そして、バトンは渡された (文春文庫) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 「親が決めたことに従うしかない。子どもというのはそういうものなのだ。それを思い知った気がした。」p177

    瀬尾まいこさん著『そして、バトンは渡された』の概要と感想になります。

    複雑な家庭事情の中で生まれ育った優子は周りの子ども達との違いに悲観せず、子どもながらに物分りが良すぎる学生時代を過ごす。しかし物語は、高校時代のある人との出逢いから様々な色を醸し出していく。

    読む前と後とで作品の印象がだいぶ変わったなぁ〜と感じる本作でしたが、瀬尾まいこさんの言葉はスッと心に染み渡り、読後は幸福感で一杯になりました。

    上白石萌音さんは解説の中で瀬尾まいこさんの応援キャンペーンを通じてサイン本を頂いたとありますが、私も瀬尾まいこさんのサイン本をゲットしたくなりましたね。推していきたい作家さんが増えて嬉しいです♪

  • 多くのお気に入りさんのお薦めの本。優子と血の繋がる母親は他界し、父親は海外異動により、継母が日本で育てる。さらに継母の結婚×2。ここまでくると誰が親でも構わない。しかし、親たちが優子のことを思いやる気持ちは全員一致していた。優子のパーソナリティ(自己コントロール能力、協調性、そして優しさ)は自分を成長させるだけではなく、親をも助けていたんだなと思う。自分の長女もそろそろ高校生。「ただただ不潔で厄介なだけ」と言われないようにしなくては!どうしたもんかな?最近、確かに口うるさく言っているので少し自制しよう。

  • とにかく感動、感動、感動の嵐で、泣けた。

    主人公の優子は、大人になるまでに、何回も親が変わっている女の子だ。住む環境、親が違うことで、冷めたところがあり、周りの人からは少し性格が変わっていると言われている。小学校から高校生までに起こる色々な出来事に対して彼女なりに立ち向かっていく姿に、読んでいて勇気づけられる。

    家族とは何かについて考えさせられ、血がつながっていなくても、主人公は十分に愛されていることが伝わってきた。
    それぞれの親がそれぞれの愛情表現で、優子と接しているのが印象に残った。特に、梨花さんは、見た目は母親らしくないので、初めは印象が悪かったが、憎めないところもあり、この話に欠かせないなと思う。
    森宮さんと優子のシーンでは、餃子を一緒に食べているところがお気に入りだ。これは、優子が友だちとの関係で悩んでいるときのものだが、森宮さんなりの方法で、彼女を励ましているところに、くすっと笑えるが、同時に和やかな気持ちになった。

    優子の未来をもっと見ていたいなあ、続編があって欲しい。きっと素敵な温かい家庭を築いているだろう。
    映画も見てみたいなあ。

  • キレイにバトンは渡った
    わ〜 ダメダメ
    まんまとホロリとさせられた(笑)

    人の親だから、云々、全く関係ない
    自分が託されたように、
    次の世代へ託していく、
    親だけじゃない全ての人間が考えなきゃいけない
    そんな気持ちにさせられる物語

  • 本屋大賞受賞後に読んで笑い泣き、先日映画館で号泣。
    そして、「バトンは再読された。」
    また、涙。笑いも。
    こんなにもすがすがしい物語に感謝です。

  • 2019年「本屋大賞」受賞作品

    2歳で母親と死別し、その後様々な理由で5人の両親との生活を経験する優子。
    3回も苗字が変わり、住む環境も次々と変わっていくのに本人は、全然不幸じゃないという。
    5人の両親は誰もが優子の幸せを願い、できる限りのことをしてくれ、彼女もまた、幼い頃からその愛情に応えようとしてきた‥

    血の繋がらない子のことを、こんなふうに自分の人生をかけてまで本気で愛せる人たちがいるのだろうかと思った。
    でも、血が繋がっていようがいまいがそんなことは関係なく、優子自身が、ひとりの人間として育てなければいけないという使命感を掻き立たせる存在だったんだな。

    バトンとは、優子の親から次の親へ引き継ぐものだと思って読み進めたが、終盤の第2章で、そうか、そうだ、と気付いた。
    そして結婚に反対する森宮さんと早瀬君の応酬から、ラストにかけて判明する二人の行動には心打たれた。

    深い深い愛に満ちた家族の物語。

  • 死別に離婚にと、幼い頃から母親も父親も入れ替わってきた優子。何度も名字が変わり、さぞ苦労人かと思いきや本人はいたって普通に過ごしている。なぜなら皆優子を大事に思い、育ててきたから。
    バトンを繋げた森宮さんの気持ちを思うと胸がいっぱいになる。

  • 主人公の優子は高校生の時点ですでに母親 2人、父親 3人という遍歴を持つ。この小説は実の両親以外と暮らす様子を中心に描いているが、問題という問題がほとんど描かれていない。登場してくる母親や父親が良い人ばかりという、小説でありながら珍しい設定だ。現実的には血の繋がらない親子の間には問題もたくさんあると思う。だから、この小説で表されているような面ばかりではないと思う。ただ、この小説はそんなネガティブな面を捉えずに感動的な物語となっている。そして優子自身も非常に魅力的なキャラクターとして描かれている。文章も軽快で非常に読みやすかった。全ての人におすすめできる小説だ。

  • 勝手に切なくなったけど、みんなに読んでもらいたい。

    親が変わると少なからず辛い思いを必ずすると自分は思っていた。でもそうじゃなく、主人公はみんなにいろんな形でちゃんと愛されていた。そしてそれを無理のない感じで受け止めて、たくましいなと思った。悩んだり悲しんだりしながらも、流れに逆らわない感じ、素直な感じが、自分にはできないなーと少し不思議だった。でも主人公はそれが出来たから、たくさんの親に愛されたんだろうなと思った。相手の行動や気持の裏を考えてしまうのは良くないからやめたいけど、できるかな。

    主人公の言葉で、「家族に線を引いて冷めた静かな気持ちでいないと寂しさや悲しさでおかしくなると思っていた。」とあって、その気持ちはよく分かった。自分の場合は、誰かを好きになる事に対して線を引いて冷めた感じで生きてきた気がする。じゃないと、寂しさや悲しさに耐えられないと、今でも思ってる。それを忘れるような誰かに会ったり、そんな自分になれる日が来ると良いな。

    誰かの未来を思って生きるのは、本当に幸せなんだなと改めて思った。バトンを渡せる事は幸せな事だ。やっぱりそうだよなと思ったからこそ、今の私はバトンを渡す事が想像できなくて、良い話を読んだのに切ない気持ちが残った。

    でもとても素敵な話だから、みんなに読んでもらいたい。そう思った。読んで良かった。

  • 子どもは血が繋がっていなくても、親として一緒に住んでいる人、一緒に過ごしている人に少なからず影響を受け、似てくるんだなぁと思った。血が繋がった親でも、十分に愛情を注いでもらえない子どももいる中、親となった多くの人に、たくさんの愛情を注いでもらった優子は幸せものだと思う。これから先も、幸せな未来へバトンが渡されますように。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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