運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書) [Kindle]
- NHK出版 (2023年11月10日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (242ページ)
感想・レビュー・書評
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行動遺伝学の視点から人間社会を探究する魅力的な本でした。著者たちは、遺伝が知能や性格に与える影響を深く論じており、私たちの日常に潜む「遺伝の影」に気づかされました。橘玲氏の行動遺伝学に対する深い理解と専門家との対話は、理不尽な社会を生き抜くヒントに満ちていて、感動的でした。知識豊富な著者たちの議論は、勉強にもなり、同時に楽しませてくれる一冊でした。
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「言ってはいけない」で行動遺伝学を世に知らしめた橘氏と、その行動遺伝学の第一人者である安藤氏の対談形式でその行動遺伝学を解説する一冊。
一部専門的な用語や事例があって、その分野の類書を読んだ方が議論が掴みやすいと思うが、行動遺伝学がどんな学問であるかをある程度把握できる。
運は遺伝的するというのは、周囲の環境も自分の遺伝的要因が関係しているので、環境的な要素に左右されることが多い「運」も遺伝的な関連性があるということだろう。
当然といえば当然だが、やはり学力は遺伝的な要素が大きいとのこと。
本書に書かれているように、自分の遺伝的素養を把握し、その素養にあった環境を選択していくことが本人の幸せにつながるのだろう。 -
行動遺伝学の知見を踏まえると、遺伝的にアクティヴラーニングに向いた人もいれば、そうでない人もいる。アクティヴラーニングによってみんなが自分の頭で考えられるようになるなんてことは絶対にない。
知性や性質は大体遺伝で決まる。親としてホッとしたような、拍子抜けのような。あまり気負わず、日々子供達と楽しく過ごせたらな、と思います。 -
違いがあるものを違いがないと思い込むことの危険性(無理)。置かれた場所で咲きなさい→咲ける場所に動きなさい。差があることが前提で,差はだいたい正規分布か。二峰型になると分断が進む。差が差を生む。差を見いだす。自分が得意なところを手がかりに,環境を構成したり選んだりして,自分らしさが作られる。外部環境の質や量,タイミング,その効果はゼロではないが大きくもない。自分がやっていけるところを選んでいる←それに遺伝的な形質が大きな影響を及ぼす。まずは行動遺伝学が示す事実を受け入れ,その上でいかに選択し実行するかだ。
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なんか不安だったが、橘先生がすこし煽るようなことを言って安藤先生がたしなめる、という感じでそんなに悪くない。行動遺伝学みたいなのに対して強い疑念をもっている人は読むのがよいと思う。
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運は遺伝する: 行動遺伝学が教える「成功法則」。橘 玲先生と安藤 寿康先生の著書。どれだけ努力しても遺伝の影響のほうがずっと強い。知性、能力、性格、運もほとんどが遺伝で決まる。遺伝で決まるなら努力しても仕方がない。そう思うかどうかも遺伝で決まるのかも。きちんと努力する努力できるのも遺伝だし努力しない努力できないのも遺伝。蛙の子は蛙。トンビが鷹を生むなんてめったにない。ほとんどすべてのことに遺伝の影が覆っているのなら批判されがちな世襲だって悪くないのかも。知性、能力、性格、運も似ているのなら赤の他人よりも世襲された人が向いていることだって多いから。
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行動遺伝学の最新の知見が得られる本である。
ある事柄について、遺伝情報を統計処理する事により得られるポリジェニックスコアという概念が衝撃的であった。
特定の病気への罹患率、最終学歴の推定などなど、ポリジェニックスコアで分かる事の幅広さは、凄まじいの一言である。
遺伝と向き合って生きていく必要があると感じさせる本であった。 -
ずーっと遺伝の話で専門的な用語も出てくるけど、ついていけない程ではなかった。
遺伝による影響というのは、子育てを始め、いろんなことを考えるうえで必要な視点である、と思った。
「遺伝」を研究、語るのってすごく大変なんだな、とアカデミアの方々の苦労が垣間見えた....。シンプルに「遺伝」の影響めちゃあります!って言えないのね....そこらへんの理由も読み応えあります!
子育て中の人にもおすすめ。これを読んでどう子育ての戦略を練るか、というのが大事なのかなと。
我が家は手っ取り早く夫婦〜親戚の得意なことを洗い出して、それを子供にやらせる。環境(すむ所)は必要であれば変えることも考えるべき優先事項である。習い事は焦って色んな経験させる必要はない。得意なこと一点集中型のほうがよさげ。 -
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「ありのままの〜♪」で始まる歌が流行したことがあった。
実際にはありのままで一生、生きていけないからこそ、憧れもあり人々の心に入り込んだのかな。
運は遺伝すると言われたら一体どうすればいいのと思ってしまう。
不都合な社会の事実を数々の著書で暴き出している橘玲と、行動遺伝学・教育心理学・心理教育学を専門とする慶應義塾大学名誉教授、安藤寿康が今回取り上げる本の著者だ。
遺伝に関する研究が進み、社会も「やればできる」の精神論では、追いつかない状況になっている。
リベラル化する社会では「自分らしく生きる」ことが至上の価値になっていると橘は指摘している。
自分らしく生きようとすれば、自分らしさを見つけなければいけないのに、多くの若者はその段階でつまずいているとも述べている。
それに対して、安藤は「自分らしさ」は、ファミレスのグランドメニューのような既成の選択肢から選ぶことも強いられて、うまく行かなくて挫折する学生が、特に男子に多いと述べている。
安藤はさらに、遺伝的に適正のあることと、外部からの評価は無関係ですと述べている。
これからの時代をたくましく生き抜いていくのは、なかなか大変だなと思った。