たなかさんの感想
2020年10月5日
真城の抱えているものが、重い。たぶんほんのちょっとのずれとストレスの積み重ねだったのだろうと思う。でも、積み重なったそれはもう、どうしようもない重さになる。お互いに。真城が、自分でもわからぬままに泣き出してしまったときに、読んでいるわたしのほうがおろおろしてしまった。もういいよ、ようがんばったよ、もうがんばらんでいいよ、的な。奏の温かさは偉大だなぁ。たぶんほんのちょっとの重なりなのだ。 真城の親が、自分の親と話をしている場面を読んで、自分の視線は大いにこちらに向いてしまっているなと思った。この人がここから先の歩みを、一所懸命積み重ねていく話が読みたいと。人と人との関わりは難しい。それが家族であれば殊に。