教養として学んでおきたい5大宗教 (マイナビ新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 初学者にはすごく分かりやすい!
    各宗教の教えをお堅めに語るのではなく、あまり知識のない日本人に向けてざっくばらんに紹介してくれてる本。
    こちらを分かった気にさせてくれるので入門書におすすめ。

  • 5大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教)のなりたち、基本的な考え方を理解できる。
    とても簡潔でわかりやすい。

    宗教には、個人的信仰、集団的アイデンティティ、知識、知恵、慈悲、反動、排他的な側面があり、多面的に理解する必要があることがわかった。

    自分として、宗教をどう考えるか、、の
    基礎知識を得る入門書として良い内容だった

    人は誰でも悩むし
    欲や不安に支配される時もある

    無神論者でも良いが
    心を平安に保つ為には
    自我を超えた神の視点を知ることは
    よいことだと思う

  • なかなかおもしろかった。ライン引いた箇所がたくさん。

    ◎序章
    宗教は、以下4つに大別できる。
     ① アミニズム…動物/自然物/先祖などの霊を信じる
     ② 多神教…複数の神々を礼拝する
     ③ 一神教…唯一神の権威に服する
     ④ 悟りの宗教…理法を悟ることを目指す

    例えば、位牌。これは命日に死者の頭蓋骨を一族の子どもが被り霊の宿る「かたしろ(身代わり)」となる。
    霊媒師が祈る中、祖先が現地に帰ってきて、子孫たちと交わる。この頭蓋骨がやがて仮面に変わり、
    名前を書いた札に変わり、位牌になっている。

    葬式に来た人が、皆死者の霊を信じているわけではないが「冥福を祈ります」や「亡くなった〇〇さんが
    天国で見守ってくれる」といって遺族を慰めるのは、アミニズム型の文化。
    (無宗教を称する日本人だが、アミニズムの気分は濃厚に残ってる)

    日本の七福神はインドと中国と日本の神々のチャンポン。
    ・弁天と毘沙門天はヒンドゥー教の神
    ・布袋は仏教の菩薩
    ・福禄寿と寿老人は中国の道教の神
    ・大黒はヒンドゥー教のシヴァ神と日本のオオクニヌシの合体
    ・恵比寿だけが神道固有の神

    多神教は、押し付けがましくない一方でチャリティにも不熱心。
    一神教は、平等を目指すが不寛容

    仏教の悟った人が「仏」で、儒教の悟った人が「君子」で、道教の悟った人が「仙人」

    日本の宗教世界は、
     ①文化の基層としてアミニズム
     ②多神教は神道と仏教。
      神道…伊勢神宮のアマテラス、出雲大社のオオクニヌシ、稲荷神社のお稲荷さん、商売繁盛の七福神
      仏教…釈迦牟尼如来、阿弥陀如来、観音菩薩、地蔵菩薩、不動明王
     ③悟りの信仰の代表は仏教。永平寺や高野山で、修行者が悟りのために厳しい修行をする。
    日本は信仰のチャンポンが目立つが、韓国や中国など東アジアはどこでもそう。
    ヨーロッパでも実はそう。キリスト教は一神教だが、各守護聖人に祈ったりする。
    ※サンタクロースも、イエスではなく、ニコラオスだし。

    ◎ユダヤ教
    ・イスラエルの民は「自分たちにはエジプトの地で奴隷として建設労働に駆り出されていた時代があった」
    という「出エジプト」の伝承を持っていた。
    ・モーセが奴隷労働に泣く同胞を解放しようと王と交渉し、約束を取り付ける。が、エジプトとパレスチナの
    間の海(なんて無いんだけど)で進行を阻まれた時に、王が約束を反故にして連れ戻しに大軍勢がやってくる。
    そこで、海を割る…という有名な話。
    ・イスラエルの民がエジプトから集団で移住した事実もはっきりしない。よくある小規模な奴隷逃亡事件が元だと言われている。
    ・そうした、小さなグループの伝承が、いつしか民族全体の起源神話になった。

    ・「憲法」にあたるのが「モーセの十戒」
     ①ヤハウェ以外の神を自分の神とするな。②偶像を作って礼拝するな。③ヤハウェの名を唱えるな。④安息日を守れ。
     ⑤父母を敬え。⑥殺すな。⑦姦淫するな。⑧盗むな。⑨偽証するな。⑩隣人の妻や家畜や財産を欲するな。
     ※ ユダヤ教の安息日は土曜日。調理も労働に当たるので、前の日に済ませる。
     (エジプトでのブラックから逃げ出した集団が出発点なので。)
     ※ 尚、ユダヤ教から派生したキリスト教は安息日を一日ズラして日曜日にした。日本人は明治時代に西洋の暦を採用した際
       日曜日を休むという習慣にした。(それまでは、盆と正月以外は丁稚には休みは無かった!)

    ・ヤハウェは元々は中等の諸民族が信奉する神々の中のひとり。土台に有るのは多神教。
     周りの民族はバアルという豊穣の神を拝んでいたので、イスラエルの民もしょっちゅうバアルに浮気していた。
     イスラエルの民は弱小国家なので、アッシリアやバビロニアといった大国に滅ぼされた。その事象を
     「民の方がヤハウェを裏切ったのだから、神だって民に対して国家消滅という天罰を与えたのだ!」
     外国の軍勢に負けるというシナリオを用意するなんて、さすがは全知全能の神!となった。
     (神様が失敗することにより、信仰が逆に崇拝されるのは宗教の歴史上よくあること。X月X日に地球が滅ぶ予言が成立しないのは
      彼らの祈った神様が阻止して、終末の予定が変更されたから論)
     
    ・19世紀後半以来、ユダヤ人たちは古代に国家のあったパレスチナに国家を再建するという運動(シオニズム)を展開。
     戦後、実際に「イスラエル国」が建国された。が、中世以来この地に住んでいたアラブ人を追い出す結果になり
     以来、アラブ人とユダヤ人がパレスチナ紛争を繰り広げている。

    ◎キリスト教
    ・ユダヤ教からの派生。ユダヤ人はメシアの出現を求めていた。ギリシャ語で言うとキリスト。
     ナザレのイエスという人物(ユダヤ教徒)がメシアでは無いかと噂された。
     イエスの信者たちは、イエスの死後にユダヤ教徒以外にも伝道を始めたので、独立の宗教「キリスト教」となった。
     今日、キリスト教は世界最大の信者数(20億人以上)となっている。
    ・イエスの時代、地中海沿岸はローマ帝国の支配下にあり、パレスチナ一帯もローマの総督が居た。
     イエスは神秘のパワーでローマ軍を蹴散らして神聖国家を樹立すると言われており、ローマ総督から処刑された。
     
    ・ユダヤ教との違いは、ユダヤ教は「民族を中心に救う神のイメージ」で、キリスト教は「個人単位で全人類を救う神のイメージ」
     ユダヤ教は「律法の宗教(戒律を守ることが重要)」で、キリスト教は「信仰の宗教(キリストの神秘を信じることが重要)」
     
    ・一神教だが、旧約聖書の神(ヤハウェ)と、新約聖書の神(キリスト)が存在しており、さらに精霊も居る。。。
     三位一体といって、結局はこれら3つの存在を一体であると結論づけた。
     ―父なる神:ユダヤ教伝来の創造神ヤハウェ
     ―子なる神:イエス・キリスト
     ―聖霊なる神:信者に働く霊
     三方は別々の存在だが、一つだと。(論理的にはめちゃくちゃだが。)

    ・クリスチャンとして勧められる善行は「隣人愛」の実践。とくに、貧者や病者などの弱者への施しやお世話。

    ◎イスラム教
    ・ユダヤ教、キリスト教の影響のもとにイスラム教が誕生。そのため、イスラム教では二つの宗教を尊重する。
     改宗は迫らない。
    ・唯一神アッラーが、ユダヤの預言者→キリスト→ムハンマドと、順繰りに啓示を下してきたとする。
     なので、最新バージョンである「コーラン」が一番素晴らしいという考え方。

    ・イスラム教徒が信じるべきものは「六信」として纏められ、行うべきものは「五行」として纏められている。
     「六信」…①神は唯一神。②天使は複数居る霊的存在。③使徒はムハンマドの他にモーセやイエスなど。
     ④啓典はコーランの他にユダヤ教の律法やキリスト教の福音書。⑤来世は終末の審判ののちの楽園(天国)と火獄(地獄)
     ⑥定命は人間の運命を神が定めていること
     「五行」…①信仰告白。②礼拝、日に5回。③喜捨、定額を貧者などに収める。④断食、ラマダン月の昼間に断食。
     ⑤巡礼、巡礼月のメッカへの作法通りの巡礼
     ※ 信仰告白は文言が決まってる。「アッラー以外に神はない」「ムハンマドはアッラーの使徒である」

    ◎ヒンドゥー教
    ・輪廻と解脱の二元論で整理可能。人間は原則として何度も生まれ変わる。良いことをすると良いランク
     悪いことをすると悪いランクになる。瞑想すると、輪廻を超えた世界に生まれ変われる。これが解脱。
     悟りに寄る天国行き。
    ・ヒンドゥー教の経典はヴェーダ。「人間の本質(アートマン)は、宇宙の本質(ブラフマン)と一致する」
     梵我一如という思想。(悟ってしまえば人間は神のようなものだということ)
    ・ヒンドゥー教が成立した紀元前五世紀は社会の大きな再編が起きた時期。人生の本質について事由に考察する
     思想家が輩出した。
     中国の孔子や老子、インドのマハーヴィラ(ジャイナ教の開祖)や釈迦、ギリシャのソクラテスやプラトン。
    ・ヒンドゥー教の人生の目標は、今の人生を大過なく終え、来世を良くすること。三つの目標達成。
     ①ダルマ(社会規範)を守る。②アルタ(物質的な利益)を求める。③カーマ(性愛や文芸)を洗練させる。
     その上の聖なる目標が輪廻転生を超越(解脱:モークシャ)。ヨーガ三昧でも神々へのバクティ(信愛)でも可能。
    ・ヒンドゥー教は多神教。ヴィシュヌとシヴァが人気。
     ヴィシュヌは温和な神で多数の化身を持つ(ブッダも化身)
     シヴァは修行に励む神で、破壊の神であり生殖と豊穣の神でもある。(暴風雨が破壊も実りの雨も持つ)

    ◎仏教
    ・釈迦が始めた宗教。ヒンドゥー教が盛り上がって、仏教はインド本国からは姿を消して、国外に。
     日本では多神教化した大乗仏教になった。
    ・基本は輪廻転生。解脱を完成させた釈迦がブッダ(目覚めたもの)という称号を得た。
    ・釈迦はガウタマ・シッダールタという本名。シャーキャという民族の王子。シャーキャから出てきたムニ(聖者)で
     釈迦牟尼との通称。
    ・東洋宗教は、天空の神々より悟った人間を上に見るが、仏教がその典型。インドの神々よりブッダである釈迦の方が
     遥かに格上。仏教は基本的に修行の宗教。
    ・自分の欲望にも、欲望の対象である世の中のもろもろの事物にも、執着すべき実態がないということを悟るのが
     仏教の目標。
    ・釈迦は王家で快楽三昧⇒森で苦行に明け暮れる⇒どちらも人生の答えではなく、中道によって悟った。
    ・大乗仏教は、ユダヤ教からキリスト教が派生した頃(紀元一世紀)に仏教から派生。
    ・ユダヤ教や初期仏教は限定的な人間の救い。キリスト教や大乗仏教は幅広い救いを目指す。
    ・キリスト教はキリストを信仰するだけ、大乗仏教も仏塔を拝むだけでOK。
    ・大乗仏教では、釈迦の他に無数のブッダがいる。薬師如来という薬の神様や、人気な阿弥陀如来。
     浄土宗、浄土真宗、時宗は阿弥陀如来が念力でひねり出した西方にある極楽浄土を求める宗旨。
    ・古代ギリシャも西のエーリュシュオンを求めたり、エジプトもオシリスという浄土を求めたり。
    ・インドの阿弥陀信仰は、この世はあまりに苦しい世界(穢土)なので、極楽浄土に生まれ変わって
     修行しようというビジョン。
    ・ブッダ候補生が菩薩。多神教化が進む大乗仏教では、明王(不動明王とか)や天(弁財天とか)も神として取り込んだ。
     明王は呪文のパワーが化身したもので、天はヒンドゥー教の神々が元となる。

    ◎その他
    ・日本人は仏教の教理を大方忘れてるが、仏教的(修行を強調し、世界を無常観で眺め、先輩後輩の序列を意識)
    ・欧米人もキリスト教的(慈善を重んじ、未来のユートピア建設への希望を持つ)

  • Kindle Unlimitedにて読了。
    宗教に関する知識が不足していると感じ、手に取った。

    5大宗教の成り立ちや特徴の概要がコンパクトにまとめられていてとても読みやすかった。

    現代における新宗教やカルト、イスラム過激派などに関する記載は少なめなので、それらについては別の書籍をあたる必要がある。

  • キリスト教、イスラム教、仏教の三大宗教を扱う本は多いが、ユダヤ教やヒンドゥー教を踏まえて扱っている本はあまりないので、その点がまずよかった。

    重要な人名や概念は一部出てくるものの、深く掘り下げていない。
    それぞれの宗教を客観視しながら、似た部分を他の宗教あるいはナショナリズムと並べたりして概要の理解に終始しているのがよかった。

    分量も適度で、入門書として読むのに非常に良い一冊

  • タイトル通り、教養の本。
    入門書として取っつきやすい。

  • 入門書として分かりやすく、読みやすかった。

    一神教は平等を求めるが排他的、多神教は他の宗教にも寛容だが平等は求めないという内容が特に印象的だった。

    各宗教の戒律は大昔にできたものだが簡単に変えられるものではなく、だからこそ現代の感覚にそぐわないことがあるなど、なんとなく思ってはいたものの言語化されることによって改めて気付かされることがいくつかあった。

    宗教という科学にそぐわないことが、今も世界中で信仰されているという事実が面白く、むしろファンタジー要素が強いからこそ多くの人々を魅了することができるのだろうなと感じた。

  • 入門書としてかなり良書だと思う。
    キリストやユダなど、基本的な人名は登場しますが、余計な人名は極力ださず、わかりやすくまとまっています。

  • ・コンパクトながらメチャメチャわかりやすい。
    ・これで全部分かった!とは思わないけど、入口にはなった。
    ・自分は無宗教に近いと思っていたけど、生活の中に意外なほど宗教的な影響を受けてると気付く。
    ・読み物としてかなり面白かった。

  • 代表的な宗教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教について、特徴や歴史を浅く紹介している書籍。宗教の特徴を
    - アニミズム
    - 多神教
    - 一神教
    - 悟りの宗教
    として分類するのはわかりやすい。
    書籍の中では現在問題になっているカルトや原理主義にかんしても言及している。過去の歴史、昨今の政治・経済に宗教は強く影響しているが、そのことに思いを馳せる参考にはなると感じた。

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著者プロフィール

1958年生まれ。北海道大学工学部建築工学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科修了(宗教学専攻)。
著書に『信じない人のための〈宗教〉講義』(みすず書房)『信じない人のための〈法華経〉講座』(文藝春秋)『人はなぜ「神」を拝むのか?』(角川書店)『初めて学ぶ宗教――自分で考えたい人のために』(共著、有斐閣)『超訳 法華経』(中央公論新社)『宗教のレトリック』(トランスビュー)ほか。
訳書に『宗教の系譜――キリスト教とイスラムにおける権力の根拠と訓練』(T・アサド、岩波書店)『世俗の形成』(T・アサド、みすず書房)『心の習慣――アメリカ個人主義のゆくえ』(R・N・ベラー他、共訳、みすず書房)『ファンダメンタリズム』(M・リズン、岩波書店)
『科学と宗教』(T・ディクソン、丸善出版)ほか。

「2014年 『宗教で読み解く ファンタジーの秘密 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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