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感想・レビュー・書評
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まあ依存症はむずかしい。
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面白かった。セックス依存症にはマスターベーションのやりすぎも含まれる。著者が監修をつとめた「セックス依存症になりました」と併せて読むと、なおよし。
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これがテーマの本を書いているので、参考書? として購入した。
セックス以外の依存症にも当てはまることが多々あり、様々なことを学んだ。
筆者の優しさが時々、にじみ出ていて、それもよかった。 -
■行為・プロセス依存に共通する7つの特徴
①反復性
・「繰り返す」という依存症の大きな特徴
⓶衝動性
・「スイッチ」が入ってしまうと突き動かされて自分を止められず、衝動制御ができなくなり、行為をやりきらないと収まらない状態
③強迫性
「それをしないと、とにかく一日が終わらない」
④貪欲性
自分が欲するものに執着し飽きることを知らないという意味
⑤有害性
・有害なものだと頭では分かっていても、どうしてもやってしまうこと
⑥自我親和性
・その行動が自我、つまり自分の心と親和的であることを指す。周りから見ても痛々しく映るのにそれでもなお問題行動を繰り返してしまうのはそこに「メリット」があるから
⑦行為のエスカレーション
・ある問題行動を繰り返していくうちに量が増えたり頻度が上がったり、やり方や手法が大胆になっていくこと
■人がその物質や行為から得られる高揚感や快楽にハマることを「正の強化」という。これまで依存症は脳の方集計に作用する「正の強化」が主な原因とされていた。それに対して心理的な苦痛や不安を一時的に緩和してくれることを「負の強化」という。人間は「正の強化」よりも「負の強化」の方がハマりやすい。薬物やアルコールは、それがどんなに気持ちよくても回数や量に限界がある。快楽を追い求める「正の強化」に限界がある一方で「負の強化」にはそれがない。辛かった記憶や心理的苦痛がすべてなくなることはないから。「負の強化」こそ依存症の本質と言ってもよい。
■依存症に共通している特徴として「すり替え充足」と「充足パラドックス」という概念がある。
・「すり替え充足」とは真の欲求や渇望をすぐ手に入る「ありあわせのもの」で間に合わせること
・「充足パラドックス」とはアルコールの場合、飲めば満たされると思って「これが最後の一杯」と飲み始めたらその酒が呼び水となって逆にもっともっと欲しくなってしまう状態のこと。ギャンブルの場合、当初は一回の価値で欲求は満たされるが繰り返しているうちに一回の成功体験では欲求が充足されず、さらなる勝ちを求めて得たお金を次のギャンブルに投入することになってしまう。負けた場合は不快な感情が生まれそれを埋め合わせるために次のギャンブルにのめり込むという悪循環のパターンに陥っていく
■依存症に回復はあっても完治は困難。
・気合や根性では長続きしない。強くなることと止め続けることは別問題
■なぜ依存症になるのか。
・あらゆる依存症の本質は脳の報酬系の機能不全の問題と言われる。報酬系の神経回路が乗っ取られてしまう状態
・依存症は「学習された行動」。ある行動をした直後に快感が得られたり何か良い結果が伴ったりするとその行動の頻度が増すという法則がある。これを「強化の原則」という
・リスクやスリルが味わえたり達成感や優越感を得ることができたりすると、その行動が強化され頻度が上がっていく
■依存症は「やめる」のではなく「やめ続ける」
・人間が何らかの快感を覚えるとき脳の中の報酬系と呼ばれる部位でドーパミンという神経伝達物質が多量に分泌される
・ドーパミンは快感をもたらすだけでなく心拍数や呼吸数を亢進させたり気持ちを高ぶらせたりする働きがある。これは脳内麻薬のような物質でこの快感が忘れられずいくら強い意志を持って「やめたい」「やめよう」と思ってもそれ以上に強く働き、その結果本人の意思とは関係なく「やめたくてもやめられない」という状態に陥り、嗜癖行動が亢進していく
・一時的にやめることではなく「やめ続けていくこと」が回復
■依存症回復のカギは自己肯定感より「自己受容」
・育ったところがどんなに過酷な環境であっても、いい大学を出ていなくても、有名な会社に就職していなくても、どんなにひどい底つき体験をしていても「自分の今の心と身体でOKなんだ」と思って生きていける。そんな心理状態を仲間との分かち合いを通して時間をかけて育んでいくプロセスが「自己受容」だと考える