Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる [Kindle]

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  • 本書はベン・ホロウィッツによる「HARD THINGS」の続編のようなものである。いくつかの極限環境を潜り抜けたリーダーの判断が紹介されている。重要なのは文化という組織の基盤となるものがどういう性質を持っていて、それについて考え続けなくてはならないということである。

    自分の行動が、組織の文化にどのような影響を与えているか、私自身これまであまり意識してこなかった。というより、文化というのはコントロールできるものではないので、考えるだけ無駄だと思っていた。前者は正しく、後者は勘違いであることを知った。

    経営者は利益に責任を持たなくてはいけない。しかしそれを追求するあまり人間として大事なものを忘れてはいないか、常に自分に問いかけたい。組織は人であり、文化が人を動かしていくのだから。

    HARD THINGSを読んだ時も同じような考えが頭を巡った。本書は歴史に学ぶというアプローチで、前回とは異なるがそれでも根本で伝えたいことは同じなのかもしれない。年齢や立場が変わると、著者の伝える内容の受け止め方が変化するように思う。もう一度、HARD THINGSを読み返して新しい発見を得たいと思った。





    「誰も見ていないときにどう行動するかが、企業文化なのだ。」
    武士道を伝える段落の「そんな考えを一瞬でも思い浮かべたことを恥じ、~~」
    「謙虚さ。謙虚な人は周りから成功してほしいと思われる。傲慢な人は失敗すればいいと思われる。」
    「協力的。これは従順という意味でも丁重という意味でもない。」
    「意思決定のプロセスがどのようなものであっても、『反対しコミットする』ことを厳格なルールとして守らせることが、健全な企業文化を維持するのに欠かせない。」
    「スピードと正確さのどちらを取るか」
    「平時と戦時では異なる経営スタイルが必要とされる。」

  • 日本語版序文から引き込まれる。
    中身を読むのが楽しみだ。

  • 2009年の設立以来、多くの優良スタートアップに投資をして圧倒いう間にトップVCになったのがAndreessen Horowitzだ。その名称が長いせいか通称ではA16zと呼ばれているこのVCはポッドキャストで積極的に情報展開したり、自社に伝統的なキャピタリスト以外の多くの社員を抱えていたりと、色々な意味でこれまでのVCとは違う独自の運営を行なっている。正確な数は不明だが、何せ200人以上の社員がいるらしい。

    その創業者であるベン・ホロウィッツ(Ben Horowitz)がスタートアップの赤裸々な経営事情を語ったHard Thingsに続いて出版したのが本作『Who You Are』だ。本作の主要なテーマである、”社内文化”という要素に最近興味が強く湧いているといて手に取った。

    本書では以下のような内容が、古今東西の組織構築の知見と共に語られている。

    ・リーダーシップと文化の関係
    ・文化=組織内で許容される行為という理解
    ・リーダーは自分にあった文化しか構築できない

    ”文化”という曖昧な概念を、組織における許容される行動、あるいは期待される行動であると置き換えることで意識的に構築したりコントロールすることが可能であるというのが、本書の主張というわけだ。

    葉隠を教本に持ってきてしまっているために、日本の武士道の理解のところはやや浅い・・というか勘違いがあるのだが、それ以外は実践的な内容で組織構築に責任がある人にとっては参考になる一冊だと思う。

  • 組織活動には行動を規定する”文化”があるべきで、それを組成員に周知してもらうには・・・という本。
    そもそも「どういうチームであるべきか」のような共通認識を持つことは組織だけでなく人間としても成長するために必要な気がする。「成長したいと思う人」になってもらうには必要な機能というか。
    一方で日本の場合はペナルティの与えづらさがあるよなぁと。

  • 良い書籍と感じました。
    たまに読み返します。

  • 企業文化の大切さについて、多民族をまとめあげながら大帝国を作り上げたチンギス・ハーンや米国の刑務所で囚人たちをまとめ上げたシャカ・サンゴール、奴隷の身からハイチ革命を成功まで導いたルーベルチュールなど、ビジネス本としては一風変わった人物を例に挙げながら語った本。
    もちろんウーバーなどを始めとして現代の例も色々出てくる。
     
    自身もベンチャーを立ち上げ、今はVCとして名を轟かせているアンドリーセン・ホロウィッツのベン・ホロウィッツが書いているだけに肉に厚みがある。(ちなみに武士道の例えを読んでいる限り、歴史方面で肉に厚みがあるかはまた別の話)
     
    企業に文化を定着させるには、言説よりもリーダーの行動が大切である、というメッセージをバックボーンとして様々な事例が展開されていく。文化の形自体に正解があるわけではなく、アップルであればアップルの戦略に沿った文化が、アマゾンであればアマゾンの戦略に沿った文化を形成していくことが肝要である。このあたりは本を色々読んでみてほしい。

    本論からはズレるが、CEOにも「戦時のCEO」と「平時のCEO」がいてそれぞれ適性が異なり、どちらにも向いている人はいない…と書いてあったのが趣深かった。

  • ・文化の刷り込み(入社初日)、倫理規範を明確に、文化規範、言行一致、行動で示す

  • 『HARD THINGS』の著者としても有名な投資家、ベン・ホロウィッツが企業文化について書いた本。著者の経歴やタイトルからは意外なことに、武士道やチンギス・ハーンなど、歴史を事例に強い文化の作り方を語っていく。

    雑にまとめてしまえば、全てはトップの行動で決まるということだ。どんなに素晴らしい理念を掲げていたとしても、トップの行動がそれに反していたら意味はない。文化を作る上で「ショッキングなルールが有効」とあるが、これは何を優先しているのか行動で示すと共に文章化してあるから効果があるのだろう。ルールは具体的で、誤解の余地が少ない。だから徹底することができれば、文化の構築に役立つ。

    本書の例には出なかったが、トヨタはやはり文化構築の点でも優秀だったのだと思う。特に「あんどん」は分かりやすい。問題を解決するまで次に流すなと言っても、それを実行するのは難しい。しかし「あんどん」という誰の目にも分かる仕組みを用意し、停止表示がなされたなら、偉い人たちもそれに従う。そして異常でラインを止めた者に対して礼を言うところから始める。充分にショッキングなルールで、会社の価値観がはっきりと示される行動である。しかし最近トヨタは自動車整備関係の不祥事があった。点検に関しては文化の構築に失敗しているのたろうか。

  • ●要するにこういう本
    会社の文化を作るための心がけやノウハウ、事例が詰まった本。原題は『WHAT YOU DO IS WHO YOU ARE』で、「あなたのすることがあなた自身である」みたいな意味。本の中にも、行動で示せということがたくさん書かれている。

    ●なぜ読んだか。読書の目的
    文化の本ということもわからずに読んだ。『HARD THINGS』を読んでいる途中で、「ベン・ホロウィッツは言葉の使い方が巧みだなあ」と思っていて、彼が書いた2冊目がこれだということでペア読書した。

    ●気になったところとその理由

    ・イントロダクションでは、「企業文化とは」という説明や、本の構成(読み方)などが開設されているが、最後に「偉大な文化があっても偉大な企業が構築できるとは限らない」と書かれていた。私が以前、HPの日本法人にいたとき(入社は25年くらい前w)、HPには「HP WAY」という素晴らしい企業文化があった。大きな会社なのに社員はフラットで、当時から360度評価のようなものがあったし、企業内サーベイで満足度なども調査していた。でも、私の知る限り、一番の稼ぎ頭であったUNIXサーバーとかワークステーションとかがWindowsに押され、「偉大な企業」の立場を危うくしていった。文化が悪いのではなくて、プロダクトが時代に合わなくなってしまった。それに伴い文化も崩れていくことになる。だからって、その凋落は、HP WAYを否定するものではないと、私は今も思っている。

    ・企業文化を浸透させるために「ショッキングなルールを作る」というのは、インパクトのある提言だ。その条件とは、「記憶に残るもの/「なぜ?」と問いたくなるもの/文化に直接影響するもの/ほぼ毎日使うもの」ということ。例えばAmazonの「会議にスライドを使ってはいけない」というルールは有名。とてもショッキングだが「なぜ?」と人々が語ることで、文化が浸透していくわけだ。私は組織を持っていないけれど、自分だったらどうするか? と考えた。例えば私が白と黒の服しか着ないことは割とショッキングではあるが、その理由を聞かれてもあまり大した回答は出てこない。私のポリシーが表せるような理由にしておくと相手の印象に残るだろう。例えばこういうのはどうだろう。「本当に欲しいのか?」と自分に問うためだと。例えば青い服が素敵だなと思っても、それが黒か白だったら?と考える。そうすると、「白でも、青と同じくらい素敵だ」と想像できる。……うーんイマイチかも。あるいは「バランスから考えるから」というのはどうだろう。私は街ゆく人の服装を想像して歩いたことがある。「あの人はベージュと茶色のコーディネートが素敵だが、あれが白と黒だったらどうだろう?」そう考えると、白と黒のほうが素敵に思えた。ひとつひとつのアイテムではなく、全体で考えると白と黒のほうが素敵なのだ。……ううむ。もう少し説得力がいるねw 私が企業文化を作るとしたら、私が大事にするものはなんだろう? って、まず考えなくてはダメか。

    ・何が最優先かを行動で示す、という例がいたるところに出てきたが、ネットフリックスの例はとても印象深い。ネットフリックスはDVDの事業もしていたが、動画配信を最優先で進めたかった。ところが、経営会議では最終的にいつもDVD事業の話になってしまうという。動画配信が最優先だと示すために、DVD担当者を経営会議から一掃した。一緒に歩んできて、大好きなメンバーだったにも関わらず、だ。「動画配信が大事だ」と言うよりも、行動で示すことで伝わるものがある。なかなかできない決断だと思う。

    ・とはいえ、状況に応じて組織文化と違う行動を取ってしまうこともある。例に出ていたのは、「セキュリティはとても重要だ」と言いながら、経営者本人が利便性のために、個人のパソコンから会社のネットワークにアクセスする、みたいな例。間違ってしまったら、間違いを認めて、過剰なくらいに謝るべしと書かれていた。著者本人が、そうしたのだという。『HARD THINGS』に書かれていた、社員をレイオフする際の誠実な態度は印象深い。自分の中に、謝る基準を持っているといいのかもしれない。社会一般の倫理に反した場合と、会社の倫理(文化)に反した場合、どちらが社員に対する裏切りなのか。おそらく後者なのだろう。会社の経営者なら、会社の倫理によりセンシティブである必要があるのだろう。

    ・武士道は実践の積み重ねだ、と書かれていた。『武士道』は読みたいと思ったことはあるが、まだ読んではいない……。武士道で紹介されている『葉隠』のことも多く書かれていた。『図解 葉隠』(斉藤孝)、『葉隠入門』(三島由紀夫)と言った本も出版されているので読んでみたくなった。武士道がなぜそんなにも長い間浸透していたかという理由に、「常に死を意識していた」からだ、と書かれている。一日の初めに死についてじっくり考えなさい、とある。スティーブ・ジョブズもそうだったと聞いたことがある。死を意識すると、優しい気持ちになれるのだろうか。大切なものがわかるのだろうか。企業にとっては「会社が破産する姿を思い描く」ということらしい。そう思うと確かに、調子に乗るようなことはしたくないし、偉そうな態度もしたくなくなるだろう。

    ・武士道を紹介している章に書かれていたのが、著者がVCを立ち上げた際に起業家を尊敬すると決めたこと。ただし、「尊敬という価値観に目を向けるのではなく、時間を守るという行動を重視した」のだという。尊敬するという言葉の解釈は人によってあいまいだが、時間を守ることにより「尊敬(尊重?)している」という気持ちは確かに表せる。逆に、時間ギリギリに来たり、遅れてきたりする人が相手を尊敬しているとはあまり思わないからだ。ただこういうことは、少しだけ本質とずれていて、日本企業では往々にしてあり、形骸化しがちなことではないかとも思う。「挨拶を大きな声でする」「年に一度会社で運動会をする」といったことも、「仲よくしましょうね」を行動で規定したことなんだと思うが、それだけを残していても「意味あるの?」となってしまう。こういう規定はときどき見直すべきなんだろうと思う。

    ・武士道の章で出てきたのは、ネットスケープのヘビのたとえ話だ。簡単に言うと、「1.ヘビを見たらすぐ殺せ。やり方は関係ない」「2.殺したヘビをいじらない。次へ行け」「3.どんなチャンスも最初はヘビのように見える」ということだが、なんだか難しくてわかりにくい。でもこれを社員は喜んで説明して回ったという。ヘビとは「課題」「問題」みたいなこと。「課題や問題はとにかくすぐに潰して、決まったことにぐちぐち言わない。チャンスはトラブルの顔をして現れる」ということなんだろうか。3番目がなぜ必要なのかは難しい。ヘビを殺すというのは、チャンスを殺すということにならないのだろうか? もう少し教えてほしいな。

    ・「企業文化を理解するには、新人の振る舞いを見る。1週間たったら、会社のことを聴くといい」とのことだった。特に中途入社の人がいいのだろうと思う。自分を顧みると、確かに転職したばかりのときには「前の会社との違い」ばかりが目に付く。それは文化の違いに他ならない。当たり前だったことが当たり前でない。普通でないことがここでは当たり前。それが文化そのものなのだろう。家庭も同じだね。

    ・「理想の文化を築くためには、自分が何が欲しいかを知ること」という。「自分らしさ」といたるところで書かれていた。誰かの真似をするのではなく、自分の内面を、欲しいものを知る。私はひとり会社だけど、考えてみよう。自分が欲しいものは何なのか。

    ・最後にまとめがあるのはありがたい。目次でもっとちゃんと意識しておくのだった。「信頼」と「忠誠心」と「文化のチェックリスト」(「文化のデザイン」「文化の刷り込み」「ショッキングなルール」「外部のリーダーシップを取り込む」「見せしめ」「倫理規範を明確にする」「文化規範にインパクトのある定義を与える」「言行一致」「何が一番大切かを行動で示す」)の3つが書かれていた。3つと言いつつ、「文化のチェックリスト」が長すぎて……w。それにしても、文化を作るにはたくさんの要素があるのだなと思い知る。私が組織を作るとしてもはまだちょっと先だけど、自分が欲しいもの、自分らしさは明文化しておきたいと思った。

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著者プロフィール

ベン・ホロウィッツは次世代のテクノロジー企業のリーダーとなる起業家に投資するベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の共同創業者兼ゼネラル・パートナー。ニューヨーク・タイムズのベストセラー『HARD THINGS』(日経BP)の著者でもある。アンドリーセン・ホロウィッツを立ち上げる前はオプスウェア(旧ラウドクラウド)のCEO兼共同創業者を務めた。ラウドクラウドは2007年にヒューレット・パッカードから16億ドルで買収されている。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でコンピューターサイエンスの修士号を取得。またコロンビア大学でコンピューターサイエンスの学士号を取得している。妻と3人の子供と共にサンフランシスコ・ベイエリアで暮らしている。

「2020年 『Who You Are(フーユーアー)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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