門 [青空文庫]

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  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 4
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感想・レビュー・書評

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  • どうもこうも終わり方が良く無い。
    安井の消息が知れると共に禅宗に修行に行ったはいいが、何の変化も無く帰って来てしまい、安井もモンゴルに帰って行ったし、弟の小六も坂井のところに落ち着いてしまうし、何か何事も無く終わってしまった感じ。
    最後に何が波瀾が起きると想像していたが、期待外れだった。

  • 三部作を読みきった。略奪愛の末に結ばれた夫婦の、ひっそりとした暮らしぶりが、儚くも美しいと思った。
    欲を言えば、略奪愛の描写をもう少し詳しく!(昼ドラ好き)
    最後の宗助の逃走っぷりは見事なほど。しかもグダグダしてただけ…。ラストが少し消化不良だが、きっとこの先も、夫婦は人目を忍んで静かに生きていきますって事なのかな。それはそれで、ある意味ハッピーエンドな気がする。

  •  鎌倉に遊びに行く機会があったので、慌ててkoboに突っ込んで読んでみた。
     ようやくこれで前期三部作を一通り読めたことになる。

     ××××が あらわれた!
     そうすけは にげだした!
     しかし まわりこまれてしまった!

     ……そんな感じ。
     敵の名前は「やすい」ではなく、「うんめい」とか「じんせい」とか、そういうものだろう。漱石の描く、悩める男性には、他人とぶつかり合おうというエネルギーが根本的に欠如していると思う。ひとつ殴り合いのケンカでもすれば、意外と解決することだってあるかもしれないのに。
     しかし宗助は逃げ出したせいで、かえって苦しめられることになったのではないか。
     降って湧いたような宗助の鎌倉参禅は、漱石の病状悪化によって劇的なクライマックスを避けざるを得なかったからだとか早く終わらせなければならなくなったからだとかいう話を聞いたことがあるが、私はこれで「良かった」と思う。もちろん宗助の行動として正しかったという意味ではない。作品として良かった、ということだ。
     かつての親友同士は再会の機を逸し、そして二度と出会うこともないだろう。鎌倉から帰った後の宗助の孤独感がすさまじい。もはや、御米にも彼の孤独は分かち合えまい。
     宗助は、やがて『こころ』の先生に繋がっていくように見えた。その末路は書くまでもない。
     そして、弟の小六にも、なぜか同じ運命を透視してしまう不思議。

     円覚寺の門は立派でした。紅葉が綺麗でした。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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