滅ぼす 下 [Kindle]

  • 河出書房新社
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感想・レビュー・書評

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  • 彼の作品の多くが孤独な中年男性を描いているのに、今作は珍しく家族が描かれている。それほど親密な家族ではないにしろ、現代の平均的な家族の有り様が書かれてる。もうひとつ特徴的なのは主人公がしっかりとした夫婦関係を持っていることだ。いっときは家庭内別居のような冷たい関係であったが、少しづつ関係を修復して以前のように仲の良い関係を築く。愛情深い関係だ。しかしその関係は長く続かない。主人公は末期の癌に罹り緩やかに死に近づいていく。世界も不穏な動きがある。目的不明の高度な技術を駆使したテロが頻発する。それは世界の破滅を目的としたようなテロである。小説の最後は、寂しく悲しい余韻を残す。登場人物を借りて語られる言葉は、全人類に向けての言葉のようだ。現代に生きる我々の生きづらさ、孤独、不安、悲しみが彼らの言葉の中にある。未来に起こるだろう全人類滅亡の悲しみを先取りした感覚を覚え、切なくなる。

  • この作者の本初めてだったんだけれど、いつもこんな感じなの?
    作中で最も魅力的でない人物を主役にするの、強い意志は感じるけど、まったく男の自己憐憫でうざったい。
    筆力は突出している。

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著者プロフィール

1958年フランス生まれ。ヨーロッパを代表する作家。98年『素粒子』がベストセラー。2010年『地図と領土』でゴンクール賞。15年には『服従』が世界中で大きな話題を呼んだ。他に『ある島の可能性』など。

「2023年 『滅ぼす 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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