エレジーは流れない [Kindle]

著者 :
  • 双葉社
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感想・レビュー・書評

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  • 登場するキャラクターのパンチが抜群です。そして、餅湯温泉というなんともいえない、存在自体がゆるキャラのような舞台。将来をぼんやり悩む若者たちが、明るく笑いながら一瞬を楽しんでいる様子が新鮮でした。

  • そうか、それでこの題名! 最後まで読むとわかる。某餅のCMソングを思わずくちづさむ。

  • 海があり山が迫っている温泉町で繰り広げられる主に男子高校生の日常。なんとなく熱海みたいなのでその景色を重ねて、海風を感じながら読み進めました。
    昔ながらの商店街、ご近所なんでも筒抜け、時代を感じるお土産物、迫力の祭、夏の花火大会、町営の温泉。
    三浦しをんさんの描く男子って元気な子もおとなしめの子も本当に魅力的。本作では女性陣もなかなか肝のすわった人揃い。楽しく読了しました。
    それにしても餅湯、なんていい名前なんでしょう。

  • 温泉街でながれてる、ゆるい曲のように
    まったりゆったりしたペースで流れていく日常。
    母二人というトンデモ設定なのに、それが逆に現実的に思えてしまうのが不思議だ。

  • 餅湯温泉の商店街にあるお土産物屋の息子、高2の怜の物語。お土産物屋は母の寿絵が営んでいるが繁盛はしていない。怜にはもう一人、母親がいる。会社を経営していてお金持ちの伊都子さんだ。怜は普段は寿絵と商店街で暮らすが、定期的に大豪邸の伊都子のところにも泊まりに行っている。

    私は、この本を職域のコロナワクチンの2度目の接種日から読み始めた。ワクチンの副反応は2日間続き、高熱と身体の痛みに辛い思いをした。でも、布団に横になりながら声を出して笑った。怜と同じ商店街の息子の竜人、マルちゃん、小学校からの同級生心平、それから、餅湯と対立する元湯町の藤島、彼等、怜の同級生の愛すべきキャラクターと彼等の軽快なやりとりが面白かったから。そして、青春だなぁと嬉しくなったから。

    夏休みに入るので、私は4冊本を買って帰ったのだけど、三浦しをんを残しておいてた自分を褒めたい。三浦しをんさま、ありがとう。私はお陰様で副反応に耐えることができました。
    三浦しをんさま、スピンオフ書いてください。同級生でも伊都子さんでも慎一さん(伊都子さんのツバメ⁇)でも、楽しみにしています。

  • 実はいろんな境遇の人が案外いるわけで・・・。そんな人たちも含めて一つの共同体、町ができている。そんなだから、ピカピカの都会と違って、人間臭くて・・・、そんな町が好きになるんだろうな。

  • 二人の母をもつ温泉に暮らす高校生の日常。それだけでよかったな。

  • 湯の街を舞台にした高校2年生たちのドタバタ喜劇、青春劇というべき内容。著者はいつもながらユーモアたっぷりの文章が上手い。穂積怜という母親2人(寿絵と伊都子)がいて、父親がいないという不思議な家族関係の男の子を中心に、能天気な心平や竜人、丸山と藤島、そして女生徒の愛美と朋美などのクラスメート。2つの地区の対立はロミオとジュリエットの世界をおちょくったようなカップルも。この温泉街にある日現われた人物が、話題を呼ぶ。あり得ないような世界の情景がまるで漫画の世界のように楽しい。

  • もっちもち、もちゆー。
    話が進むにつれて、窃盗犯が父親なのか?と思ったけれど違った。全体を通して長閑だけど、起伏があって面白かったし、三浦さんの言葉遣いが好きなので心地よかった。

  • 愛の物語でした。

    こうやって書くと壮大なスケールのプロットがあると思うかもしれませんが、
    それで愛を語るのは何だか距離感がアンリアルだと最近思っています。

    とりとめのない日常があって、
    たまに何か起きたり、
    起きなかったり、
    気が付かなかったり、
    そういう日々の積み重ねそのものが送れていることに
    愛があって。

    久しぶりのしをん先生、
    全く予習をせず読み進め、
    どういうストーリーなのか全く分からないまま、
    主人公、怜くんの生活を見ていました。

    後半になって、ちょっと、大分、事件が起きてから
    あれよあれよと怜くんの考えることが忙しなくなって、
    その時間を、生活を囲む人間関係がとにかく温かくて。

    ある瞬間に泣いてました。
    悲しくて、じゃなくてじんわり伝わる優しさに。

    こういうストーリーを産み出してくれたしをん先生に感謝。

    とても好きなシーンがあり、
    久しぶりにその頁をパシャリと撮りました。
    何度も見て忘れないようにしよう、
    私も色んな人と色んな瞬間を共有したいんだってこと。
    そしてそれは周りの人たちとの重なりで創られていること。

    タイトルも秀逸、この言葉を心にしまって
    時々思い出すことでパワーチャージになりそうです。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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