太平洋戦争の収支決算報告 [Kindle]

著者 :
  • 彩図社
4.00
  • (3)
  • (1)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 15
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (279ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 太平洋戦争を収支という視点で分析する内容。
    戦争に至る経緯の説明が意外と詳しく、戦争を始めた理由の理解に役立つ。

    <読んだ動機>
    コロナ禍という非常事態を受け、過去の非常事態から学びたくなり、太平洋戦争関係の本をいくつか読んでみている。

    <成果>
    戦争を知らない我々は、戦争は1945年で終わった、と思っているが、そんなことはないということがよくわかった。

    <主なポイント>
    ・1937年から終戦までに使った軍事費は、GDPのほぼ二倍。この莫大な軍事費は国民からの借金によって賄われ、戦後はハイパーインフレにより踏み倒された。
    ・軍は人件費を切り詰める一方、兵器には金をかけた。
    ・戦争により、国内の資産の約25%が失われた。
    ・戦争により、主要産業の生産設備は20〜50%が破壊された。
    ・植民地や占領地は、どれも満足に利益を生まないうちに手放さざるを得なかった。植民地や占領地には油田もあり、日本は資源国になる可能性さえ秘めていた。日本が去った後に残された設備は、現地で大いに活用された。
    ・戦後、戦勝国への賠償は、ある程度在外資産と相殺された。一方で、旧植民地や占領地には賠償金や無償経済協力、経済協力金など様々な形で賠償をし続けることになる。
    ・1959年時点で、一世帯あたりの賠償額が大卒初任給を超えている。
    ・戦争により人命は失われ、街は瓦礫になり、資産は紙屑になった。引き換えに得たものは、ない。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

大阪芸術大学卒業。著書に『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社)、『戦術の日本史』(宝島社)、『牧野富太郎~雑草という草はない~』(角川文庫)、『戦艦大和の収支決算報告』『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)などがある。雑誌『Shi-Ba』で「ニッポン地犬紀行」、web「さんたつ」で「街の歌が聴こえる」を連載中。

「2023年 『ウソみたいだけど本当にあった歴史雑学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青山誠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×