ロシアのソ連のスターリン時代からの諜報活動に対して第2次世界大戦後にCIAを設立した米国の諜報活動を描く。
当初米国の諜報活動が、反共産主義を根幹としたことで腐敗政治家との連携、民主的な政治体制の否定、人権蹂躙と言った政治的失敗を重ねた歴史も明らかにしている。
同時に地道な諜報活動(自由ラジオ)により、東ヨーロッパの衛星国と言われた国民たちに民主主義的な息吹と土壌を根ずかせた功績もあった。
冷戦終結後の混乱を経てそれの崩壊を見てきたKGB出身のプーチンがロシア帝国の復活を目指すための諜報活動の重要性を認識し、サイバー攻撃やフェイクニュース、ネット操作といった実践によりアメリカ社会の分断や民主主義プロセスを無視するトランプ大統領を生み出す要因となったことを説得力ある筆致で描く。
更にロシア帝国=ソ連の再興を目指すプーチンが、NATOの脅威を強く感じつつそれを第2次世界大戦でのナチの脅威のように世論誘導することで、グルジアに軍事侵攻したりウクライナのクリミア半島を侵奪し、ついに2020年2月24日ウクライナへの大規模な軍事侵攻に至ることの必然性を理解する手助けとなる。