疼くひと [Kindle]

著者 :
  • 中央公論新社
3.15
  • (1)
  • (4)
  • (5)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 68
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (240ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 70歳相手の50代となると

    相手に別の野心があって当然かと思って

    ひやひやしてしまいましたが

    そんなサスペンスもなく



    思いのほか 年下の男 蓮が

    奇妙な生い立ちと 魅力を持っていて

    燿子にむかって 純な気持ちを

    持っていることに ほっとしたり・・・

    肉体がある限り

    肉体を使って愛しあうのは

    当たり前のことかも

  • 古稀を迎えひとりの暮らしを丁寧に過ごす女性が主人公の本。

    「老い」と「セクシャリティ」を主題に、映画やドラマではできない表現を作りたいと著者が言うように、さすが著者はドラマの脚本家、文字に力がある。

    作る料理はどれも美味しそうだし、感情や恋愛のどれもが生生しく描かれ、手を止めることなく一気に読んでしまった。エロい。

  • 評判がすこぶる悪かったので、つまらなかったら途中でやめようと思ったのですが、文章力があるので、退屈しないで読めました。

    文体というのかタッチは「最後のひと」に似てますし、松井さんの感性や観察力はキチンとしてると思います。他の本が出ても読めそうです。

    『燿子のほうは、いつもひとりでする買い物を、今日は二人でしていることに、心浮き立っていた。』といったどうということのないエピソードがありそうなことばかりで、退屈しません。文章に緊張感があります。

    一番よかったのは前半の前の夫と別れる経緯などかな。松井さんの実体験をストレートに書いてるのだろうかというリアリティで読ませます。

    恋人ができてからは、この恋人像が女性から見た理想像みたいで男性からはピンときません。

    夏目漱石の「それから」を読む鳶職という、知的肉体派といった設定や、彼女を愛してるということを能弁に語るんですね。ときに涙して。白馬の騎士につぐ理想的男子ではありませんか。

    女性のほうはとまどいながら次第に惹かれていくって、なんだか昔の恋愛小説のパターンのような気がします。

    女心をわきまえスマートで、情熱的でクールで、そんなヤツおらんやろと思ってしまいます。

    別に小説はリアルな必要はなく、夢に出てくるような男性の夢物語を読みたいってことでいいんだろうけど。読者層は女性ってことですね。

    「最後のひと」の教授は受け入れられます。「最後のひと」は章ごとに主人公を替えたのもよかった。「疼くひと」でそれは出来ないんじゃないですかね。薄っぺらで。

    55歳の男性が70歳の女性を好きになる動機をリアルにするために、小さい時の中年女性との性体験が出てきます。

    これは昔は性におおらかだったのに今は閉鎖的、だから高齢者の性も色眼鏡で見ることになるといった意味合いも出てきていて、必要だったのでしょう。

    ただ興味は全くない話で、ないと彼の言動が不可解になるのでしょうがない。

    55歳と70歳の恋愛だと、普通は母親がわりというマザコンを動機にするしかなく、それではまずいですからね。

    ただ小さい頃のいびつな性体験がないと55歳の男性と70歳の女性の恋愛は成立しないというのはまずい気がします。普遍的な恋愛ではない、特殊な恋愛ってなりますね。これがこの小説の一番の弱点かと。

    「恋愛は年齢に関係ない」って視点では書き切れなかった想像力か筆力のなさですね。実際は年齢にひどくこだわってるように読めます。

    展開として、会うとすぐにホテルに行ってしまうのも性急(文字通り)すぎる気がします。順当なら会うことを何度か重ねるというプロセスが入ると思うのですが。

    オシッコについては、なぜこれを入れたんだろ。ポルノ小説にありがちな設定なんだろうか。不可解です。性癖は非難すべきではないですが。

    主人公は普通の人より自分へのこだわり、プライドが強すぎます。エリート意識がある知識階級の人というイメージがありますね。好きになるタイプではない。これは松井さんの意識の反映でしょうね。

    最後はもっと不可解です。

    別れのMailを出した後に事故死しているということは、自殺という読み方でいいんだろうか。

    恋愛ドラマにありがちな「出会いと別れ」というようには描きたくなかったのか唐突感がありますね。

  • とどのつまりが、自分をどこまで解き放てるか。
    あるがままの自分の、完全なる自由。
    常識、社会的な規範、世間の眼、愛する者たちの願い、
     そのときどきの美学・・・。
    いずれにも頓着せず、私自身でいること。
    それは、人生におけるいちばんの価値を、
     孤独におくことである。

    こんな、すばらしく魅力的な文章で始まる。
    ワクワクしながら読み進めていったのだが・・・
    期待していた「自由」はついに現れなかった。

    むしろ、70歳を目前に、という年齢の呪縛を繰り返し、
    息苦しさすら覚えてしまう。
    SNSで知り合った、ちょっと危ない感じの人との恋に
    年の差意識が付きまとうのは仕方ないとしても
    どこか自由というよりは、無理している過剰さを感じる

    せめて、最後に、その奇妙な恋人が
    30年来の妻を持つ身だったということ、
    自殺を疑わせる事故で死亡する、なんていう展開は
    やめてほしかった。

    もっと自由に、人との出会いや恋を楽しんで
    人生の綾を楽しんで、颯爽と生きてほしかった。
    年を重ねるって、清濁併せ吞むっていうしなやかさじゃないの?
    高齢になっても、激しい恋はできるのよ、って
    言いたかったの?
    性的興奮を感じられる「自由」の話だったの?

  • ----
    脚本家・唐沢燿子は古稀をむかえ、日に日に「老い」を感じていた。しかしSNSで年下の男と出会い、生活が一変する。70歳から始まった、身も心も溺れた恋の行方は……。大人の恋愛小説。
    ----
    "ご自由にお持ちください"コーナーからもらってきた本。70歳をすぎてこんなことが起きるか?という現実味のない内容に入り込めず、どこか作り話っぽいイメージが抜けず、最後まで読むのが大変だった。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

松井久子
1946年東京出身。早稲田大学文学部演劇科卒。雑誌ライター、テレビドラマのプロデューサーを経て、98年映画『ユキエ』で監督デビュー。2002年『折り梅』公開、2年間で100万人の動員を果たす。10年日米合作映画『レオニー』を発表、13年春世界公開された。15年『何を怖れる フェミニズムを生きた女たち』、16年『不思議なクニの憲法』と2作のドキュメンタリー映画を手がけ、自作の上映会や講演で全国を歩く。著書に『ソリストの思考術 松井久子の生きる力』ほか。

「2022年 『最後のひと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松井久子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×