脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論 [Kindle]

  • 早川書房
4.08
  • (12)
  • (21)
  • (5)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 275
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (333ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者は、脳の知能解明に挑む神経科学者、かつ「モバイルコンピューターの父」の異名を持つIT起業家。脳を機能解明した暁には、脳をリバースエンジニアリングし、汎用人工知能(AGI)を実現させて人類の未来を切り開きたいという野心家?

    本書、内容的には3つのパートに分かれる。第1部では、著者の研究チームが解明しつつある新しい脳(新皮質)の仕組み「1000の脳理論」が説明されている。新皮質は「すべての知識を蓄積するのに、座標系(reference frame)と呼ばれるものを使う」、「新皮質は世界のモデルを学び、そのモデルにもとづいて予測する」、そして新皮質の "なに" コラムの座標系は物体の地図を学習し、"どこ" コラムの座標系は体周辺の空間の地図を学習し、非感覚コラムの座標系は概念の地図を学習するのだという。脳の機能が解明されつつあること自体は分かったけど、う~ん、難しくてうまくイメージできないなあ。

    第2部では、人工知能の現状と将来展望を語っている。著者は、「深層学習では真の知的機械を生み出す道につながらない…。現在やっていることをさらにやっても、汎用人工知能にはたどり着けない」、「脳がやるように世界をモデル化しないなら、どんな深層学習ネットワークもAGIの目標を達成しない」、「真の知的機械であるAGIは、新皮質と同じように、地図に似た座標系を使って世界のモデルを学習する。これは必然だと思う。真の知的機械をつくる別の方法はない」、「知的機械をつくれない技術的理由はない。…残っている障害が克服され、今世紀中に、おそらくこれから二、三〇年以内に、機械知能の時代に入ることは必然であるように私には思える」という。人工知能は意味を理解せずひたすら近似しているだけ、シンギュラリティなんて起こるわけない、とずっと思っていたが、本書を読んでいると、著者たちの研究が進展してあと20~30年のうちに本当にシンギュラリティがやってくるような気がしてきた。

    そして第3部。SFチックな話に急に飛躍する。自分のコピーを多く残したい遺伝子に操られ、恐怖や感情・欲望を司る古い脳と、膨大な知識と理性を司る新しい脳は現代社会においてせめぎあっているが、古い脳が優勢で、「長期的生存を支える選択をするのを阻止して」おり、危険なテクノロジーが使われて人類が滅んでしまう元凶にもなりかねない、という。自ら滅びの道を歩まなくても、人類は数億年先にはほぼ確実に絶滅する。著者は、古い脳に打ち勝つために(或いは人類を永続させるために)ドラスティックな手を打つべき、と力説する。脳のコンピューターへのアップロードや脳と機械の融合、遠い未来の人類絶滅に備えた遺産計画(人類の知識を蓄え自己修復・自己複製する知的機械の打ち上げ)、火星や太陽系外惑星への移住と知的ロボットによるテラフォーミング、遺伝子編集による火星に永住可能な人類の誕生、などなど。壮大で遠大な構想の数々にただただ驚くばかり。

    「自分は存在していて意識があるという感覚を生むのは、過去にアクセスできるこの能力、つまり時間を飛んでさかのぼり、またすっと現在にもどる能力である。直近の思考と経験をリプレイできなければ、自分が生きていると意識しないだろう」、「私たちの気づき、存在しているという感覚ーー意識の中心部分ーーは、たえず直近の思考と経験の記憶を形成し、一日を過ごすあいだにそれを再生することに依存している」、などの人の意識に関する考察もとても興味深かった。著者は、コンピュータ上にこのような状態をつくりだせればAIにも意識があると言えるというが…。

    飛躍的に賢くなったAIが人類滅亡の脅威になることはない、なぜなら悪さの根源である古い脳の機能までA!に実装する必要はないから(ただし、悪意を持った人間に使われてしまうリスクがあることは忘れてはならない)、というのも説得力抜群で納得できた。

    知的好奇心をくすぐられる、スケールの大きな本だった。

  • 知覚における、大脳皮質と大脳新皮質の関わり合いと、脳が座標系を用いて民主的に知覚を形成している点など、斬新でとても興味深かった。しかし、まだ自分には難解なので、脳神経科学を学び直して出直したいと思う

  • 人間の脳は予測を常に行なっていて、活動電位に達しないレベルまで電位を上げることで予測を表現しているという話は非常に興味深かった。
    予測と異なる入力がくると非常に多くの領域が発火するらしく、意外なものの方が記憶に残るということも同じような機序なのかもしれないと感じた。

    また、任意の思考も通常の自己位置推定時と同様に格子細胞と場所細胞という2種類の細胞の発火によって行われているという話も初見だったが非常にしっくりきた。
    格子細胞の詳細の仕組みはわからないので何とも言えないが、多次元格子の各セルに何かしらの情報を格納していて、新規の入力が来ると抽出した特徴によってその多次元格子内を探索し、何か予測をしたり思考を巡らせるということらしい。
    人によってこの多次元格子の軸として何を利用しているかが異なっていたり、格子内の情報密度が異なっているために大きな思考の差異が生まれるのであろう。
    この視点はかなり面白く、自分も何かを学習する際にどういった特徴をとらえるかを意識した方がいいのかもと思わされた。
    今までは自分の脳の偶発的なマッピングに頼っていたがマッピング自体も意識的に行えるとより洗練された思考を持てるかもしれないため。

  • 前半では人間の脳の思考方法(認識方法)を検証して、後半ではそれをベースに人間を凌ぐAIの可能性に言及する。それだけでも十分面白いが、最後でその先、つまり知的機械が誕生した時、それが人類に何をもたらすか壮大な規模で予測する。ここが「三体」などとも重なっていてとても面白い。
    つまり、遺伝子より知識が結論となっており、これには納得できる。

    前半は理論中心で難しい部分もあったが、中盤以降とても興味深く楽しめた。

    多岐に渡る内容だが、最後の訳者である大田氏のまとめが簡潔ながら要を得ていて分かりやすい。

  • 〇私たちが知覚する現実は構築された現実、すなわちモデルであり、感覚器官から流れ込むニュース速報によって情報を知らされ、更新される。
    〇私たちは子づくりでないセックスを楽しめる。人生を哲学や数学、詩作、宇宙物理学、音楽、地質学、あるいは温かい人間愛にささげられる。
    〇物体のふるまい方を学ばなくてはならない。
    〇新皮質は知能の器官である。
    〇新皮質は行動を直接制御するわけではないので、いかにも不当な立場にある。脳のほかの部位とちがって、新皮質の細胞はどれも筋肉に直接つながっていないので、新皮質だけでは筋肉を動かすことができない。
    〇人間の新皮質はラットやイヌの新皮質よりはるかに大きいが、すべて同じ要素でできているという。私たちはただその要素をたくさんコピーしたのである。
    〇結局、脳に対する理解の探求、知能に対する理解の探求は、皮質コラムが何をどうやってやるかの解明ということになる。
    〇経験をとおして、世界の豊かで複雑なモデルを学習するのである。
    〇第一に、世界は変化
    脳への入力が一瞬ごとに変化するのは、あなたが動いているからではなく、世界の事物が勝手に動いて変化しているからである。
    第二の理由は、人が動く
    眼は一秒に三回くらい、サッカードと呼ばれる急速な動きをする。このことを表わす用語が「感覚運動学習」である。つまり、私たちが動くと感覚入力がどう変わるかを観察することによって、脳は世界のモデルを学習するのだ。
    〇教義1 思考、発想、知覚はニューロンの活動で
    あなたの思考はどれもニューロンの活動だ。あなたが見るもの、聞くもの、感じるものもまたすべて、ニューロンの活動だ。私たちの精神状態とニューロンの活動は同一である。
    教義2 私たちが知っていることはすべて、ニューロン間の結合に蓄えられている。
    〇発見その1 新皮質は世界の予測を学習
    発見その2 予測はニューロン内部で
    発見その3 皮質コラムの秘密は
    完璧なモデルを学習するには、格子細胞と場所細胞の両方が必要だ。格子細胞は位置を特定して動きを計画するための座標系をつくる。しかし、座標系内の位置と感覚入力を結びつけるには、場所細胞によって表わされる感知された情報も必要である。
    〇1 座標系は新皮質のいたるところに存在
    2 座標系は物体だけでなく私たちが知っていることすべてをモデル化のに使われる
    3 すべての知識は座標系に対する位置に保存される
    4 考えることは一種の動きで私たちはほとんど意識していないが、役に立つ座標系を発見することは、学習の最も難しい部分なのだ。
    〇どんな分野でも専門家になるには、優れた座標系、つまり良い地図をもつことが必要で、
    われわれはこの新しい見方を「知能の一〇〇〇の脳理論(Thousand Brains Theory of Intelligence)」という。
    ● 一〇〇〇の脳理論は、本質的に感覚運動理論である。人がどのようにして動くことで物体を学習し認識するのかを説明
    一〇〇〇の脳理論はこれを一八〇度方向転換させ、どの物体にも数千のモデルがあるのだと主張
    〇何十億の人びとがコンピューターを利用したがっているが、ノートパソコンやデスクトップパソコンは高価すぎるし使いにくい。もっと使いやすくて安価なポケットサイズのコンピューターへの流れが止められないことは、私にはわかっていた。
    〇現在のAIは人間の知能におよばない。たとえば、人間はたえず学習する。前述したとおり、私たちはつねに世界のモデルを修正している。それにひきかえ深層学習ネットワークは、十分に訓練してからでないとデプロイ〔訳注:実際の運用環境で利用できる状態にすること〕 できない。
    〇現在のAIシステムが知的だと見なされない最大の理由は、人間はたくさんのことができるのに、AIシステムはひとつのことしかできない点にある。つまり柔軟でないのだ。
    〇この問題は知識表現と呼ばれ、知識とはモデルなので
    1 たえず学習がなぜ重要か? 世界はつねに変化しているので、私たちの世界モデルは変化する世界を反映するように、たえず学習されなくてはならない。
    2 動きによって学習するどういうことか? 私たちは動くことによって学習する。一日を過ごすあいだ、体や手足、そして眼を動かすが、この動きが学習にとって不可欠である。
    3 たくさんのモデルをつくる。
    4 知識を保存するのに座標系を用いる。
    〇私たちが知的なのは、ひとつのことを特別にうまくできるからではなく、ほぼどんなことでもやり方を学習できるからである。
    〇短期記憶を形成する能力が年齢とともに衰えることはみんなが知っている。だからこそ、年をとるにつれて「何しにここに来たんだっけ?」という経験が増えるのだ。
    〇消防車の赤さは脳のでっち上げである。脳がもつ消防車の表面のモデルの属性であって、光そのものの属性ではないのである。
    〇痛みの感覚はほぼ確実に生得のものであり、仲介するのは特殊な痛み受容体と古い脳構造であって、新皮質ではない。
    〇私たちの行動を導く感情は、古い脳によって決まる。ある人の古い脳が攻撃的なら、攻撃行動をうまく実行するために新皮質のモデルを作る。別の人の古い脳が情け深ければ、情け深い目標をうまく達成するために新皮質内のモデルをつくる。
    〇私たちは動くことによって学習する。建物のモデルを学習するためには、部屋から部屋へと歩きまわらなくてはならない。
    〇カギになる考えは、知的機械はさまざまな形をとる可能性が高い、ということだ。
    〇人間の新皮質にはおよそ一五万個のコラムがある。
    〇幼少期に複数の言語に触れていないと、複数の言語に堪能になる能力は低下する。同様に、幼少期に眼が機能しなければ、その眼がのちに治療されても、永久に見る能力を失う。これはおそらく、マルチリンガルや視覚に必要な接続の一部が、使われていなかったせいで消失したからだろう。
    〇ほぼ何も知らずに人生を始め、数十年を学習に費やす。学ぶために学校に行き、学ぶために本を読み、もちろん個人的経験からも学ぶ。
    ● 増殖  自己増殖可能なものはなんでも危険だ。人類は生物学的ウイルスによって消し去られるおそれがある。
    ● 動機  生物学的な動機と衝動は、進化の結果である。特定の衝動がある。
    動物はほかの動物よりうまく増殖することが進化で明らかになった。
    ● 知能  三つのうち、知能は最も無害である。
    〇気候変動を否定する人たちは、相当数の物理的証拠を前にして、どうやって誤った信念を維持しているのだろう?平らな地球を信じる人たちと似ている。ほとんどの他人を信用せず、直接観察するものと、同じような考え方の人が言うことだけを信頼する。それは、自分の信念と矛盾する証拠を積極的に探すことで、その責任を負うべきなのはウイルス性の誤った信念である。でたらめな歴史書と同じように、ミームは複製するのに脳に頼っており、そのため自分たちの利益を促進するように、脳の挙動を制御する方法を進化させてきた。
    第一のリスクは脳の古い部位に関係する。新皮質は人間に優れた知能を与えるが、脳の30パーセントははるか昔に進化したもので、より原始的な欲望と行動を司る。
    第二のリスクは、もっと直接的に新皮質と知能に関係している。新皮質はだまされる可能性があるのだ。
    〇人間が引き起こした気候変動には二つの要因がある。ひとつは地球上に住む人間の数、もうひとつは各人が生み出す汚染の量だ。どちらも増えている。
    〇動物はできるだけたくさんの子をつくろうとし、種はできるだけたくさんの場所に住もうとする。脳はこの最も基本的な生命の特徴に役立つように進化した。
    1  直接経験できない。 誤った信念は必ずと言っていいほど、私たちが直接経験できないことに関することである。
    2  反証を無視する。 誤った信念を維持するには、それに矛盾する証拠を退ける必要がある。
    3  ウイルス性の広がり。ウイルス性の誤った信念は、その思い込みをほかの人びとに広めることを促す行動をする。
    〇いま、私たちはいくつかの人類存亡の脅威に直面している。第一の問題は、古い脳が相変わらず主導権を握っていて、人口を減らすとか核兵器を排除するというような、長期的生存を支える選択をするのを阻止していることだ。第二の問題は、私たちがつくり出した世界規模のテクノロジーは、誤った信念をもつ人たちに悪用されやすいこと。
    〇ひとつは、私たちの脳をコンピューターに「アップロード」すること、もうひとつは私たちの脳をコンピューターと「融合」させることだ。
    〇人間の脳には約一〇〇〇億個のニューロンと数百兆個のシナプスがある。
    〇遺産計画とは、あなたが生きている間に、あなた自身ではなく未来のためにやることだ。
    〇私たちの脳の30パーセントを占める古い脳は、さまざまな部位で構成されていることを思い出してほしい。そうした古い脳の領域が身体機能、基本行動、そして感情をコントロールする。そうした行動と感情の中には、私たちを攻撃的、暴力的、強欲にするものや、うそをついたり人をだましたりさせるものもある。程度の差はあれ、誰もがこうした傾向を抱えている。脳の70パーセントを占める新しい脳は、新皮質というひとつのものでできている。新皮質は世界のモデルを学習し、このモデルこそ、私たちが知的である所以である。
    〇この惑星が誕生したのは数十億年前で、地球上の生命も数十億年にわたって進化していることを理解する。
    〇人間は人間の最善の利益が何かにもとづいて、守るべきものについて選択する。
    〇環境保護主義は自然を保存することが本質ではない。私たちが何を選択するかの問題だ。
    〇もっと具体的には、いまの私たちをつくり上げたプロセス、すなわち自然選択、生存競争、そして利己的な遺伝子の欲求によって、自分たちの未来が決定されるのを望むのか?それとも、世界を理解したいという欲求と知能によって、未来が決定されるのを望むのか?主要な原動力が知識の創造と普及である未来か、主要な原動力が遺伝子の複製と伝播である未来か、選択するチャンスがある。
    目標その1 知識を保存
    目標その2 新しい知識を獲得
    あなたがそれについて行動してくれることを願っている。あなたが若いなら、あるいは転職を考えているなら、神経科学や機械知能の分野に足を踏み入れることを考えてほしい。これほど興味深く、やりがいのある、重要なテーマはあまりない。

  • この本は脳科学という観点からだけでなくこれからのAIにも通ずる本だった。人間が物事をどう学習してその記憶をどのように処理しているのかという話。そしてその事からこれからのAIと人間との関係についても語られている。エポックメイキングというものについても考える一如となるだろう。

  • 3部構成で、脳の生理的な仕組みの話から、視点が上がっていき、一気に、人類の未来へ風呂敷が広がっていく。なんとなくだが、読後感がSFの「三体」のように感じた。

    第一部の脳の仕組みの話題。「15万あるコラムがそれぞれ」、「位置情報を持ちながら入力マッチング」していて、「予測」をしている。その予測を15万のコラムが合意形成して、意識が生まれるといった理論の提案で、もちろん正しいかどうかはわからないが、下條さんの「サブリミナルマインド」などの内容など他書の知識をふまえて、なるほどと感じた。

    第二部では脳の仕組みが解明されることで実現するAIと意識/クオリアの話題。
    AIと人間の関係では、AIが人類の後継になるという考えが自分としてはしっくりした。現人類がAI実現によって豊になれるとしたら、自然に現人類は少子化により、事実上(保護されるレベルで残るかもだが)地球の主役からは退くのではと思う。

    また、意識とは、「注意する能力」と「過去記憶を思い出せる」という2点のみから説明できるし、そもそも謎というほどのものでもないという著者の主張は、とても新鮮に感じた。そして、そうかもなとも思った。

    第三部は人類の未来の話題。AIができたとしても人類は、古い脳の影響「など」から消えてしまうかもしれないという可能性は捨てきれないということ。他の知的存在との空間×時間での出会えなさの可能性。生命の存続よりも知識の存続だという主張。ここから、「存在したということ、知識を残す」という挑戦への自身の考えが展開される。知識を残す必要性というのは、「価値観」の話題であり、私は、自分は消えゆく存在を受け入れる執着しないという仏教的な感覚をいつか自身も持ちたいと願っているので共感しなかったが、一つの考え方だなとは思った。

  • 脳、特に新皮質がどういう働きをしているのか、それによってどう私たちが学習するのか、を(既報の研究に見合う)仮説として提言している本。それをもとにする事で初めてAGI(汎用人工知能)を作れるのではないかと提案している。なかなか面白い。
    後半はあくまでも未来についての著者の提案なので、まあそうかもね、と思いながら読んだ。

  • 前半部分では脳の構造を著者の研究成果を基に解説(非常におもしろい)
    後半部分ではコンピュータとの関連=AIの分野との脳の関連で幅広く分析し将来を予見
    新規に学ぶ内容が豊富ですこぶる価値の高い本です。

  • 脳は新しい部分と古い部分で構成されている。 新皮質が世界のモデルを学習するやり方について、新しい考え方を解説している。通常、例えば、視覚情報は後頭葉に入り、そこでは単純な情報が処理され、徐々に連合野に移って、高次な情報が処理されるとされているが、脳はそれぞれの部位で予測モデルを作り、樹状突起活動電位で、その差を検出し、学習していく。場所情報は座標系に入れられるが、場所情報以外の知識も、その仕組みを利用して、座標系に入れられている。
    これはあまり聞き慣れない考え方で、すーと頭に入ってこなかった。これが本当なら、脳についての考え方が大きく変わっていくのかもしれないと思った。
    広範は著者の未来予想のようなもので、正しいのか判断はつかない。ただ、脳の古い部位は感情や原始的な行動を生み出し、古い脳が主導権を握り、すべきでないとわかっている行動をとらせることで、社会を誤った方向へ進めさせるという意見は興味深かった。最近は理性の脳より情動の脳が大事みたいな記載を見ることが多かったので、新しく感じた。

全14件中 1 - 10件を表示

ジェフ・ホーキンスの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
マシュー・サイド
リンダ グラット...
スティーブン・ピ...
ウォルター・アイ...
劉 慈欣
デヴィッド・グレ...
ミヒャエル・エン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×