殺しへのライン ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫) [Kindle]
- 東京創元社 (2022年9月9日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (444ページ)
感想・レビュー・書評
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アンソニー・ホロヴィッツの、ホーソーンシリーズ第3弾。
原題は「A LINE TO KILL」。
このシリーズは、著者と同じ名前であるアンソニー・ホロヴィッツという作家が、元刑事のホーソーンという探偵と一緒に行動して、事件を小説化する、という構造になっている。
(ホームズの記録を取るワトソン、みたいな)
おまけに、作中のアンソニー・ホロヴィッツという登場人物は、実際の彼の著作やらドラマの脚本やらに追われていたりして、どこまでが本当の話なのか、どこからがフィクションなのか微妙なところが面白い。
3作目は、1作目の「メインテーマは殺人」の宣伝企画として、オルダニー島という小さな島で行われる「文芸フェスティバル」にアンソニー(著者)とホーソーン(探偵)が招かれて講演をする、というシチュエーション。
クローズドサークルとまではいかないまでも、区切られた空間の中で事件が起こる、というもの。
さらには、この島では、現在、変電所の建設計画に対して、反対派と賛成派でいがみあっている。文芸フェスティバルを主催しているオンラインカジノ会社の若き社長は賛成派。土地を売ることで莫大な利益を見込んでいる。
呼ばれている作家たちも、何やら曰くがありそう。
そして、ホーソーンが過去に逮捕した犯罪者までもがフェスに参加している…。
そこに起こった事件。
いったい、何に関連した恨みなのか?
タイトルの「LINE」は何を意味しているのか?
と、なかなか込み入っていて面白い。
事件を解くカギとなる証拠は、それとな〜くわからないように記述されていて、真剣に謎を解きながら読むことができるのが面白い。
そして、著者であるアンソニーが、いつもみんなに軽くあしらわれてる感じも面白い(笑)
ホーソーンシリーズ、なぜか勝手に三部作だと思い込んでいたんですが、この作品の最後の章で、ホーソーンについての謎が示されました。
ほとんど自分のことを語らないホーソーン。相棒役であるはずのアンソニーも彼のことをよく知らない。
その謎が次作で少しでも暴かれるのか?
解説に、4作目のタイトルが「The Twist of a Knife」であると書かれていました。あれ?方針転換?それともtwistには文法的な意味があるのかな?
実は、タイトルも楽しみにしているんですよね。
1作目が、The WORD is Murder
2作目が、The SENTENCE is Death
3作目が、A LINE to Kill
WORD(単語) - SENTENCE(文※) - LINE(行)
※2作目のsentenceは、「文」という意味ではなく「判決」という意味で使われていると思うけど。
4作目は、The TWIST of a Knife…
twist, twist....なんなのかな〜詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今までのホーソーンシリーズの中で一番ミステリ部分の種明かしに納得できた。
あとミステリと旅の組み合わせはやはり王道でいいものだ。自分と全く関係ないのない人々と交差し、一瞬の盛り上がりの後に潮が引くように日常に戻る。このなんとも言えない寂しさと事件の雰囲気がマッチしていて良かった。 -
元ロンドン警視庁刑事ホソーン&作家ホロヴィッツシリーズ第3弾。本のセールスプロモーションとして島での文芸フェスに有名料理番組シェフ、盲目の霊能者、地元の歴史家、朗読詩人、児童小説家ともに参加するホーソン&ホロヴィッツ。送電線敷設計画で対立する住民達。そして殺人事件が。文芸フェスで俳句、日本製万年筆サクラが登場。
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シリーズ3作目。今回も安定したストーリーで、最後まで楽しく読めました。元刑事のホーソーンと著者(ホロヴィッツ)で、残忍な殺人事件を追って行くのですが、2人の軽妙なやり取りや、自然豊かな島が舞台であるせいか、明るく長閑な印象を残します。ホーソーンの秘密が少しづつ暴かれていくのも楽しみ。続編に期待しています。
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うーん、確かに予想できなかった犯人ではあるが殺人の動機が、自分を棚に上げて誰かのせいにした感があり共感しづらい。そして、アボットの死もなんだかあっけないし…ということで。
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いろんなランキングで常に高評価の作者だが、私には合わんのかなー。