● 位置: 359
このように左右両半球の働きが多少違うことから二つの思考モードが生まれたのかもしれない。ただし、あの人は「左脳」タイプとか「右脳」タイプなどといった考えに科学的根拠はない。MRI研究では真っ赤なうそである
● 位置: 619
経験則では今まで知らなかった概念を初めて学んだときは、ほったらかしにしないことだ。遅くとも翌日には教材に当たって再確認するなど二四時間以内に手をつけたほうがよい
● 位置: 873
チャンキングの第一段階は、チャンクにしたい基本概念に 注意を集中させる こと
● 位置: 880
チャンキングの第二段階は、チャンクにしたい基本概念を理解すること
● 位置: 891
チャンキングの第三段階は、作成したチャンクの利用法だけでなく、 どんなときに そのチャンクを使えるのか確認することである(状況の把握)。 このチャンキングの第三段階は、とくに解法のチャンクに当てはまる。広い視野を持って、チャンクにした解法とは無関係な問題や関係のある問題を反復練習すれば、そのチャンクを利用できるときだけでなく、どういう場合に 利用できないかが自ずと明らかになる。このようにして状況を把握すると、出来上がったチャンクを学習の全体像の中にはめ込みやすくなる。
● 位置: 923
教材をたんに読み直すことよりはるかに効果的なのは、その内容や概念など理解したい事柄を思い出すこと
● 位置: 935
教科書に印をつけるときは重要な概念に的を絞り、マーキングは一つの段落につき一文以下に抑えよう( 13)。マーキングより望ましいのは、重要な概念の要点を教科書の余白に書きつけることだ( 14)。さらに、数学や科学の宿題の問題は必ず自力で解くようにしたい。巻末に解答や略解が載っている教科書もあるが、答え合わせのときにのみ参照しよう。自分一人の力で問題を解けば、解き方が頭の中に深く根を下ろすので、必要なときに当の情報を利用しやすくなる
● 位置: 985
試しに、数学や科学の教材から概念を一つ選んで該当するページをじっくり読んでみよう。次に顔をあげて内容を思い出す。その後、再び教材に当たって概念を読み直してから内容を思い出す。この単純な思い出す練習を繰り返すだけでも、驚くほど概念を理解できるようになる
● 位置: 1,049
反復練習の効果は、二〇一一年に科学誌『サイエンス』に載った研究結果が実証している( 28)。研究では、大学生は科学の教科書を熟読してから書かれていた重要な概念をできるだけ多く思い出す(検索練習)という作業を繰り返している。その結果は──。 同じ時間量では他のどの方法よりも教材内容を思い出す練習のほうがはるかに深く、たくさん学べるのである。
● 位置: 1,150
学習能力の錯覚は、一つの解き方を長々と練習し続けることからでも起こる。同じ解法を使えば済むので楽であるし、問題が解ければ自分には能力があるように思えて気分がよくなる。しかし、それは錯覚であり、教科書の別の章にある問題や他の教材の問題に取り組んだりして学習を多様にすべきだ。当初は手こずるかもしれないが、このようなインターリーブで深く学べるようになる
● 位置: 1,488
先延ばしを防ぐには、結果に意識を集中することなく過程を積み重ねて習慣をつくり出すことに注意を向けなければならない。そうすれば、嫌な課題を済ませることにもなる。 例を挙げよう。目の前には大嫌いな数学の宿題がある。見れば 五問しかない。これなら軽いものだと考え、ずるずると引き延ばすことにする。ところが、空想の世界ではぎりぎり間に合うのに実際に始めてみると、五問を解くのがいかに骨が折れるか思い知る。 このように宿題の問題を解くという 結果 に意識を集中しないようにしよう。 結果を考えれば、 苦痛を覚える。 だから、 先延ばしにするのである。結果ではなく、宿題の問題を解いたり、試験の準備をしたりするのに必要な時間の積み重ね( 過程)に注意を向けてみる。
● 位置: 1,611
次に紹介するのは、大学復帰を含めて成功への道を苦労しつつ歩み始めたときに学んだ教訓です。 ・成績は人を表さない。人は成績より優れている。成績は時間管理の得手不得手や成功率を指している。 ・成績が悪いからといって駄目な人間というわけではない。 ・先延ばしは成功の命取りになる。 ・ほどほどのペースで前進し、時間を上手に管理するのが学習の秘訣。 ・準備万端整えておけば、いつかは成功する。 ・失敗しやすい人もいれば失敗しにくい人もいるように、失敗率は人それぞれだ。割合が違っても誰だってしくじる。だからこそ、宿題をきちんと済ませて失敗率を使い果たす。 ・『練習によって完璧になる』というのは真っ赤なうそ。実際には練習することで上達してくる。 ・間違えそうなところを練習する。 ・試験当日を除いて(!)いつでも、どこでも練習する。 ・ほったらかしにしていた課題を一夜漬けで済ませようと思ってもうまくいかない。 ・一夜漬けの試験勉強は 小技 を使った勝負であり満足感は少ないし、一時的な成果しか上がらない。 ・学習は息の長い勝負であり、人生最大の報酬を手に入れることができる。 ・人は生涯学習者であるべきだ。 人生のどの段階 でも つねに 学ばなければならない。 ・失敗を認め、一つ一つの間違いを尊重する。 ・もう一度挑戦する
● 位置: 1,662
4 睡眠を取る 就寝前にまた問題を解こう(3)。ある段階で行き詰まっても、問題が問うていることに 耳を澄ますようにすれば、睡眠中に脳は次の手順を耳打ちしてくれるだろう。 5 駄目押しの反復練習をする 翌朝、同じ問題に取り組むと、これまで引っかかっていたのがうそのようにあっさり解けるだろう。こうして解き方を十分に理解できた時点で、解法の各手順を冷静に振り返ってみる。その際、いちばん難しかった手順を取り上げて念のために練習することを「意図的練習」という。「何回練習するんだ」とうんざりするかもしれないが、効果はある。意図的練習の代わりに、同じような問題を楽に解けるかどうか試すこともできる。練習後、問題の解き方をチャンクにして頭の中の図書館に収める。 6 別の問題をつけ加える 解答・解法つきの問題を新たに選んで解いてみよう。その解き方は、最初の問題の解法に続いて二番目のチャンクにすることができる。新しい問題を一度解いたら、本コラムの2~5の段階を繰り返す。そうして問題になじんだら、解法をチャンク図書館に収め、次の問題に移る。チャンクが二つ増えただけでもびっくりするほど問題をよく理解できる
● 位置: 1,695
ある研究では、教材をたんに読み直すのではなく、教材内容を思い出すことに努力すれば努力するほど、その内容は記憶に深くとどまる(7)。チェス名人の場合は、最高の次の一手となる盤面の駒の配置をチャンクにまとめることに力を入れて当のチャンクを長期記憶に保管している。おかげで試合本番では最適な指し手を選ぶことができる(8)。名人と下位のチェスプレイヤーの違いは、練習時間の使い方にある。名人は自分の弱点を見極め、それを補強することに時間を多く割いて
● 位置: 2,399
子どもの頃にスポーツや物を分解して組み立て直すことに熱心ではなかった人もまだ間に合います。空間認識技能は根気よく練習すれば、成人期に入っても身につくのです。 では、実際にどう練習するのか。まず、物を正確にスケッチする。次に、観察する位置を変えながら物をスケッチすること。3Dコンピュータゲームをやること。立体ジグソーパズルを完成させること(平面ジグソーパズルから始めたほうがよさそうですね!)。友人の車に乗ったときはカーナビではなく、地図を見て道を指示すること。なかんずく諦めないこと。取り組み続けること
● 位置: 2,566
結論を出そう。情報を記憶する際に言葉を使う代わりに、心の中にイメージを描けば、あまり苦労せずに専門家のレベルに近づく。言い換えると、数学や科学の概念を視覚的に処理することが、教材内容を習得するのにすこぶる効果的な方法である( 13)。
● 位置: 3,127
・独力で勉強することも効果的な学習法だ。独習には有利な点が二つある。自主的に考えられるようになることと、ひねった試験問題に強くなることである。 ・学習では粘り強さは知能よりも重要になる場合がある
● 位置: 3,131
が遅くて要点をすばやくつかめなくとも絶望することはない。そういう学生はのみ込みが早い学生が見逃している重要な問題に取り組んでいることが多いのである。それに気づいて調べたり、質問したりすれば問題を深く理解できるようになる
● 位置: 3,133
・人は協力的でありながら競争心が旺盛なので、業績や努力をけなしたり、無に帰そうとする者が必ずいる。このような問題に冷静に対処できるようになろう
● 位置: 3,226
数学の方程式を扱うときも大局的見地が役立つ。数学が苦手な人の多くは教師や教材の解法パターンを必死に探し出し、そのパターンに合わせて方程式を解こうとする。これに対して数学が得意な人は、方程式が意味していることや当の方程式の由来は何かと自問するものである
● 位置: 3,300
・グループ学習で批判されても自分のことをあれこれ指しているのではなく、問題のとらえ方や解釈に言及していると心得る。 ・手抜きや妥協など、自分をごまかすことほどたやすいことはない。地道に学ぼう
● 位置: 3,542
一方、一流の科学者や工学者、芸術家、マグヌス・カールセンのようなチェス名人は活動と休息を繰り返す脳の自然なリズムをうまく利用している。科学者らは問題を頭に叩き込むことに注意を集中させてから、注意を別のものに転じるのである。このようにして集中モード思考と拡散モード思考を交互に行うと、複数の脳領域が働くために解決策を思いつきやすくなる。 脳はつくり直すことができる。秘訣は粘り強さにあり、自分の脳の強みと弱みを心得ながら 捲 まず 撓まず勉強しよう
● 位置: 3,554
注意点を挙げれば、脳の一部は不正解であっても「それで結構」と思い込むよう配線されていることだ。そこで、試験の答案用紙を提出する前に「本当に筋の通った答えか」と思い直し、解答を再確認しよう。自分の学習能力にしても、実力があると錯覚しているかもしれない。教材内容を思い出すことで自分をテストしたり、学習仲間に質問してもらったりすれば、錯覚なのかどうか判断できるだろう。理解不足と並んで錯覚は学や科学の学習をつまずかせる
● 位置: 3,575
世界の優れた頭脳が使ってきた技がある。弟や妹でもわかるよう物事を平易に表現することだ。これは物理学者リチャード・ファインマンの取り組み方でもあり、やさしい言葉で述べるようにと、複雑極まりない理論を打ち立てた数学者に迫った。はたして数学者は言い直すことができた。読者にもできるだろう
● 位置: 3,595
効果的な学習の一〇のルール
1. 思い出す。
教材を1ページ読んだら顔をあげて要点を思い出そう。
2. 自分をテストしてみる。
教材の内容を把握して覚え込んだかどうか、常に自分をテストしよう。
3. 解法をチャンクにする。
問題の解き方を理解し、繰り返し練習してチャンクにまとめれば、下方が一瞬にして思い浮かぶようになる。一度答えを出せた問題でも解法の手順を一つ一つ確認しながら反復して完璧に解けるようにしよう。
4. 間隔反復を試す。
覚えておきたい情報は間隔をおきながら思い出すようにしよう。
5. 複数の解法で練習する。
別の解法が必要な問題も混ぜながら取り組めば、ある一つの解法はどのように利用するかだけではなく、どういうときに使うのかがはっきりのみこめる。
6. 休憩をとる。
7. わかりやすい説明と比喩の効果を利用する。
難しい概念は10歳のこどもの聞き手を念頭においた平易な説明を考えると、当の概念を深く利用できるようになる。頭の中で考えるだけではなく、ノートに書いたりする。
8. 集中する。
→ ポモドーロを使う。
9. 厄介な課題から手をつけ始める。
10. メンタルコンスとラスティング
● 位置: 3,640
椅子に座って教材に目を走らせる。このように受動的に教材を読み直しても効果は期待できない。一ページ読んだら顔をあげて要点を思い出そう。こうすることで教材内容を頭に入れることができる
● 位置: 3,646
問題の解答や解法をちらっと見て解き方がわかったと考える。これは学習で起こりやすい最悪の思い違いである。参考書の巻末にある答えや解き方を見ることなく、段階をふんで問題を解けなければならない
● 位置: 3,659
教科書を読まないでいきなり問題を解き始める 泳ぎ方を覚えないうちにプールに飛び込むだろうか。教科書はいわばインストラクターであり、正解できるよう導いてくれる。目を通すのを面倒がれば、いずれまごついて時間が虚しく過ぎていく。教科書の読み方にもコツがある。一章分をざっと読んで内容を把握してから、じっくり読み始めよう