母親を陰謀論で失った (コミックエッセイ) [Kindle]

著者 :
制作 : ぺんたん 
  • KADOKAWA
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感想 : 6
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感想・レビュー・書評

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  • 「2020年春。新型コロナウイルスのまん延により、私たちの生活は大きく変わった。
    それは生活だけでなく、強固だった人間関係にも影響を及ぼした」
    東京で妻と暮らす息子・ナオキ、地方で父と暮らす母親・ケイコ。
    どこにでもある仲の良い親子だったふたり。
    コロナ禍の度重なる社会不安により会えない日々が続くが、お互いを想い合って過ごしていた。
    しかし、ある時期から母親が怪しい動画を送りつけてくるようになり―――。
    陰謀論を信じる母親に揺り動かされる息子とその家族たち。
    「母親が信じる陰謀論の正体とはなんなのか?」「陰謀論を信じている人はどんな人なのか?」
    そして「なぜ母親は陰謀論を信じてしまったのか?」
    その真相に迫る過程を息子視点で描いた濃密なセミフィクション。
    noteで話題となった記事「母親を陰謀論で失った」に大幅な脚色を加え、コミック化。
    親子愛の限界を問う、胸えぐる衝撃作。
    かつてナオキが、愛した母ケイコは正義感が強く、優しい母親だった。ナオキは、上京してからも母ケイコとの関係は良好で、お互いを気に掛け合い信頼し合う親子関係が続くと思っていた。
    だが、母ケイコの友人クミコが教えたある動画が、ナオキとケイコの親子関係を決定的に変えてしまう。
    ケイコは、「中国がコロナウィルスを意図的にばら撒いた」「中国やユダヤなど世界を牛耳るディープステートが、コロナウィルスを使い人口を削減し資源の独占を狙っている」「ワクチンを打つと不妊になる」「ワクチンを打つと遺伝子を書き換えられる」などの陰謀論動画を見過ぎて鵜呑みにしてしまい、持ち前の正義感と子供たちを守るため、LINEで陰謀論動画やコロナウィルスに効果的とされる薬やお茶などを根拠もなく勧めるようになった。
    エキセントリックに陰謀論を力説する母ケイコにショックを受けて、ナオキは理性的に反論してケイコを正気に戻そうとするけど、逆にケイコを刺激し、険悪になってしまう。
    ケイコを理解するためナオキは、自分でも陰謀論動画を見てみてLINEやTwitterの陰謀論者トークルームで実際に陰謀論者の発言を聞き、彼らはコロナ禍の不安に怯えながら家族を守るために様々な情報を集め足掻いている普通の人であることを知る。
    ただ、情報の洪水に翻弄され、根拠を確認せず仲間たちで共感し合い陰謀説やデマを共有して信じ込むエコチェンバー現象にハマり、陰謀説を否定する家族や友人を「お花畑」「目覚めていない人」と否定して信じ込むドツボにハマっていく。
    陰謀説にハマってヒステリックで狂信的になっていく母ケイコの現実を受け入れられず以前の親子関係を取り戻すため心身ともにすり減らし奮闘するナオキの葛藤と苦悩、ナオキや夫のために良かれと思い自分が正しいと思う陰謀説などをナオキたちに受け入れられず苛立ちながらも陰謀説を信じ込む仲間たちを居場所にドツボにハマっていく母ケイコの闇、生活を成り立たせるため心身共にすり減らしながら妻ケイコが陰謀説を力説するのを否定せず刺激しないようにしているナオキの父の苦悩がリアルに描かれているからこそ、お互いに気を遣い気にし合い守りたいだけなのにここまですれ違い断絶してしまった親子関係が悲し過ぎる。
    またコロナ禍で、対面で人と触れ合う機会が減った時期に、手軽に悩みや意見を共有できるSNSの情報リテラシーにより、周りの人間関係が良くも悪くもなるSNSの諸刃の剣の面。
    一度でも陰謀説やデマが拡散すると、修正する情報より陰謀説などが目立ちすぎるYouTubeやSNSの悪しき部分。
    家族の命と絆を守るために情報リテラシーと「身近な人を諦める」見切りがいかに大事か、収益化の為にはセンセーショナルな陰謀説などを動画で紹介するブラックYouTuberに怒りが湧くセミフィクションコミック。
    まずは、高橋洋一や神都真Qの動画を見ないように、おススメします。

  • 人が何を信じても良いとは思うけど、それで人間関係が壊れていくのは辛いですね。

  • ネット上では、そういう方たちがいることは知っていましたが、身近にはいないのでピンときていませんでした。
    ただ先日、飛行機に乗った際に隣のご夫婦の奥様が旦那さんに小声で、体調が悪くマスクをしている私のことを蔑んだ感じで話されていました。私は人工香料が苦手なのでマスクをしていたのですが、旦那さんが奥様にシックハウス症候群みたいな感じなんだよと説明されていました。(お二人とも雑談すごく聞こえるんですけど(^^;))
    そのあとも、奥様から鼻で笑われてしまいました。
    このコミックエッセイに登場している陰謀論者ってこんな感じなんだなと思いました。陰謀云々以前に、人としてのホスピタリティの無さに驚きました。

  • 壮絶だった。
    人って悪い方や容易い方にはあっという間に変わることができるんだな…
    いつか家族や自分が突然「誰⁉」ってくらい変わってしまう事もありうるんだよね。怖い。
    最後の解説も読んで納得する。
    「わからないことが恐怖になる」というのはこのコロナ禍で身をもって味わっているけど、そこを「誰かのせい!」ってすると気持ちが楽になるんだな。私は誰かの陰謀で世界が動いてるっていう論理の方が、よっぽどわからないことより怖いけど…

  • いろんな陰謀論に染まってる人の説得は難しいよなあ。もう宗教の類だもんなあ。

  • 陰謀論者が家族ってキツい

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著者プロフィール

漫画家。「実家が放してくれません」「オトナ女子の謎不調、ほんとに更年期?」(集英社刊)。「小学生男子のトリセツシリーズ」(扶桑社刊)など、コミックエッセイ著作多数。Twitter@toriatamaxp

「2023年 『母親を陰謀論で失った』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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