太平洋の試練 レイテから終戦まで 下 (文春e-book) [Kindle]

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  • 太平洋戦争の経緯をアメリカ側からの視点で描く「太平洋の試練」シリーズ3部作の最終章の下巻です。本書が扱うのはフィリピン奪還、硫黄島上陸など太平洋でのアメリカ側の反抗作戦から、東京をはじめとする日本の都市への空襲、沖縄戦、原爆投下、そして終戦に至る最終局面と、戦後のアメリカ社会が抱えた問題までです。
    この時期、もはや日本の軍事的な敗戦はほぼ確定していながら抗戦を継続している状況で、「玉砕」とか「特攻」といった戦法や、民間人を巻き込んで手段を選ばず抗戦継続した沖縄戦など、戦争のより悲惨で残酷な一面が描かれています。
    都市への焼い弾による空襲や原爆による被害者の証言はもちろん盛り込まれていますが、本書ではその作戦に従事した米兵の証言や葛藤が詳しく描かれているのが印象的でした。
    戦艦大和の撃沈は、日本側では終戦に向かう太平洋戦争終盤の一つの印象的な事象として描かれることが多いですが、本書ではそれほど紙幅を割いていません。アメリカ側から見れば、もはやそれは戦局を打開する可能性のある作戦とは捉えられていなかったことを物語っているような気がします。
    終戦後、アメリカでは大量の復員兵が帰国しますが、その多くが社会復帰に挫折している様子が描かれ、戦争が終わっても社会に深い傷跡を残していることに触れています。
    本書の3部作全6冊の1冊目を読んだとき、「太平洋の試練」という書名は、当初アメリカが日本に圧倒されている時期を描いていたので、負け続けていたアメリカ側から見た”試練”という意味かと感じていました。6冊を読み終えてみると、そういう意味ではなく、約4年近くにわたる戦争が日本とアメリカ両国に与えた様々な形での”試練”であるという意味だったと感じます。
    1冊目の発売から9年越しでの完結、ハードカバー全6冊でのべ3000ページ超という大作の読後感は大河ドラマを鑑賞し終えたぐらいの達成感でした。

  • 第1部から読み進め本当に長かったが、
    特にアメリカ国内の動きや市民の様子が垣間見ることが
    できて良かった。また、意外なくらいに日本の市民の様子も拾い上げられており、バランスを取り、客観的に描こうとしている姿勢が伝わってくるので太平洋戦争全体を俯瞰するには良い本だと思う。

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