身銭を切れ――「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質 [Kindle]

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  • 身銭を切らないと、真の理解はできない。

  • 金融トレーダー、数学者、哲学者など、様々な顔を持つナシーム・ニコラス・タレブの最新作。身銭を切る=失敗に対するリスクを取っている人こそ賞賛されるべき、というテーマに基づき、古今東西様々な事例を挙げつつ議論を進めていく。

    タレブの著作は初めて読んだが、非常に多くの示唆に満ちていて面白かった。ブラックスワン、反脆弱性も読んでみたい

  • 「自分の意見に従ってリスクを冒さない人間は、何の価値もない」

    身銭を切れというのは、非対称性を回避しながら(リスクをとりながら)かつ破滅的な帰結にならないように生存すること。ここで壊滅的な帰結にならない程度にというところが肝で、適切なリスク管理ということだろう。
     身銭を切った方がいい理由は身銭を切った方が必死に考えて行動するからということ。実存的コミットメントにより鈍感でなくなり急に頭が回転するようになり、誰かのリスクではなく自分のリスクなら急にしっかり考えるようになる。なので身銭を切ってる人の言葉を信用するべきということ。
     これは、自分のことだけでなくて、意思決定のために参考にする情報や人にも言えて、身銭を切ってる人を信用した方がいい。本書ではコンサルタントやジャーナリストの言葉を信じるより地べたを這い回って生きてる人間の方がよっぽど信用できると書いている。

     コンサルタントのように俯瞰して確率的に物事を語る人は信用するな。というのは耳が痛い。
     これは昨今では女性問題、特に性犯罪における厳罰化の議論に見られる。少数決原理が働いた結果非対称性が生まれ少数決原理によって性犯罪の罰則などは設けられる。その結果、与えられる罰則や制限が男女で不平等、非対称的になる。
     性犯罪は確率的には非常に低いんだからそれほどの規制は必要ないという側と、被害当事者(になる確率が高い)女性の規制強化という側の対立があるけど、女から見れば、たとえ確率が低くても被害にあうかどうかの二者択一であり、被害に遭えば一生の傷として残るほど重大な悲劇になる。
    つまり男と女で比較すれば、女は男より身銭を切っており、性被害においては男女で非対称性がある。これを解消するには、男も身銭を切る必要がある。
     この罪と罰の関係においては男女の非対称性があるが、これは多数決原理ではこのような非対称性は生まれないはず。多数決原理は民主主義を実施するための方法だけれど、つまりは多数決以外の方法もありえるわけで、それが少数決。これからの民主主義は少数決原理が働くことになると思う。それは民主主義の理念に近づいていると思う。

  • 身銭を切ろう。

  • リスクを負ってない人は意思決定に関わるべきではない。
    報酬を得たいなら相応の対価が必要。
    経済学者,政治家、コメンテーターなどは外野から物申すだけでリスクを取ってないので意見を聞く価値なし。
    本書はまどろっこしく書かれており読みにくい。
    内容はシンプルだが小難しく書かれてる。

  • 身銭も切らないフリーライダーがまかり通るような現代の生き方への批判とも取れる。「身銭を切る」ということは損失ではなく、より良き生き方を選択する方法なんだと

  • 世界を正しく見通し、歩むためのカギは「身銭を切る」こと。不確実性が増す今日、リスクと向き合い、価値ある生き方をするための指針を提示した書籍。

    --
    「身銭を切る」とは、実世界に対してリスクを背負い、よい結果と悪い結果のどちらに対しても、その報いを受ける、という意味。「身銭を切る」という実体験から得られる知識は、推論から得られる知識よりも優れている。そして、身銭を切ることは、この世界を理解する上で欠かせない条件。

    “助けるため”だと言って、他人の問題にちょっかいを出す「干渉屋」と呼ぶべき人間がいる。彼らは、2003年のイラク侵攻や2011年のリビア最高指導者の排除を推し進めたが、失敗に終わり、問題をこじらせている。
    干渉屋たちは「結果が不確実性に満ちている場合には、ダウンサイド(潜在的損失)の大きな行動は避けるべきだ」ということを理解していない。
    干渉屋たちは、自分たちの行動が招いた結果に対する代償はいっさい払わない。つまり、失敗の被害をこうむっていない。それゆえ、彼らは失敗から学ばない。

    身銭を切るという概念は、歴史に織りこまれている。
    例えば貴族の地位は、名声と引き換えに、個人的なリスクを負い、人民を守ること(高ノブレス・オブリージュ、貴たる者の義務)で得られるものだった。

    複雑系の世界では、大きく身銭を切る、ごく少数派の集団が全体に影響を及ぼし、残りの人が彼らに従わなければならないことがある。これを「少数決原理」という。

  • 身銭を切ってない人のいう事は真に受けるな、というメッセージが全体から伝わってきた。

    自分に当てはめてみると、確かに自分が身銭を切ってない事に対しては、相手のためになるアドバイスが出来てないと感じる。

    今後の仕事の進め方について、身銭を切って責任感を持って進める決意を持っていこうと思う。

    文中の思想や事例などは、私の理解を超えているものが多かったが、自分の思考をストレッチできるレベルのものが多くて興味深かった。

  • 本書は前作の反脆弱性の続編的な一冊で、リスクについて一家言あるタレブはリスク(責任)を負わない立場から口出しをする人間が増えていること、そしてその存在が社会システムにどれほど不可逆な影響を与えるかを手厳しく批判し、いつものように皮肉交じりの辛辣な口調で切っています。
    タレブはオーストリア学派の思想が強く極端に個人の自由の追求とそれに伴う自己責任を引き受けることを重視しているのですが、書いてあることはもっともだと思うことばかり。
    何が正しいか分からなくても、あるいは失う痛みを多く味わおうとも、リスクを冒すことを恐れずにたゆまず進み続けることの重要だと思いました。

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