世界のニュースを日本人は何も知らない (ワニブックスPLUS新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 多くの日本人が知らない世界の意外なニュースや事実をさまざまに紹介した本。

    諸外国に関するとても興味深い情報が多数含まれていて面白かったが(ただし、客観的で妥当な情報なのか、著者の偏った見方が多く含まれているのかはよく分からなかった)、日本人の島国根性や「長いものには巻かれろ」=受け身の組織依存体質、暗記型教育・詰め込み型教育、日本企業による時代遅れの学歴偏重・新卒一括採用、新し物好きな価値観などを国際的に通用しない馬鹿げたもの、と一方的に酷評しているのには、読んでいてどうかと思った。

    また、真面目で律儀、我満強くおもてなし精神に溢れる国、科学技術に優れた国 "日本" が諸外国からリスペクトされていると思いきや、著者によれば、日本は諸外国から、世界で最も早く高齢化と少子化という問題に直面しているのに有効な対策を打てない大変残念な先進国、借金まみれなのにオリンピック等に莫大な金を注ぎ込んでいる奇異な国、バカにされても我慢して反撃しない大人しい国民、などと観られているという。海外からこのように観られていることを知らぬは日本人ばかりなり、とこれまた日本人の無知を批判。

    更には、日本はとても治安がよく、司法や警察も汚職と無縁で、医療保険制度も充実していて、住宅事情も実は恵まれていて(先進国の中では賃料などが極めてリーズナブルなのだという)で教育システムも平等、と日本人はとても恵まれた環境を謳歌できていてラッキーなのだが、それが全く分かっていない、日本人はその有り難みをしっかり噛みしめるべし、とこれもダメ出し。

    われわれ日本人が井の中の蛙状態にあり、グローバルな常識を身につけないとこれから生きていけないよ、という危機感を煽るメッセージはよく分かるんだけれど、著者の上から目線の物言いが終始鼻についた。

    とは言え、本書は興味深いこと満載だったので、備忘録的に列記してみたい。

    中国は、アフリカのメディアを買収し、自国に都合の悪い報道を封じる作戦。一方アメリカは、ハリウッドから魅力あるコンテンツを発信して自国のイメージアップを図っている。

    アフリカも、本当はとても豊かなのだが、「過去の欧米諸国による植民地化によって、生産や販売のルートが海外の企業や国内のごく少数の既得権者に独占される仕組みが確立してしまっ」ていて富が国民に広く行き渡ることがない。

    マッキンゼーなどの大手コンサルティングファームは、権威主義国家や腐敗した政府の関係者も顧客に抱え、ブラックな側面を持っている。

    アメリカでは、厳しい経済状況の中で困窮つつある中流層が、「ポリティカル・コレクトネス」、「不法移民支援」にうんざりしてリベラル派から保守派に鞍替えしたのがトランプ現象(彼らは自分達の生活を守りたいだけであり、人種差別主義・排外的という訳ではない)。

    ボリビアやパラグアイも親日国。耐久性、信頼性に優れた日本のオフロード車やトラックの功績。

    欧州統合は、アメリカへの対抗意識のなせる技。アメリカ国内のように、EU域内の移動や経済活動を自由にして経済を活発化させようとしたが、「イギリスやドイツなど北部の豊かな国にどんどん人が集まってしまい、貧しい国が多い南部や東部が過疎化する偏った状況に陥ってしま」った。「もともと文化も経済レベルも異なる、完全なる異国の集合であった欧州で、連邦政府制度のようなことをやるのはちょっと無理があった」。そして「EUは税金の決め方や軍隊もEU全体で統一するべき」と考え始めたことから富裕層の強い反発を招いた。

    ドイツは見得を張って、移民の大々的な受け入れを宣言しておきながら、大量の難民が押し寄せると、前言を翻し各国が受け入れるべき人数を勝手に割り当ててしまったため、その無責任さ・傲慢さに他国が激怒。ブリグジットの引き金になった。

    最近の欧州では極右勢が台頭し、人種差別的言動が目立つが、「かつては国内の人種や宗教の多様性を否定するということはある意味タブー」だった。「欧州諸国が第一次世界大戦および第二次世界大戦で甚大な被害を受けたということ、またドイツをはじめとする国々でユダヤ人やロマ(ジプシー)、性的少数者、障害者などを虐殺してしまったホロコーストが深く関係して」いた。

    「ヨーロッパの国々は文化的基盤が異なる移民をこれ以上受け入れたくない」。「政治的に正しくないので口には出」さないがこれが本音。

    「西洋人が「東洋人は頭が悪く西洋のものをうまく消費できない未開の人々」という潜在的意識を持っていることは、日本人もよく理解しておいたほうがよ」い。欧州人の心の中に「まだまだ東アジアというのは自分たちより劣る存在であり、見下して当たり前であるという意識があるのは事実」。

    「欧州では歴史の長い建物のほうが新築よりも重宝されることが多い」が、「これは人間に対しても同じ」。「単に若くて元気なだけの人よりも、さまざまな修羅場をくぐり抜けてきた年配者のほうが深い人間味を感じさせ丁寧に扱われることが多い」。「歴史を重んじる欧州らしいスタンス」。

    「アンティークやヴィンテージの服を丁寧に手入れして繰り返し使うライフスタイルはいまや昔の話。現代のイギリス人はかんでも使い捨ての大量消費、借金だらけ」。

    オランダ人は「ドケチすぎて欧州の嫌われ者」かつルールに杓子定規で融通が全く利かない。

    イタリア人は「お風呂嫌いで臭い人が多い」。

    ドイツ人は「欧州一スケベ」。深夜テレビでボカシなしのハードなSMプレイを流し、風俗のお店が充実のぽるの大国だが、その事お陰で性犯罪は少ない。

    欧州の各国人気質、本当かいな? そういえば、EUのお土産に「Perfect European」ていう絵ハガキあったな。

  • 知らないことが多く驚かされた。
    移民政策などで治安が悪化した国の後追いをしている日本政府は頭がおかしいとしか思えない。
    日本で報道されないニュースを知るために、やはり英語力は重要だと改めて思った。

  • 【世界の意外なニュースや事実を
     多くの日本人は知らない】

    日本のメディアは閉鎖的

    熱湯になっても逃げられない
    ゆでガエル状態

    欧米なんて言い方はやめよう
    マッキンゼー崇拝もやめよう

    なぜ日本人の知る情報は偏るの?
    なぜ日本人は誤報を信じやすいの?

    答えはこの本に

  • 一般的な日本人は、世界にあまり目を向けていない。日本のこと、世界のこと、なんとなくイメージで「こんな感じ」と思っていると、実は全然違うんだよ、

    ということを、ぎゅっと詰め込んだ本でした。

    2022年、ロシアによるウクライナ侵攻が起こって、びっくりして世界のニュースを見るようになったけれど、この本が出された2019年には多分私はそんなこととは無縁に生きていた。その時に読んだら「へー、おもしろーい」と思うだけだったかもしれないけれど、今になって読んだ私は、だいぶシリアスな気分になりました。


    どうやらシリーズで「4冊目」が昨年暮れに出版されたことで、1〜3がKindleUnlimitedに入ったってことなんですかね。

    せっかくなので、2、3も読んでみようと思いました。

    2020年からはCOVID-19で世界が揺れ動いていたし、その辺の話も読めるんでしょう。

  • 面白かった。 読後は日本は落ちていく国だが世界一幸せな国だと再認識した。 ただ我々の世代は良いかもしれないが次の世代はどうなるのかと感じる。
    国の力を維持するのは移民は避けて通れないがそこに舵を切ればその先にあるのはフランスや英国のような治安が悪くかつ貧富の格差の大きな社会なのか。

  • 【完】
    国連のことを町内会の寄り合いと一緒と言ってしまう著者は面白いし理解しやすい

    各国の事情のところで
    ドイツ人が欧州一スケベだとか
    オランダ人がドケチだとかウケる

    やっぱ、欧州と米国は別で考えないとならないし、欧州の中でも違う国なんだから「欧米」とひとくくり、あるいは、いっしょくたにしがちなのは違うんだな。

    なんだかんだで西洋がいいという傾向が未だにある日本人だが、どの国だっていいところ悪いところがあることを再認識させてくれる。

    そして、そんな世界でどんな動きがあるのかアンテナしっかりはっておかないと損することも十分考えられるので情報の取捨選択の技術も磨きつつ生きようねと教えてくれる一冊

  • Twitterでときどき目にするポストをされている方の本。日本が見ている日本/世界と、世界が見ている日本/世界のギャップを、世界のニュースや、日本ではあまり知られていない実際の姿を並べていく事で伝えていく。

    一度海外に住むと、日本の良さや凄さ、同時に日本に足りないところや課題がより見えるようになるよね… 政府を叩き「日本クソ」的なツイートなど見かけるけど、色んな意味で生きるのにこんなに安心で便利な国、ほかにないというのは完全に同意。

  • 良かった。イメージではなくファクトフルネス的な本。だが、著者の観点があるので全てを鵜呑みにしてはいけないと思う。あと令和元年の本なのでちょっと古い。
    非認知能力・クリティカルシンキングは新しい情報だった。

    よく意味のわからない表現があった。「悟空のような髪型をした意識高い系の日本の若者」??何を例えたかったのか

    4章5章はビジネス一般的なことで海外関係ない。

  • 著書の体験から「日本人が海外のことを知らない」という内容。正しいのだと思うが、若干、自分は違うと言っているようで、ちょっと鼻についてしまった。

  • 日本のメディアに疑問‥これは大切。ガバナンスが効いていない、言いっ放しで内容に対する責任の所在が曖昧な事に注意すべきでしょう。

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著者プロフィール

谷本真由美(たにもと まゆみ)

著述家。元国連職員。
1975年、神奈川県生まれ。
シラキュース大学大学院にて国際関係論
および情報管理学修士を取得。
ITベンチャー、コンサルティングファーム、
国連専門機関、 外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。
日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。
ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)
として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。
趣味はハードロック/ヘビーメタル鑑賞、
漫画、料理。
著書に『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)、
『日本が世界一「貧しい」国である件について』(祥伝社)、
『不寛容社会』(ワニブックスPLUS新書)など多数。

「2022年 『世界のニュースを日本人は何も知らない4 - 前代未聞の事態に揺らぐ価値観 -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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