量子力学の多世界解釈 なぜあなたは無数に存在するのか (ブルーバックス) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 量子力学の観測すると確率の波が収縮する問題。
    そもそも、それはどういうことなのか。波の性質からはじまって、ある場所で量子を見つける確率が、波動関数の絶対値の2乗に比例することなどを丁寧に説明していく。
    多世界解釈を知りたい人だけでなく、コペンハーゲン解釈を知りたい人にもおすすめできる本。
    この本を読みながら、多世界解釈でもコペンハーゲン解釈でもなく、波が収縮して見えるのは、ダークマターかダークエネルギーが干渉していて、それが現在の科学で見ることができないから、人間の観測で突然波が収縮したように見えているんじゃないか、などと空想を巡らせていた。

  • 面白かった。

    TENETなどのクリストファーノーラン映画から量子力学を知りキャミが出たので買ってみた。

    量子力学というものが体系的に理解できた、またそのような主張になるまでの実験や取り組み、流れや歴史を知ることが出来た。興味のある分野だと学問の歴史は面白いものだと思った。

    ただこの量子力学の話が例えば量子コンピューターにどのように使われているのかとか、そういうのも少し気になった。あと後半少しだれてしまった。全体的に想像の世界で話が進んでいくのでなかなかついていくのがカロリー高いなと、思いました

  • 知的好奇心を満たすことが、どれほど楽しいか実感できた1冊。小説やビジネス書など様々な本を読むが、最近読んだ本の中で、1番楽しくワクワクした。

    SFのようなパラレルワールドが存在する世界が必然と考えられる理由を解説している。
    量子力学とは何か、歴史上の重要な人物や実験を例示しながら述べられている。
    量子力学に関する知識がほとんどない状態で読み始めたが、数式はほとんど用いずに、物理初心者でも理解できるように書かれている。
    量子力学を理解するうえで、電子や光に関する知識が重要になる。冒頭は原子に関する説明がなされて、高校の化学の復習といった感じだ。
    次に、誰もが知るアインシュタインの光量子仮説。量子力学に関するヒントを多く生んだ説である。電磁波(光を含む)のE(エネルギー)=n(整数)×h(プランク係数)×ν(振動数)。この式から、光のエネルギーは、hνというエネルギーをもつ光子の数であることが推測でき、光の粒子説の根拠の1つになる。
    対して、ヤングの2スリット実験では、スリットを通った光はその先で干渉縞を形成し、波の性質を持つ。
    波と考えられていた光のエネルギーを、粒子(光子)の発想で表したアインシュタインとは逆に、シュレディンガーは粒子と考えられていた電子のエネルギーを波の式を用いて説明した。
    現代版2スリット実験では、光を極限まで弱めて分解できない暗さで実験すると、スクリーンに発行が1つずつポチポチと現れる。これを長時間行うと干渉縞が生じる。光は粒子の振る舞いと波の振る舞いを示す。ただし、1つの粒子だけで干渉するところが不思議である。
    電子は波の性質を持つが、ある時点で観測されると「波の収縮」が起こり点になる。この波の収縮を持ち出す考え方をが広義のコペンハーゲン解釈である。
    1957年エベレットは多世界解釈で、電子の波は複数の電子の共存であり、波の収縮という不思議な考え方は不要であるとした。
    エンタングルメント、量子もつれ、量子絡み合いは、対の量子の片方のスピンの方向が決まれば、他方のスピンの方向が決まるもので、粒子がどれだけ離れていても起こる。これを可能とするのは、量子の様々なスピンの対が多数共存するとする多世界解釈である。コペンハーゲン解釈では観測して初めて波の収縮が起こり片方のスピンの方向が決定するため、光の速度を超えて他方の量子のスピンの方向が決まる説明ができない。
    多世界解釈の量子力学では、電子のみならず全てのもの例えば人も多数共存し、電子の2スリットのように互いが干渉する可能性があるが、実際には干渉しない。これは、デコヒーレンス(干渉可能性の消失)で説明できる。炭素60~70個(粒子約1000個)で構成されるフラーレンという比較的大きな物質で現代版多重スリット実験をすると、真空に近いと干渉縞ができたが、空気を満たしていくと干渉しなくなる。これは、共存するフラーレンが空気分子にぶつかることで、それぞれ様々な挙動を取り干渉しなくなると考えられる。
    「シュレディンガーの猫」の問題やその他の難問に明快に答えられるのが、多世界解釈である。これによれば、今の私と共存する多数の私が存在することになり、つまりパラレルワールドが存在することが必然になる。

    多世界解釈や量子力学に関する解説動画がyoutubeにもたくさんあり、本書でも紹介されている。これらの動画を見ながら読むと、更に理解が深まる。

  • 量子力学なんて縁がなかったけど、かなり面白く読めた。
    パラレルワールドがあるかもと思うと、ちょっとワクワクする

  • 難しいけど、量子力学の議論の対立の中身を知ることができた。

    説明が難しい点を、収縮の一言で片付けるか、パラレルワールドがあるとするか。

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著者プロフィール

成蹊大学非常勤講師、元・東京大学大学院総合文化研究科専任講師。理学博士。1949年、千葉県生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。専門は理論物理。研究テーマは、素粒子物理学、宇宙論、量子論(多世界解釈)、科学論など。

「2020年 『物質の究極像をめざして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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