- Amazon.co.jp ・雑誌 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 4910159230516
感想・レビュー・書評
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そこで暮らしたことはないけれど、なんだか懐かしくて泣けてくる。
魂の記憶を揺さぶる、山里の暮らしをつづった写真絵本。
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新潟県上越市の「中ノ俣」という小さな村の1年の暮らしを写真と文でつづった絵本です。
冬になると雪が2メートル以上積もる地域で、近くの町までは車で30~40分かかります。
そんな中の俣の人たちは、厳しい自然と共存しています。
コンビニも100均もスーパーもないけれど、中ノ俣の人たちは藁から草履や長靴、カゴなどを作り出し、山菜や野菜からおいしいご馳走を作って保存しています。
ゲームセンターやカラオケはないけれど、絶えないおしゃべりと人々の笑顔がそこにはあります。
便利になった暮らしのなかで、人々が失っていったものが、中ノ俣にはあふれています。
そこで暮らしたことはないのに、この絵本を読んでいると不思議と「懐かしいな」と思えてくるのです。
わたし自身の記憶というよりも、太古の人々が紡いできた魂の記憶が、反応しているとでもいうのでしょうか。
とても懐かしくてたまりません。
声高にSDGSなんてものを叫ばなくても、自然から作り出した暮らしの道具や食べ物が、中ノ俣にはあふれています。
その道具や食べ物は自然を汚すことなく、すっとまた自然の輪の中へ還っていけるものばかりです。
不便だけれど、そこにある心豊かな暮らしがとてもうらやましく、何度も何度もページを開いてしまう、そんな絵本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新潟県の山間にある小さな村「中ノ俣」を取材した写真絵本。
コンビニはもちろん、ふつうのお店さえないという小さな集落。春に山から神さまを迎え、お米や野菜をつくり、山菜をとり料理し、秋には神さまを山へ送り、雪に閉ざされた冬はわらをなって必要なものをつくるという一年間。もうこどもは住んでおらず、お年寄りもどんどんなくなって、古くから続く習慣や文化もじわじわと存続の危機を迎えているが、淡々と続いている暮らしの貴重な記録。惜しみつつ、なすすべがないのがやるせない。 -
新潟県上越の山中にある中ノ俣という集落で過ごす老人たちの写真集。
強固な人間関係、美しい自然、山のものを存分に利用する知識と技術。
農産物や山林から手作業で生み出される道具はどれも美しい。
とはいえ、中東で掘り出されたガソリンと灯油あってこそのこの生活という気もする。