1991年、島田荘司の推薦で、本作でデビューしたという記述を読み、珍トリックの心づもりをしてkindleアンリミテッドで読んだ。
意欲作なのはわかるが、期待通りにいろいろと無理が多かった。
・惨劇の舞台となる人形の村は、今はさびれていて村人が10人ぐらいという設定。もはや村ではない。
・川を挟んで離れた家に向かって、「櫓」と「水車」にひっかけたゴムひもでゴム鉄砲を作り、刃物を飛ばして被害者の首にヒットさせ、回収したというトリック。何度も練習したならまだしも、一回で成功させている。探偵の再現実験では女性のスカートの腰のゴムを使っていたが、おそらく全体で50メートルほどの長さになるゴムを、鉄砲として使うには、かなりの特注品のゴムでないと無理ではないか。
・死んだはずの男が、別の死体で死んだと見せかけ、十数年、同じ建物と地下などを使って暮らし続けていたというおなじみ設定。
・夜中に「高速で走る小人」が現れた怪異は、「スケートボードに膝立ちで乗った男が坂道をスーッと移動していた」というトリック。
・和歌に仕組まれた暗号が、折句はいいのだが、「意味があると思われる単語の二文字目をとって、頭に「ニ」を置く」など、本人でないと解けるものではない。
・何の伏線もなく、最後に、犯人のひとりが心血そそいで作っていた「からくり人形たちによる忠臣蔵」が出てくるが、せめて何か物語と絡めて欲しい。
良かった点
・前半の探偵的な役回りの人物が、普通に殺されて、探偵役を交代する。
・後半の探偵が、容疑者の一人に迫られて普通にセックスする。これは探偵役として個人的にあまり好きな行動ではないが、その際、乳首舐めをされていた(女性による男性の乳首舐め)のが面白かった。
いろいろとダメな作品だったが、乳首加点で☆1。