火星の人〔新版〕 上 (ハヤカワ文庫SF) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 火星に置き去りにされたワトニー、残された資源と知識とユーモアを総動員して地球への帰還を目指す。

    「プロジェクト・ヘイル・メアリー」がとても面白かったので読んだアンディ・ウィアーの処女作。これは文句なしの面白さでした。映画を数年前に観ていて、ちょくちょくツッコミどころがあるまあまあのSF、という印象だったのですが本作ではこれでもかと数字でねじ伏せてくるハードな仕上がりになっていました。しかしハードSFながら軽妙な文章とギャグと小ネタで大変楽しく最後まで楽しめました。これは原作もそうですが、翻訳した小野田さんの腕によるところも大きいと思います。
    それと、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は恒星間(とか異星人とか)の話でちょっと想像力が及ばないところもあるのですが、こちらは惑星間の話なので絵面がしっかり浮かんでイメージしやすい、というのもポイントだったと思います。出てくる技術もかなり現行に近いし。ホントね、映画観た時のことなんですけど、作中にマーズパスファインダーが登場したときには胸が熱くて涙出るかと思いましたよ。ちょっとした宇宙オタクにはたまらない小ネタを使ったりするのもポイント高いです。
    あとは最後の1ページで本作のテーマが明示されるのですが(このへんは映画「グラビティ」と同じですごく印象深い構成だと思った)、最後の最後にグッと胸が温かくなりました。
    やあ、いい本を読んだ。本当にいい本を読んだ。

  • 火星版ロビンソンクルーソー、もしくは火星版キャストアウェイ。
    絶望的に孤独な状況で宇宙飛行士マーク・ワトニーは必ず生還するという強靭な意志を持ち、火星での過酷な試練の連続に立ち向かう。
    映画『オデッセイ』の原作。

  • 人間が火星で暮らすことは、それほど遠い未来の話じゃなくなってきているのかな
    ロケットで火星に着くまで1年くらいかかるみたいで、その位置関係によってかかる時間が変わるらしい
    火星にたった一人残されたワトニーを救うことができるのか?
    きっとワトニーなら大丈夫!と思ってるけど、どうやってというのがとても気になる

  • SFにチャレンジしてみよう(挫折したら映画を観ようと)とKindleで。

    誰が言ったか宇宙版DASH村。なるほど。

  • 映画オデッセイを読んで、読む。
    映画に描かれていないところがわかった。

  • マークワトニーの「どんなことがあっても死ぬものか」という強い志から人間力の強さを感じました。
    人間はどんな困難な状況に立たされていても生き延びようとする。それをしっかり見せてくれる作品です。今あまり良いことが起きていなかったり、思い通りにうまくいかないようなことが多々ある時代。勇気や元気をもらえるはずです。

  • 火星の人(上)を読んだ。
    もうマーク・ワトリーが生きていることを知った時のNASAの態度ったら感動しかなったね!
    にしてもマーク・ワトリーが羨ましい。火星に置きざりにされたのに羨ましいって?
    だって、そうだろ、一緒に働いているのが人類の叡智であるNASA。
    それに対して、私は人類史上もっとも愚かで自尊心だけ高い日本人と働いているんだよ。
    マーク・ワトリーが羨ましい。と思うのは当然だろ?
    日本人よ、少しは過去から学んでくれ・・・。

  • 映画「オデッセイ」を見て八年ほど経ってから読んだ。
    もともとロビンソン・クルーソー的な漂流物語は好きなので読み応えはあった。

    読みはじめは当然、マーク・ワトニーの顔や雰囲気はマット・デイモンの印象で読んでいたが、読み続けると映画と小説のワトニーはけっこう性格が違うように見える。
    映画のワトニーは黙々と仕事をする、まさにロビンソンという印象があったけれど、小説は日記代わりの【ログ】でワトニーが多弁に語るからか、より軽快でひょうきんな印象だ。

    じゃがいも畑が吹っ飛んだときなど、随所での展開が映画と微妙に違って楽しめる。

    ワトニーの科学知識やそれらを横断的に活かした状況対応力、生存能力の高さに驚き、同時にちょっと落ち込んだりもする。
    もし自分が火星にひとり取り残されたら、とてもワトニーのような真似はできず、簡単に死んでしまうだろうからだ。

    「ロビンソン・クルーソー」も現代人の読者に対して、原始的な生活能力を失っていることへの警鐘をならす本だ。科学技術の恩恵を受けずには生きられなくなっている自分の脆弱さに危機感を覚える。
    ただ畑を耕したりヤギの皮を剥いだり、干しぶどうや丸木船をつくるといったローテクなサバイバルは、体力と道具さえあれば、きっと真似できなくはない。

    それに対して「火星の人」は、職業が宇宙飛行士ではないほとんどの人にとって、いくら体力と道具があろうともどうしようもない事態が連続する。
    化学、力学、天文学、植物学、電気工学、航空宇宙学、そして哲学と、あらゆる学問の基礎を積み重ねたうえ、それらを地球外空間で過たずに使いこなす力が求められる。
    このSF娯楽小説に対して「現代社会をいかに生きるべきか」など哲学的な問いをすることはあきらめて「ワトニーすごいな」と見守るしかない。

    また「ロビンソン・クルーソー」の場合は、暇つぶしの娯楽といえば聖書を読むしかなかったが、こちらはディスコ音楽にアガサ・クリスティー、七十年代テレビドラマコレクションからビデオゲームのチェスまで、孤独を紛らわすエンタメが充実しまくっている。さすが未来の遭難者はひと味ちがう。

    またそれらの趣味アイテムを通じて、ルイス船長(音楽の趣味……)やヨハンセン(美人だがオタク……)などのキャラクターも垣間見れて面白い。

  • 不運な事故により火星に取り残された宇宙飛行士がたった一人でサバイバルをする話。頭の中にある知識や経験を元に、ひらめきと応用の連続。仮説と実験、時には死を覚悟して実践したりするわけだけれど、先の問題には頭を悩ませすぎず、ひとつひとつ目の前のものからクリアしていく様子は読んでいて心地よい。
    読み手に知識がなくても、どんどん先のページに進んでいけるほど読みやすい。
    主人公のワトニーは驚くほどの前向き思考で柔軟性もあり、そういうところは見習いたい。次々と問題が起きて絶体絶命の危機に何度か陥っていたけれど、諦めたりパニックにならないところも、純粋な生を感じていいなと思う。
    ワトニーを救うために金と人を総動員して、知恵と技術を出し切る地球の人々の話も面白い。下巻が楽しみ。

  • 映画は鑑賞済み。SFが好きで、近年のスコセッシ作品も好きなのでかなり期待して見たせいか若干の肩透かし感で見終えた。「アルテミス」が面白かったので、それ以上に評価の高いこの「火星の人」を読むか多少迷ったが、サンプル分をソッコー読み終えたことで購入することを決めた。「アルテミス」では気になった軽いコミカルな文体はむしろ作品の質を高めている。かなり科学的に小難しい話が続くけど、随所に挟まれるジョークとワトニーの明るさによって読みやすくなってる。ほどよい分量で展開も面白い。

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