PLG プロダクト・レッド・グロース「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ [Kindle]
- ディスカヴァー・トゥエンティワン (2021年10月22日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (362ページ)
感想・レビュー・書評
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プロダクト・レッド・グロースは、一読した印象としては「SaaSのマーケティング・オートメーションのひとつの形体」と理解した。本書はこの文脈においてはグロースさせるためのマニュアルという位置づけになると思うが、対象者は少ないだろう。
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ふだんSaaSを使っていて届くメールの数々が、ここに書かれているフォーマットにのっとったものであるということを知ることが出来る一冊。そういった意味では、業界の教科書になり得た一冊と見ることもできる。
ここでセンセーショナルな方法として語られたものの多くが、2023年現在の目線ではごくあたりまえのものになっているのも本書がスタンダードの一部を作った証左とみてもよいかもしれない。
そのように、今読むと新しいことはないけれど有効なアプローチがまとめられた一冊、というかんじだ。 -
SaaSを売るときにセールス主導型よりもプロダクト主導型に転換するべきと主張する一冊。どのように売るかの具体例も盛り込んでいるが、日本向けにはどうか…という箇所も見受けられた。
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はじめに
セールスがプロダクトを売る時代は終わり、プロダクトでプロダクトを売る時代へと一気にパラダイムシフトが起きた。
第1章 PLGの重要性が急速に増しているのはなぜ
PLG…ユーザー獲得、アクティベーション、リテンションをプロダクトそのものが担う手法
GTM戦略…その企業が競合相手より優位に立つためにどのようにターゲット顧客にアプローチするかを具体的に示したアクションプラン
セールス主導型…高いACVを持つ顧客を獲得できる
↓
顧客獲得コスト上昇
ユーザーの自主学習意欲増加
利用体験の重要度増大
↓
プロダクト主導型
第2章 武器を選ぼう
フリートライアル 一定期間無料
フリーミアム 部分的に期限なし無料
マーケット戦略
ドミナント型 全方位
ディスラプティブ型 既存サービスが過剰
差別化型 既存サービスが不充分
第3章 海のコンディションを調べる
レッド・オーシャン 需要を獲得する
→プロダクト主導型
ブルー・オーシャン 需要を創出する
→セールス主導型
第4章 オーディエンス
トップダウン型 案件規模大、セールス主導型
ボトムアップ型 顧客依存低、プロダクト主導型
第5章 タイム・トゥー・バリュー
既存ユーザーの分類
ミッション・インポッシブル モチベ低
ルーキー 使いこなせていない
ベテラン モチベ低・熟練
スポイルド モチベ高・使いこなす
第6章 MOATフレームワークでPLGモデルを選ぶ
M:マーケット戦略
O:オーシャン状況
A:オーディエンス
T:タイム・トゥ・バリュー
第7章 プロダクト主導型ビジネスの基盤を築く
UCDフレームワーク
U(Understand):理解する
C(Communicate):伝える
D(Deliver):提供する
第8章 プロダクトの価値を理解する
プロダクトを使うことで得られる対価を売る
機能的対価
感情的対価
社会的対価
バリューメトリクス
ユーザーにとって理解しやすいか
ユーザーが得られる価値と連動しているか
ユーザーが使えば使うほど大きくなるか
第9章 プロダクトの価値を伝える
正しいプライシング
適性判断型
コスト・プラス型
競合ベース型
バリュー・ベース型
ユーザー許容価格
高すぎる・安くない・高くない・安すぎる
第10章 価値を提供する
知覚価値=体験価値
バリュー・ギャップを埋める
第11章 プロダクト主導型ビジネスにおける最もよくある過ち
プロダクト主導型モデルをアップデートする権限を各チームに割り当てる
適正なチームメンバーの配置
第12章 最適化プロセスを開発する
トリプルAスプリント
Analyze 分析する
インプットとアウトプットを決める
Ask 質問する
目的地はどこか?
Act 実践する
アウトプット目標に向けて実践
第13章 ボーリング・レーン・フレームワーク
レーンから外れないよう正しい道へ導く
ストレートライン
コミュニケーションバンパー
プロダクトバンパー
第14章 ユーザーごとの平均収益を上げる
ビジネスを成長させるには既存ユーザーに対して売る方が明らかに楽で収益性が高い
ARPU…ユーザー平均単価
MRR…月間経常収益
ARPU=MRR÷ユーザー数
第15章 チャーンビーストをやっつける
新規獲得ファーストからリテンションファーストにマインドセットを移す
第16章 真に成功している企業はなぜプロダクト主導型なのか?
どのようにモノを売るかは何を売るかと同じくらい重要 -
Sales主導とプロダクト主導の対比とプロダクト主導とは何を気にして何を行うのかがまとまっていて、めちゃくちゃ勉強になった。まぁ読んだだけではわからんこと多いので、実践するときに都度読み返したい本。
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プロダクトを試し、その価値を体感してもらうことで、顧客に購入を促す。ソフトウェア業界などの成長企業が採用している、プロダクト主導型の成長戦略を体系的に解説する書籍。
今、SaaS(Software as a Service)市場を取り巻く環境が激変している。「PLG」(Product-Led Growth:プロダクト主導型成長戦略)は、この変化に対応するものである。
PLGのメリットは、見込み顧客がすぐにプロダクトを検証できることだ。また、顧客が自らオンボーディングできるため、顧客獲得コストを低く抑えられる。
マーケット戦略は、次の3つから自社に合うものを選択する。
①ドミナント型:競合他社よりもレベルの高いサービスを安価で提供する。フリーミアムモデルが適している。
②差別化型:競合他社より優れた特定の機能を、高い価格設定で提供する。フリートライアルとの相性が良い。
③ディスラプティブ型:既存のサービスのスケール・ダウン版を安価で提供する。フリーミアムモデルが適している。
企業が採るべきアプローチは、市場の状況によって異なる。
・ブルー・オーシャン:プロダクトがシンプルなものならPLGモデル、複雑なものならセールス主導型を取り入れる。
・レッド・オーシャン:顧客獲得コストを引き下げ、グローバル展開を目指すためにPLGモデルを取り入れる。
プロダクトを中心とした顧客獲得モデルとプライシングモデルを設定する際、留意すべきポイントは次の3つである。
①料金ページを複雑にしない。
②有料プランにアップグレードする必要性を感じないような無料プランはつくらない。
③ダウングレードしやすい設計にしない。 -
近年多くのIT企業が採用している、プロダクト主導のビジネス戦略PLG(Product Led Growth)について解説した本。
前半部分では、PLGとは何か、なぜ必要なのか、何が重要なのか、という基本的な内容を近年のプロダクト販売状況と合わせて説明している。後半部分では、PLG戦略で使われるフリーミアム型プロダクトの価格設定やオンボーディング、リスク、ユーザ平均収益向上などのベストプラクティス的な内容を説明している。
PLGについて分かりやすく解説されており、無駄な文章も少ないためスラスラと短い時間で読むことが出来た。PLGが万能な戦略でなく、セールス主導型の方が良いケースもあるとしっかり明記されてあったのが個人的に好印象であった。ただし、プロダクト開発において一番重要なのはプロダクト自体の内容であると個人的に思っているが、その部分は全く書かれていないのは注意。本書ではプロダクト自体がある程度良いものが出来ているといるという状況を仮定し、それにPLGを適用することにフォーカスされている。このことから本書を読むべき段階は、プロダクト開発がある程度進み、MVPを作成した後、手ごたえを感じたため次のステップ(本開発)に行くぐらいだと感じた。この段階のPdM、セールス、スタートアップ経営者などは本書がとても役に立つのではないだろうか。 -
PLG 本と呼ばれているそうです。
SaaS などのマーケティング手法に寄った開発手法が書かれています。
読者のペルソナとして、開発マネージャーやエンジニアを念頭においている印象です。マーケティング部分については SaaS のマーケティング書籍などを学習した方が本書よりも学びがあるかもしれません。読者を選ぶ書籍だと感じました。 -
PLGで行くぞ!って掛け声を聞いたので調べてみたら、本があったので手っ取り早く全体感を掴むのに役立ちました。PLGって、ソフトウェアの展開の手法の一つであり、世界中にスケールさせる可能性が英語圏であれば可能だなと。
自分でこれをやるかと言われたら… イケイケのSaaS企業も2022年はIPOもグダグダで、年末に向けて大手も業績不振、米国のリセッション確定待ちみたいな状況で、PLGってどうなのか?と、コロナのせいで一気にオンラインで何でもやろうって話で盛り上がってたが、ひと段落して、やっぱり人と人でのコミュニケーションが大事なんじゃ無いのかって思っているので、SLGとのハイブリッド型をうまいことコントロール出来ると良いのかも知れない。本書では、ターゲットの分類とかプライシング戦略とかも少し触れているので、参考になりました。
本書はソフトウェアの売り方がメインの考えだと思うけど、一般に売られるソフトウェアではなくて、企業内で無数に既に採用されているのになかなか利用率が上がらないアプリケーションにこの考え方を適用したらどうだろう?
日本の企業のIT部門や、BPOを提供している企業なんかは、本書で書かれているボウリングレーン・フレームワークとか、利用金額についての考え方とか、参考に出来るかも知れない。
それにしても、ITの課題解決型の機能提供がコモディティー化が進みすぎて、解くべき課題が微細な物の積み上げになって来た感じが凄い。
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当時、カスタマーサポート、インサイトセールス、リテンション、アクイジションなどの用語は今では当たり前に。本書にもあるように、今の流行りを体系化して、実践に活用したいと思う。この先、人が判断するきっかけはセールス活動だけではない。さて、既得権を壊し、トライアルできる企業はどこか?うちか?