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感想・レビュー・書評
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帯によると、フランスで65万部も売れたらしい。ゴングール賞という理由を差し引いても、このような複雑な構成とメタ小説的なテーマを題材にした小説がベストセラーになるというのはちょっと想像しづらいものがある。
小説をめぐる小説であり、語り手の視点も頻繁に切り替わりながら話が進んでいくので、複雑は複雑なのだが、それでいてわかりづらさはない。
作中に出てくる架空の小説はセネガルの若い黒人がフランス語で出版したという設定であり、それはそのまま実際の著者にも重なる。ただ、このあたりを特別語る気は起きない。なぜなら作品内で、そのような出自からくる物珍しさに注目する視点を、あらかじめ先回りして牽制してあるからだ。
原著はフランス語で書かれている。そもそもセネガルの公用語はフランス語である。そして著者はセネガルのエリート家庭出身であり、たしかに出自を気にしてもしかたない。セネガルに帰属するアイデンティティも、フランスで評価されたいという率直な気持ちもあるだろう。が、残念ながらそれも作品内で語られている。この小説にまつわる批評は、すべて先回りされてしまうのである。
先回りしてるからどうこうではない。批評的な小説自体はさほど珍しくもない。ただ、やはり最初に書いたとおり、こういう小説がベストセラーになるフランスという国はなんなのか。なんだか物理的距離以上の遠さを感じさせるものがあった。
あと、これはどうでもいいことだが、主人公が作家になったきっかけを問いかけられて、ハルキ・ムラカミが野球の試合を見に行って小説を書こうと決めたエピソードを紹介するシーンがある。ぼくは、このエピソードは村上お得意の気を利かせたつもりのフィクションだと思うのだが、村上はさも本当かのように海外で語っているようだ。日本でも本当かのように書いていたが。本当なのかもしれないけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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人はなぜ書く(描く)か
東京藝術大学お嬢様部 2024年2月23日 07:52
https://note.com/geidaiojosama/n/nfd8b63cd726f
2024/03/01 更新 -
ふむ