星の子 (朝日文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 映画のイベントで芦田愛菜ちゃんが言ってたことの方が心に残ってる本

  • 今村夏子の作品を読むのはは三冊目になる。
    「こちらあみ子」「むらさきのスカートの女」と「星の子」
    共通して感じたのは、幸せじゃなさそうだけどたぶん幸せなんだろう。というところだ。
    どこか不安定な日常の底にあるのはどれも主人公の「それでも心が満ち足りている」感じ、と表現すれば良いのだろうか。
    素直でまっすぐな女の子を取り囲む、社会、親類、友達などの環境が不穏な空気に満ちていて、三者視点では不幸にも見えてしまう境遇とそれを何とも思わずに進む主人公とのギャップが絶妙で、心臓にうっすらと汗をかき続けるような、終始心拍数が8上がった状態が続いていくような不思議な気持ちのまま読了した。
    子供の目線で語られる物語のディティールが細かく、さっき体験したからかきました、とでもいうような自然な動作や着眼点にもハッとさせられる。
    ホームルームで先生の耳を観察する「耳が見えたり見えなかったりする」だけのシーンは、ただそう書けば良いところも、教室の中で僕も一緒になって観察している気にさせられる。

    明日の伝達事項を日直が発表しているあいだ、先生は教卓にもたれて日直のほうを向いていたので、耳がよく見えた。そのあと、プリントを配りはじめたので、耳が見えなくなってしまった。(本文より)

    ここに限らず動作や事象の流れがとても現実的すぎて、物語であることすら忘れてしまう。そんな現実的な中を囲む不自然で不穏な日常が麻薬のように恐ろしく、うしろめたく、独特な快楽を伴うのだと思っている。

  • 家族愛はあるのに悲しい
    ラストシーンでザワッとした気持ちになったけど、対談を読んで落ち着いた

  • 主人公の病気をきっかけに宗教にハマった両親。 さりげない言葉で日常生活の中で次第に宗教がウエイトを占めその他が端に追いやられてゆく姿が語られる。 ただ作品の中では両親は変わらず彼女を愛し彼女もまた両親を愛する。 だったら。 でも。 幸せと正しさについて考えてみる。

  • 自分の体が弱かったために、両親が新興宗教にハマってしまう女の子のお話。
    親戚のおじさんは女の子を助けようとしてたけど、本人が自分の境遇を客観的に見れてないのがなんだか切なかった。
    主人公の女の子が幸せになれますように。。。

  • 両親が新興宗教に入信している子供の視点からみた信者の生活

    DV被害者や虐待されている本人が、自分の不自由を認識していないことは多い 
    ほかの家と比較して着ている服が見窄らしいとか、まともなご飯を食べられていないことがおかしいと思えてても、お姉さんがそこから抜け出すために家出してても、そこから抜け出す発想がない
    そこから抜け出すために差し伸べてくれる手をそうとは思えない

    結末は少し肩透かし感があったけど、書き直した結果なのか 納得

  • 私は幽霊や宗教など一切信じない人で宗教にハマる人の気持ちもわからなかったけど、この本を読んである程度理解できた気がします。

  • 自分の病気が原因で新興宗教にのめり込む両親、それに反発する姉、苦言を呈する叔父、通う中学校の同級生や先生との関係、そして宗教団体の人たち。そんな中で主人公が翻弄されてゆく世界。
    なんとなく不穏なモヤモヤした状況を描くのがうまい著者だと思うが、今回は空振りのような気がする。
    特にラストが気に入らない。著者の小説はラストで将来の破滅を予感させるような余韻を残すのが好きだったが、本書ではそれが無い。
    主人公が宗教団体に取り込まれてしまいそうな結末が破滅的といえるかもしれないが。

  • 春ちゃんの彼氏の「好きな人が信じてるものを信じたい」というのが多分この物語の真理なんじゃないかな〜と思った。ちひろはなんだかんだで親のことが好きだから、この変な宗教から抜け出さなくてはと思えない。南先生に親を不審者呼ばわりされても、最終的には親を取った。宗教狂いって毒親認定されること多いけど、少なくともちひろ自身はそう思ってない。そもそも宗教にハマったのがちひろのためだからってのもあるのかな。
    なんか共感性羞恥を感じてしまって、南先生の公園のシーンはこちらも泣きたくなるくらい恥ずかしかったし、教室で南先生に晒し者にされながら怒鳴られるシーンは心臓に悪かった…。

    • れにさん
      今村さんといえばシュールで謎な笑いどころがある不思議な話が多いですがこの本はいつもの今村さんとはちょっと違う異質な感じがしました。宗教を信仰...
      今村さんといえばシュールで謎な笑いどころがある不思議な話が多いですがこの本はいつもの今村さんとはちょっと違う異質な感じがしました。宗教を信仰している家族を嫌いにならなくてもいいという発想も新しいと思いました。法事かお葬式だかのちひろの食いっぷりに切なくなった記憶があります(´;ω;`)
      2023/12/23
    • おもちさん
      >れにさん
      今村さん初の長編?だからちょっと雰囲気違うんですかね?
      ラストも何となく希望がある感じの終わり方が新鮮でした!
      >れにさん
      今村さん初の長編?だからちょっと雰囲気違うんですかね?
      ラストも何となく希望がある感じの終わり方が新鮮でした!
      2023/12/24
  • 2世が信じたいのは宗教ではなく親だということなのだろうか…

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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