殺しへのライン ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • アンソニー・ホロヴィッツの、ホーソーンシリーズ第3弾。
    原題は「A LINE TO KILL」。

    このシリーズは、著者と同じ名前であるアンソニー・ホロヴィッツという作家が、元刑事のホーソーンという探偵と一緒に行動して、事件を小説化する、という構造になっている。
    (ホームズの記録を取るワトソン、みたいな)

    おまけに、作中のアンソニー・ホロヴィッツという登場人物は、実際の彼の著作やらドラマの脚本やらに追われていたりして、どこまでが本当の話なのか、どこからがフィクションなのか微妙なところが面白い。

    3作目は、1作目の「メインテーマは殺人」の宣伝企画として、オルダニー島という小さな島で行われる「文芸フェスティバル」にアンソニー(著者)とホーソーン(探偵)が招かれて講演をする、というシチュエーション。

    クローズドサークルとまではいかないまでも、区切られた空間の中で事件が起こる、というもの。

    さらには、この島では、現在、変電所の建設計画に対して、反対派と賛成派でいがみあっている。文芸フェスティバルを主催しているオンラインカジノ会社の若き社長は賛成派。土地を売ることで莫大な利益を見込んでいる。

    呼ばれている作家たちも、何やら曰くがありそう。

    そして、ホーソーンが過去に逮捕した犯罪者までもがフェスに参加している…。

    そこに起こった事件。
    いったい、何に関連した恨みなのか?
    タイトルの「LINE」は何を意味しているのか?


    と、なかなか込み入っていて面白い。

    事件を解くカギとなる証拠は、それとな〜くわからないように記述されていて、真剣に謎を解きながら読むことができるのが面白い。

    そして、著者であるアンソニーが、いつもみんなに軽くあしらわれてる感じも面白い(笑)




    ホーソーンシリーズ、なぜか勝手に三部作だと思い込んでいたんですが、この作品の最後の章で、ホーソーンについての謎が示されました。

    ほとんど自分のことを語らないホーソーン。相棒役であるはずのアンソニーも彼のことをよく知らない。
    その謎が次作で少しでも暴かれるのか?


    解説に、4作目のタイトルが「The Twist of a Knife」であると書かれていました。あれ?方針転換?それともtwistには文法的な意味があるのかな?

    実は、タイトルも楽しみにしているんですよね。

    1作目が、The WORD is Murder
    2作目が、The SENTENCE is Death
    3作目が、A LINE to Kill

    WORD(単語) - SENTENCE(文※) - LINE(行)

    ※2作目のsentenceは、「文」という意味ではなく「判決」という意味で使われていると思うけど。

    4作目は、The TWIST of a Knife…

    twist, twist....なんなのかな〜

  • 今までのホーソーンシリーズの中で一番ミステリ部分の種明かしに納得できた。
    あとミステリと旅の組み合わせはやはり王道でいいものだ。自分と全く関係ないのない人々と交差し、一瞬の盛り上がりの後に潮が引くように日常に戻る。このなんとも言えない寂しさと事件の雰囲気がマッチしていて良かった。

  • 元ロンドン警視庁刑事ホソーン&作家ホロヴィッツシリーズ第3弾。本のセールスプロモーションとして島での文芸フェスに有名料理番組シェフ、盲目の霊能者、地元の歴史家、朗読詩人、児童小説家ともに参加するホーソン&ホロヴィッツ。送電線敷設計画で対立する住民達。そして殺人事件が。文芸フェスで俳句、日本製万年筆サクラが登場。

  • シリーズ3作目。今回も安定したストーリーで、最後まで楽しく読めました。元刑事のホーソーンと著者(ホロヴィッツ)で、残忍な殺人事件を追って行くのですが、2人の軽妙なやり取りや、自然豊かな島が舞台であるせいか、明るく長閑な印象を残します。ホーソーンの秘密が少しづつ暴かれていくのも楽しみ。続編に期待しています。

  • 二人が出会ってから最初の事件を解決するまでを描いた「メインテーマは殺人」、一度は死にかけたホロヴィッツが再び巻き込まれて事件を解いていく「その裁きは死」に続く本作は、謎に包まれていたホーソーンの過去が少しずつ明らかになっていくという構造になっていく。ただし著者はこのシリーズを当分終わらせる気はないらしく、あくまで過去の一部だけが明らかになるだけだ。これまでになくクリフハンガーな終わり方をさせているところを見ると、段々筆が乗ってきたのだろう。4作目も既に邦訳がされていて、今はaudible待ちというところだ。


    その三作目となった本作は、初めて二人は「事件に巻き込まれた」形になる。これまではまず二人に関係がないところで事件が発生し、警察上層部がホーソーンに依頼をし、その謎解きを書き物にしたいホーソーンがホロヴィッツに同行を依頼して・・と言う形で物語が成立していた。ところが本作の場合は、飛行機で渡る小さな島で開催された文芸フェスに参加した二人が、その場所で事件に巻き込まれてしまう。

    古典極まりない形で始まるこの事件の形をより”拡張高い”ものにしてくれるのは、主要な登場人物 = 容疑者たちが揃いも揃って胡散臭い人々であるということだ。一癖も二癖もありそうな過去を持っていたり、あるいはあからさまにホーソーン達に敵意を見せる人がいたりと、黄金時代の本格ものが大好きな人であれば登場人物の紹介を聞くだけでニヤリとしてしまうだろう。映画でいうと、ナイン・ナイヴス グラス・オニオンあたりをイメージして貰えばいいだろう。シリーズの中では、もっとも自分の好みに合う作品だった。


    ミステリーとしてみれば、事件によって島から出られなくなった容疑者達・・というクローズドものである本作では容疑者の数が限られており、犯人探しはそれほど難しくない。個人的には毎回浅い推理で「確信を持って事件の謎を明らかにする」ホロヴィッツがあまりしゃしゃりでてこないので好印象だった。まあ事件に巻き込まれてずっと同じ場所にいるということで、あまり考える時間がなかったのも良かったのだろう。

    本作ではこれまで謎のキャラクターとして意図的にぼやかされていたホーソーンが、かなり明確な像を結ぶような描写も多く、いよいよ王道ミステリーシリーズ作品らしくキャラクターが立ってきたのも感慨深い。何よりも驚いたのは、ホーソーンがまだ30代だったということで、てっきりこれまでの描写から40代半ば〜後半のキャラクターとばかり思っていたよ。

  • 今までのシリーズの中では微妙。曖昧なことがけっこう多かった。全部正解が出ないとなんかスッキリしない。ポアロも謎を解き明かすのが自分の仕事でその後のことには関知しないみたいなこと言ってたよね。

  • うーん、確かに予想できなかった犯人ではあるが殺人の動機が、自分を棚に上げて誰かのせいにした感があり共感しづらい。そして、アボットの死もなんだかあっけないし…ということで。

  • 探偵ホーソーンと彼の活躍を本にするため行動を共にするホロヴィッツのコンビシリーズ第三弾。今回彼らはブックフェスティバルに参加するために風光明媚な島を訪れる。集まった作家たちは、それぞれ怪しげで謎を秘めているよう。そして、島の嫌われ者で大金持ちの男が自宅の離れで殺される。彼を殺す動機を持つ者はたくさんいるようだが、果たして犯人は誰なのか。癖のある警察官や個性的な島の住人たちも皆キャラが立っていて普通に楽しいし、島の描写も生き生きしている。ホーソーンの過去に関する謎は、ますます深まるばかりで先が気になる。全体的には良かったけど、犯人の動機には首をかしげる。いくらなんでも、そんな理由で金持ちの男のみならず、妻まで殺すかね。

  • いろんなランキングで常に高評価の作者だが、私には合わんのかなー。

  • ホーソーン&ホロビッツ シリーズ 第3弾。
    今回は文芸フェスに参加する為に離島を訪れる。
    そこで事件に巻き込まれることになり、ホソーンが真実にたどり着くのだが、その解決が犯人逮捕という形でなく、警察に協力はするが、直接逮捕に結びつくものではなかった。

    犯人探しはそれというトリックがある訳ではなく、意外な動機と意外な犯人であった。
    そこが印象に残るのではなく、ホーソーンの謎が深まった気がする。
    ホーソーンが警察を辞める原因となった男への障害、その被害者となった男 デレク アボットとの再会と、アボットの死が謎となり、次巻への布石となっている。

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著者プロフィール

Anthony Horowitz
イギリスの作家。1979年、冒険小説『Enter Frederick K. Bower』でデビューし、YA(ヤングアダルト)作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズ(集英社)がベストセラーとなる。ドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』(KADOKAWA)なども手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』は、日本でも「このミステリーがすごい!」「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。続く『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』(以上、東京創元社)も主要ミステリランキングで首位を取り、4年連続制覇を達成した。


「2022年 『ホロヴィッツ ホラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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