闇の国々 [Kindle]

  • 小学館集英社プロダクション
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感想・レビュー・書評

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  • 思想家でもあるブノワ・ペータース原作のBD(バンド・デシネ=マンガ)

  • 作者であるブノワ・ペータースとフランソワ・スクイテンはフランス漫画(バンド・デシネ)において巨匠と言われる存在である。そんな彼らの代表作であるこの『闇の国々』シリーズは紛れもない傑作だ。重厚かつのびやかなストーリーはひとつの宇宙を作り上げ、1コマごと精緻に描かれた絵の迫力は凄まじく、いとも簡単に異世界へ連れて行かれる。

    中でも1巻収録の『狂騒のユルビカンド』『塔』『傾いた少女』は日本の読者にとっても読みやすい作品群をチョイスしている。どの話も神話的な雰囲気を放ちながら、どこか牧歌的でもあり、それぞれの建築物は生命が宿っているが如く生き生きと描かれる。
    気になった方はまずこの巻から手に取ってみてほしい。と思うと同時に、あまり安易におすすめできない理由もある。その理由は以下の通り。

    1.現在この漫画は絶版になってるため価格が高く、手に入りにくい(電子書籍はあります。でも紙の媒体でも再販してくれ)。
    2.バンドデシネ特有の、のっぺりとしたテンポは慣れないと読み疲れるかも。
    3.この作品は「建築物」自体が主役なので、日本漫画の文脈に当てはめると、人物描写が薄く、面白みを感じにくい。

    私が懸念する点は以上だが、それらを踏まえても、やはり傑作であることは間違いなく、海外漫画のレベルの高さを知るにはうってつけの作品だと思う。
    未知のものに触れたいという、好奇心と探究心がある人にこそすすめたい。その思いを受け止めるにふさわしい作品であるはずだから。

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著者プロフィール

(Benoît Peeters)
1956年パリ生まれ。2冊の小説を出版した後、1980年代から幼なじみのフランソワ・スクイテンとともに『闇の国々』シリーズを手掛け、以後、BDの原作者として活躍。同シリーズは10の言語に訳され、数々の賞を受賞した。BD以外にもエッセイ、評伝、映画、テレビ、ラジオドラマの制作など多岐にわたる活動を展開。『タンタンの冒険』の作家エルジェや、哲学者ジャック・デリダの伝記作者としても著名。邦訳に『闇の国々 I〜IV』(古永真一・関澄かおる・原正人訳、小学館集英社プロダクション)、『東京は僕の庭』(フレデリック・ボワレ画、光琳社出版)などがある。

「2014年 『テプフェール マンガの発明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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