背景世界は古い時代が想定されていて、それぞれの役割もそれに添ったものなのだけど、主人公やその周囲の倫理観等は、こういった様相の作品のなかでもかなり現在風ではないかと思う。ギャラリーのオーナーが、そういう意味では、視野が広くて、言いたいこともきっちり言う人で、自分的には素敵な人だと思う。第 11 幕のエピソードで、「仕事を取った」という少年の言葉にオーナーがきっちりと言い返すのだけど、あえてフィオナを狙ったことを非難して、少年が言い返せないエピソードがあり、背景世界のなかで違和感を覚えるほどに、実に現代的だなと思った。フィオナの仕事の内容や、仕事に対する態度などもそうだけど、今まで読んだなかでも、この話は飛びきりそういった周辺が現在に寄せてあるように感じる。この話は別に異世界転生/転移ものというわけではないと思うのだけど、その影響のなかでつくられた作風なのだろうと考えると、面白いものだなと思う。時代が作品をつくるんだなというか。