読み手の頭に連想される日本の超優良自動車メーカーと、そのトップの名前、事件など。僕としては、武田が社長として辣腕を奮っている期間が一番胸が躍った。規模も業種も全然違うし、その能力も比べようがないけれど、オーナー企業でサラリーマン社長やらせてもらっている身としては、色々と思いを馳せる場面があり。一気読み必至。

  • トヨタの内情を垣間見た。奥田社長昔新聞ではよく名前は見かけたが、武田剛平と照らし合わせると、当時持っていた自分のイメージと大きくかけ離れていた。こんなにスケールの大きな経営者だったとは!豊臣統一こと豊田章一も、最初はどうなることかと思ったけど、ラストは立派な経営者としての一歩を踏み出せて安心した。

  •  覆面作家によるトヨタ自動車の中で起こっていることを、限りなくノンフィクションで暴く。名前が変えられているが、実在の人物とリンクしている。著者名の梶山三郎は、梶山季之と城山三郎を合体させたそうだ。この物語の主人公は、トヨトミ自動車社長武田剛平(奥田碩;一橋大学柔道部)である。
    以下のレビューは実名を使う。
     奥田碩の活躍ぶりがこぎみ良いほど書かれている。そして、ホールディング会社を巡って検討していたが、その情報が豊田章一郎に伝わり、豊田家を外すのかと言われ、4年で社長職を解かれる。奥田碩を裏切ったのは、副社長の張富士夫(東大剣道部)だった。そして、次の社長が豊田家忠臣の張富士夫となる。奥田碩は、経理畑を歩き、ギャンブル好き、歯に着せぬ言動で、嫌われフィリピンの販売会社に左遷される。39歳だった。7年間の単身赴任だった。フィリピンの大財閥のドンであるホセエミリオ(リカルド・C・シルベリオ)からトヨタへの延滞金の20億円を回収することに専念し、人脈を使い回収する。ホセには「正当な利益を得られなけくてはビジネスと言えない」といった。奥田碩はフィリピンで裏切りや騙し討ちを山ほど経験する。裏金作りの手法まで詳しく述べてある。度胸がある。そして、豊田章一郎がフィリピンに行った時に出会い、本社に引き戻される。アメリカ進出のための用地選定を任され、最終的にケンタッキー工場の誘致に至る。豊田達郎社長が病に倒れ、1995年に社長となる。
     早速、ダイハツ工業を子会社化して、中国にとび、遅れていた中国への進出を果たす。この時の中国で担当している残留孤児の八田高雄もいいキャラしている。また、ハイブリットカーのプリウスを計画より早く量産体制に入る。国内販売のシェアーを40%まで取り戻す。イギリス工場、フランス工場も建設し、F1にも参戦した。豊田章一郎会長の後押しがあった。拡大戦略を見事に実現する。1999年に社長から会長になる。張富士夫、渡辺捷昭と社長が続き、リーマンショックの中で、赤字を出すことで、2009年に豊田章男が社長になる。
     この物語の始まりで、豊臣統一(豊田章男)が豊臣家の惣領息子35歳が、暴力団のフロント企業に軟禁されていた。ヤクザの女に手を出したということだった。それを救ったのが武田剛平だった。その救われたことが、逆恨みの始まりとなり、武田剛平の手腕に対して、嫉妬したりする。
     豊田章男が、社長になってから、奥田派を徹底排除し、会社80周年のビデオにも奥田がほとんど登場しない。まぁ。この本の特徴は、トヨタはなぜ奥田碩を正しく評価できないか?という疑問を起点にして書かれている。結局、豊田章男の人間の器量を問いかけている。それに対して、奥田碩は大人的な対応をする。奥田碩の存在感がなんとも言えない。
     豊田章男は、アメリカ公聴会で、謝り、涙を流す。そして、アメリカのディーラーたちの集まりで、激励されて、やっと社長らしくなるのだった。それは奥田碩がおこなったアメリカにおけるロビイスト活動を無駄だと切り捨てたことによる。特別渉外担当部長の堤雅也は、ユニークな人材でもある。物語では秘書にセクハラで訴えられ、1億9000万ドルの損害請求訴訟をされた。和解で処理する。
     この本では、豊臣統一が「トヨトミ自動車は、2030年までに、ガソリンエンジンのクルマをゼロにする」と宣言する。水素燃料の車を想定している。
     印象的な言葉は、武田剛平の「おれたちは所詮、使用人。せいぜい豊臣家のご機嫌を損ねないよう、身を粉にして奉公するしかない」という。生産管理の担当役員は「乾いたタオルをぎゅうぎゅう絞るようなもの」と揶揄された時に、「湿気の多い日本では乾いたタオルもすぐに湿る。絞り続けて何が悪い」という。さすがはトヨタだ。トヨタの内実暴露によって、トヨタの有り様がわかる。この本は、『トヨトミの逆襲』に続く。

  • 読み応えがありました。トヨタの企業・人事のの話であり各セクションに出てくる人物造が見えて楽しいです。リーダーシップとは、トップに立つことはと様々な人間模様が見えてよかったです。ノンフィクションだと思い読み進めました。過去の経済状況からまさい今の経済状況と重なり良き知識のインプットができました。

  • トヨタをモデルにしたビジネス企業小説。ビジネス系小説は成り上がりのストーリーが多いがこれはトヨタの経営陣をモデルにしているのでスケールが違った。どこまでがリアルか分からないが、かなり事実に近いことが書かれていると思う。

  • トヨタの歴史観を勉強できた
    武田社長(奥田社長)の凄さやトヨタの歴史観を改めて理解できた

  • ノンフィクションかと思うぐらいの内容。概ね本当なんじゃないかと思い込んでしまいそうなぐらい面白かった!

  • まあなかなか面白かった。
    めっちゃ人間の怖さと泥草さを表してる。

  • 豊田章男の伝記本を読んでトヨタに興味を持ち始めた時にこの本を読んだ時、プロローグ部分で素直にびっくりした。豊田章男に対して優れた経営者に並ぶ人物だと認識していたが、彼もまた人間なのだなと、この本を読んで人としてより良い印象を抱いた。
    トヨタのことを全く知らないので小説として読んでいたが、本書に出てくるエピソードをスマホで調べながら読んでいくと全部ノンフィクションじゃないかと、途中から奥田碩伝記本として読んでいた。しかし、大企業を渦巻く人間物語として面白く読むことができた。

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著者プロフィール

経済記者、覆面作家

「2016年 『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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