- Amazon.co.jp ・電子書籍 (233ページ)
感想・レビュー・書評
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一気に読まされてしまった
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とても熱い想いが込み上げ涙する。不審船の件だけでも読むに十分値します。
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いつもの図書館の新着書リストの中で目にとまった本です。
普段あまり気に留めていない「自衛隊」がテーマですが、以前読んだの伊藤さんの著作(国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動)が結構興味深い内容だったので、こちらもちょっと期待しつつ手に取ってみました。
やはり、全く違う世界に生きてきた方の話はとても刺激になりますね。なかなか面白かったですよ。 -
1999年に発生した「能登半島沖不審船事案(領海侵犯した北朝鮮の工作船と思われる不審船を自衛隊の護衛艦”みょうこう”が追跡し、初の海上警備行動が発令された事件)」に護衛艦”みょうこう”の航海長として遭遇し、のちに自衛隊初の特殊部隊設立に関わった著者による、自身の生い立ちから自衛隊入隊、そして冒頭の不審船事件を経て特殊部隊の設立、そして自衛隊を自らの意思で除隊されるまでを綴ったノンフィクション。
自衛隊に入隊してから様々な教育、訓練を受けて階級が上がっていくプロセス、防衛大の教育内容など実際に経験した人ならではの内容と、著者の軽妙な語り口に引き込まれました。
著者が自衛隊に入隊して感じた最大の葛藤は、有事には人を殺すことも求められる組織であるのに、日常の訓練、幹部候補生の育成機関である防衛大での教育内容があまりに官僚的で、”本当にこんな訓練が有事に役立つのだろうか?”というものでした。確かに日常的には自衛隊と言えども予め定められたスケジュールで任務を実行することが大部分でしょうし、あれほどの規模の組織ですから、規則通りに組織を運営する必要性もあるでしょう。また非常時だからこそ”普段から体で覚えた”手順が役に立つという事もあるのだと思います。一方、著者が想定するのはまさに目の前で日本人を拉致しようとしている北朝鮮工作員の作戦を阻止するような究極の最前線です。そこでは、”通常の”自衛隊で実施している訓練では対応できないと著者が考えるのも納得できるような気もします。
日本では最も非常時に対応できる力があると思われている自衛隊を、著者独自の視点から分析している大変興味深いノンフィクションでした。