むらさきのスカートの女 (朝日文庫) [Kindle]

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  • 朝日新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  • 「むらさきのスカートの女」という変わった人物を観察する「わたし」の視点で書かれていく。
    物語がすすむにつれて「わたし」の異常性が目立ちはじめ、「わたし」と読者の視点が乖離し、読者は距離感を図りかねて不安定さを感じさせられる。
    最終的には「むらさき」←「わたし(黄色いのカーディガンの女)」←「読者」←・・・という構造が見えてくる。

    人は存外じぶん異常性には気づかないものですから、ね。

  • 読みやすいが、あまり心に残らない作品。軽く楽しめる娯楽。

  • とてもサクサク読めます。
    むらさきより黄色いが……。

  • 紫がヤバいと思ったらむしろ黄色がヤバい…と思ったらやっぱり紫がヤバい…けど黄色はもっとヤベエ!!!

  • 今村夏子「むらさきのスカートの女」
    今日読了した本。
    久しぶりに一気読みして、心から面白いと思えるような純文学の作品に出会えた。
    第161回芥川賞受賞作。
    「何も起こらないのに面白いとTikTokで話題沸騰!」と帯にあるけど
    この話、主人公は二人いるんじゃないかな。
    「むらさきのスカートの女」と、それを観察する「わたし」自身。
    むらさきのスカートの女は、紆余曲折ありながらある程度普通に生活して最後にあることを理由に去っていくけど
    わたしの内面は最初から最後までめちゃくちゃに破綻している。
    「わたし」が望むものは、何なのか?って帯で書かれているけど、普通なら「彼女が望むものは、何なのか?」と、むらさきのスカートの女が主体になるはず。
    主体のぶっ壊れ方があまり見たことないほどえぐいし、こんな不安定な語り手見たことない。それゆえに、なんかスゲェものに出くわした、と感じさせるのかなあ。
    こんな病んでいてイカれてる作品(褒め言葉です)に出会ったのは中村文則さん以来と個人的に思うほどの衝撃体験。

    本屋ではエンタメばっか売れて、華々しいなんとか大賞関係もほぼほぼエンターテイメントばっかりで、純文学なんてオワコンなんだろか?純文学の意味や価値って何だろ?とわかんなくなってる時に読了した一冊。
    純文学をなめんじゃねえぞ。そう言いたくなった。

  • めちゃくちゃ面白かった。
    謎で気になる地味女「むらさきのスカートの女」を
    ストーキングする私「きいろいカーディガンの女」の語りで進む話。

    確かに紫は面白い人だけど、黄色がもう謎すぎて
    「ていうか、お前は何なんだよ!」とツッコミまくり。
    しかし、黄色とあの人がイコールだと
    最後に気付くとは…
    私の読解力がカス。

    考察によると、
    黄色は酒を飲めるけど
    あの人は下戸だそうで(確かにそう書いてあった!)
    突飛な行動の中のに
    どうも嘘と虚栄が混ざってるくさい。
    なんてこった。

    何度も読みたい。

  • これといったオチがつくわけではないので読後感は微妙だったが、主人公の異常性が時に笑え時に恐ろしく、そこが面白かった。
    事前知識も何もなく読んだらもっと面白かったと思う。

  • ミステリではない(と思うんだけどどうなんだろう?)のに、こんなにも信用できなくて、謎な存在の語り手がいる⁇と、狐につままれたような気持ちで読了。

    最初は、語り手って実は幽霊とか、存在しないのか?と思うくらい権藤の存在感が希薄。だが、彼女は生活が苦しくなるほどの時間を割いて、むらさきのスカートの女をストーキングしていたことが発覚。ここまでの執着には異常さを感じるし、挙げ句の果てには、目標が「むらさきのスカートの女と友達になること」だと語られ、この時点で頭の中が疑問符でいっぱいに。物語の終着点が全く見えないし、先が気になる気持ちしかない。

    読み終わってから振り返ってみても…わからない。世間からはじかれた存在として日野に親近感を抱いたり、自分の方がまだマシと思いたいが故の比較対象として、彼女のことが気になってしょうがないのかと思った。でも、作中の出来事は飽くまで権藤目線であり、時たま、彼女の妄想なのでは?と感じる箇所もあって、本当の日野の姿はぼやけたまま終わってしまった。

    今村さんの作品はいつも、読んだ人の感想を知りたくて仕方なくなる。ドラマチックな展開はないのに、こんなにザワザワする読み心地は他にない。

  • ぎぇ、何この面白い本。2時間でさくっと読めるのに面白いし先が読めない。ずっと先が読めなかった

    読み終わってすぐ友達に勧めた。私は一体なんの女になるだろう。何故か私はこのエンドに恍惚する。幸せしかみえない

    文庫本の受賞記念エッセイもオススメ。今村さんの次回作もお待ちしてます

  • なんというか予定調和な終わり方だった。その終わり方が新鮮ということかもしれない。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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