教育大国シンガポール~日本は何を学べるか~ (光文社新書) [Kindle]

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  • 初っぱなから共感の嵐。自身も駐在でアジア圏で子育てをしていて著者と同じような焦りを持ったし帰国後駐在中に失ったものを一生懸命取り戻そうと躍起になりながら、この自分のやってる必死なやり方って専業主婦しかできなくない?となり、教育迷子の中この本と出会った。

    『Love, Money & Parenting』でも学歴による収入格差が大きい国や時代ほど親が教育熱心になると書かれているという。そのために『「生存競争」教育への反抗』では、セーフティネットの充実や再分配政策により教育の失敗をしても大丈夫という安心感を醸成することが必要と述べているようだ。

    学だけではなく、「Well-rounded」(日本語で近いのは文武両道?)であってほしいと願うシンガポーリアンは、教育競争加熱の中、子供にただただ幸せになってほしいという万国共通の願いをベースに持ちながらも、落ちこぼれては欲しくないという中間層が押し上げる熱に抗えず子供たちに余暇でもプレッシャーを与え続ける。余暇の時間さえ手段化して合理的に判断してやるスポーツや習い事を選択している。本来評価しづらい教育活動が、グレード化されてしまっており、可視化されやすいところに親たちは注力することとなる。

    まさに"ヘリコプター・ペアレント"でないと、この世の中で子供たちに幸せを託せないのか。

    そして後半は共働き家庭の母親の内なる思いが綴られてたんだけど、、やはり三世代に渡って祖父母に世話してもらって仕事と育児を両立してもらった世代は自分のような子供時代は送って欲しくないとは声だかに言えないもんだよな、、
    だからできれば専業主婦になりたい、と言ってキャリアを捨てる女性、最初からキャリアは諦める女性があとをたたないのだと。
    これって日本の行き着く未来なのかしら。著者も書いていたが、日本の中受の世界の闇とシンガポールの教育の闇ってのは近しいものがあるんだろうな。

  • シンガポールに住んでいたので、あるあるものも多々あり読んだ。
    頑張りが報われるというのは自分の力以外にも起因する。「恵まれた環境と能力は恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。」という言葉は私の信念そのものだった

  • シンガポールの教育システムの実態を解説した本。

    シンガポールに5年間暮らした著者が、現地の教育や家庭の状況、母親たちへのインタビューを通して、シンガポールの教育システムの実態を明らかにしています。

    地道な取材だからこそ、通常の報道では見えないシンガポールの教育の今が見えてきます。

  • シンガポールの教育について一側面を知ることができた。

  • 育休世代のジレンマ、を読んでから継続的に発信活動をウォッチさせていただいている中野円佳さんの最新作。
    あれ、もうシンガポールから帰ってこられてたのか?もう5年も経っているのか、という本書の内容とは関係ないところから驚き。
    もちろん、内容も、私の状況の少し先をいく「教育と仕事の両立」を扱っていて、かつシンガポールのお国事情がよくわかり興味深い。
    習い事の競争激化や点数稼ぎの日常、それを支える主に母親の負担、、
    子供たちは何のために生きているんだろう?生きる意味を自分で考えられる子に育てたいと思うけれど、何も考えない自動運転モードになっていたら、確実に受験戦争に飲み込まれるな、と感じた。
    まだ答えは出ていないけれど、子供の人生である、という点を尊重した子育てをしたいと考えた。

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著者プロフィール

ジャーナリスト、東京大学大学院博士課程

「2019年 『なぜ共働きも専業もしんどいのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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