現代ロシアの軍事戦略 (ちくま新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻の経緯を知る意味をこめて、2021年5月初版のこちらの新書を読んでみました。読んでみると、なるほど今回の侵攻が突発的なものではなく、ソビエト連邦からプーチンのロシアに続く歴史観からは至極当たり前の予想し得る事態だったと理解できます。

  • ロシアによるウクライナ侵攻が始まって、情報を得ようと色々なメディアを見ていた時に、とてもわかりやすいロシアの情報を語ってくれていた小泉悠さんの書籍を読んでみました。

    私は、戦争に関係のあるもの、特に武器などには興味がないというのか、むしろ「見たくない」と思っていたのですが、今回の侵攻を目の当たりにして、「ロシアの考え方、ロシアの軍事的なポテンシャル」を少しでも知りたいと思って読ませてもらいました。

    細かい装備の話や戦略の話を完全に理解できたわけではないのですが、今までソ連・ロシアが辿ってきた歴史、そして、その時の考え方などを知ることができて有意義でした。

  • ・リアルな視点
    ・ウクライナ・露戦争、NATOとロシアの関係の理解に非常に役立つと感じた。

  • ウクライナ侵攻前に刊行。読めば22年の侵攻に至るのもわからないでもない。
    最終章にロシアが思想の国とある。考えすぎて必要以上に疑心暗鬼、被害妄想となり、今回の侵攻に至ったのか?
    24年のプーチン大統領の任期切れで、戦争が終息する方向に転換することを願うばかり。

  • ふむ

  • ロシアによるウクライナ侵攻について、連日メディアで戦況の解説をしている著者による書。2021年5月の初刊刊行。2022年2月に始まったウクライナ侵攻の前の書籍だが、核を別にしてロシア軍は強くなく、西側諸国に比べて経済的に小国であるロシアが取る「ハイブリッド戦争」の活用など、示唆に富んでいる。

    筆者の見立てでは、民主化支援や経済制裁、文化的影響力の波及、サイバー戦などの非軍事的手段は戦争の「性質」そのものを変えるまでとは言えず、軍事力は依然として戦争の主役である、との考えだったが、ロシアによるウクライナ侵攻はまさに軍事力が主役の長い戦争になっている。

  • ロシアという国の思想や戦略を軍事的側面から徹底分析しそれを一般向けに紹介してくれている一冊。ロシアのウクライナ侵攻が起きてなかったら、本書に出会うことは多分無かっただろう。

    「ハイブリッド戦争」という複雑で姑息な内部崩壊的戦略概念、本書で初めて知ったけど、現代的というか非常に厄介な手段、リテラシーの低い小国とか簡単崩壊できちゃうんじゃないのって心配な気持ちになってくる。

    そしてロシアの軍事演習の怖さ、彼らは具体的な侵略演習を実行に移すことが今回のウクライナ侵攻で証明された訳で、国の安全保障について一国民として少しは勉強しておいた方がいいのかなって気がしてきた。

    ともあれ今回のウクライナ侵攻に一言申せば、
    「ロシアの戦争は断じて擁護できない!!」
    これに尽きる。

  • 読了。
    くしくもウクライナ戦争が始まる前に出た本書であるが、何故いまの事態になっているかバックグラウンドが見えてくる。

  •  ロシアによるクリミア併合からウクライナ戦争開始までの期間に書かれた本であるが、ロシアがどうしてことに及んだのかという発端を理解するのに大変良い。

     一言でまとめるなら東西両サイドの「パラノイア」とでも評するべきか。東西冷戦の定義のままであるが、構成人物が増加している西側(自由民主主義陣営とその同盟国)と東側(権威主義国家)では相手のアクションに対する理解が異なる。そのうえリアクションの方法もことなる。するとリアクションにたいする理解が異なり。。。とエスカレートするのが自然なのである。

     思うに冷戦中はお互いにギリギリの綱渡りをしている自覚があったために、相手の心理を読むことに全力を割いていたが、冷戦後は力の天秤が西側に傾きかつ対テロに忙殺されたことで外交的なコミュニケーションが不完全になっていたのではないだろうか。
     太平洋の分割というオバマ政権下の中国による米国への挑戦に対して米国が大きなリアクションを取ったように、ウクライナへのNATO進出はロシアにとって大きなリアクションをとるべきものだったのだろう。

     惜しむらくはドイツが米国とロシアの間で外交折衝を行えなかったことである。ドイツはNATOの主要構成国家であるが、EUの盟主としてメルケル政権ではロシア・中国という権威主義国家に肩入れするような外交をしてきたようにみえる。(結果、日米同盟からすれが苦々しく思えたかもしれないが。)にもかかわらず、今回のロシアによる戦争を止められなかったのは彼らが日本と同じく外交下手だったからだろうか。

     歴史的にみれば英国が西側外交のハンドリングをしてきたが、Brexit以来EU外交に口を出す立場を失っている。一方でフランスはロシアとのパイプをもっていながら実際的な影響力を行使できていない。
     このような外交が上手くいかなかったことがロシアによる暴挙を許した(もしくは奔らせた)原因なのだろう。
     周辺国でいえば今回ババをひいたのはポーランドかな。うまく立ち回ったのはフィンランド。立場を利用して利益を得るのはトルコ・インドといったところか。

  • ロシアによるウクライナ侵攻が始まって半年たった。ロシア軍がウクライナの北と東、さらに黒海沿いの拠点を占領して進軍している。




    その一方で、ウクライナは当初の予想を覆す粘りを見せていて、首都キエフ陥落及びゼレンスキー政権崩壊と言うロシアの目論んでいた目標達成を阻止している。




    戦力で上回っていてもイメージで負けているのは、ベトナム戦争時のアメリカみたいだな。




    この本は去年発行されたものだが、軍事にフォーカスしていて珍しい。




    ロシアはGDPでいうと米国、中国には到底及ばない。軍事費も大盤振る舞いできないが、それでもロシアは各戦力を現在でも保有しているので甘く見るとやけどする。




    2014年にウクライナでロシアが行ったのは、軍事力のみならず、「ハイブリッド戦争」と呼ばれる戦場プラスサイバー空間や情報空間でも戦う方法だと指摘している。





    その背景として、「非軍事的闘争論」があると述べている。人々の認識を操作する「情報戦」で、軍事力を使わず戦争の目的を達成できるという考え方が台頭してきたと述べている。





    今回のウクライナ侵攻では、逆にウクライナがSNSを駆使してロシアに対抗して効果を上げているのはどうしてなのか不思議だな。





    2021年現在であるが、ロシア軍の兵力は定数101万3682人、実勢90万人程度とされていて、この中で徴兵(勤務期間は12ヵ月)は25万人程度、残りは職業軍人として定年まで勤務する将校は約21万人と、契約に基づいて限られた期間勤務する契約軍人が約40万人、各種学校生徒などで占められている。





    これだけ人はいても実際に戦地で向いている兵士や士気の高さがどれだけあるかにもよるからなあ。さらに必要な物資がすぐに手に入るかどうかも関係する。





    相変わらず「憲法9条守れ」で思考停止している政党、マスコミの言動を見聞きしていると、日本は大丈夫なのかと思ってしまう。日本の周囲はロシア、北朝鮮、中国という日本の国益に沿わない活動をしている「敵国」に囲まれている。





    安全保障が投票につながらないと言って避けていると、非常時に対応できないぞ。

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著者プロフィール

小泉 悠(こいずみ・ゆう):1982年千葉県生まれ。早稲田大学社会科学部、同大学院政治学研究科修了。政治学修士。民間企業勤務、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO RAN)客員研究員、公益財団法人未来工学研究所客員研究員を経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター(グローバルセキュリティ・宗教分野)専任講師。専門はロシアの軍事・安全保障。著書に『「帝国」ロシアの地政学──「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(東京堂出版、2019年、サントリー学芸賞受賞)、『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書、2021年)、『ロシア点描』(PHP研究所、2022年)、『ウクライナ戦争の200日』(文春新書、2022年)等。

「2022年 『ウクライナ戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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