黒の黄昏 [DIGクリエイティブアワード]

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  • 油彩ではなく水彩で同じモチーフを描いた別作品。またはカロリーダウンしたヘルシースイーツ。
    どちらを好むかは各人の嗜好で分かれるだろうけど、どちらにもそれぞれの良さがある。
    何よりもまずはこの分量を二度改稿された那識さんのガッツに拍手!

    孤児となった幼馴染の男女と、二人を引き取って育てた大魔術師のきりきりするような三角関係はやがて帝国の根幹を揺るがす秘密と密接に絡まりあって……というこの作品は、元々R18版で書かれたもの(既読)がPG12版として書き直されている。(番外編で活躍する登場人物たちの初登場の姿を、アルバムをめくるように見られたのは再読の楽しみのひとつだった。)ということで、以下の感想では改訂前後の印象の違いについてだけ述べる。

    改定前の作品は底を流れる情念がもっとどろどろとした粘度をもっていて、それが人間の弱さややりきれなさを読者に訴えかけていたのだけれど、濃すぎて読んでいて苦しくなる箇所も多かった。
    このPG12版ではそこをかなり削ってあるので心の準備がなくても読みやすくなったのは確か。(「ここからどうなった!?」という下世話な視点ではもやっとするけど。)シキちゃんとインシャはこっちの方が幸せそうに見える。(それをいえば隊長もだけど隊長の幸せは別に祈ってないからいいの。)

    苦しさが削られた分、クライマックスのカタルシスが改定前よりも弱くなったが、これはやむを得ないと思う。薄味は長寿につながるのです。

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著者プロフィール

那識あきら(なしきあきら)
翻訳ミステリと古典SFで育つ。学生時代から同人誌を中心に創作活動を行い、現在はWEBにて小説を発表、一部はアメリカの出版社によって英訳されている。
著書に『うつしゆめ』(徳間文庫)、『Dawn of the Mapmaker』(Cross Infinite World)がある。

「2018年 『リケジョの法則』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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