機械 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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感想 : 5
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感想・レビュー・書評

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  • 男女の心の機微を描いた作品よりこういうのを面白いと思う私ってなんなのだろうと思わされてしまいました。

    主人公はとても賢い人なんですが、薬のせいかどうかわかりませんが段々と混乱していくところもあくまでも冷静に活写されているところが面白いと思います。

    軽部さんがいう塩化鉄で周囲に草が生えなくなっている工場の秘密って何なんでしょう。教えてエロい人。それがわかればもっと面白いのかもしれないし、別に関係ないのかも。

  • 青空文庫
    『機械』
    著者:横光 利一(よこみつ りいち)
    https://www.aozora.gr.jp/cards/000168/card907.html

    冒頭
    『初めの間は私は私の家の主人が狂人ではないのかとときどき思った。観察しているとまだ三つにもならない彼の子供が彼をいやがるからといって親父をいやがる法があるかといって怒っている。畳の上をよちよち歩いているその子供がばったり倒れるといきなり自分の細君を殴りつけながらお前が番をしていて子供を倒すということがあるかという。見ているとまるで喜劇だが本人がそれで正気だから反対にこれは狂人ではないのかと思うのだ。』

  • プレート工場という小さな世界に押し込まれ、主人公の過剰に研ぎ澄まされた自意識が、薬品に浸食されていくように破綻をきたすさまは無惨であるがゆえにあまりに滑稽。登場人物やミステリアスなエンディングまで緻密に構成された落語のようなキレ味でした。

  • ネームプレート工場の従業員同士の疑心暗鬼。誰が何を疑い、なぜ疑い、どうして疑われていると思うかがごちゃまぜに絡み合っている。

    なんか、読むたびにはっきりしなくて、霧の中にいるみたいな不安定な気持ちになる。はっきりしろよと。モヤモヤむやむや。

  • 知的で冷静な主人公が、じわじわと混乱してゆくのが感じられた。
    なんの予備知識もなく読んだのだけれど、「機械」というタイトルと内容とのコントラストがすごく気になる。
    もう少し間をあけてから再読したいと思う。

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著者プロフィール

よこみつ・りいち
1898〜1947年、小説家。
福島県生まれ。早稲田大学中退。
菊池寛を知り、『文芸春秋』創刊に際し同人となり、
『日輪』『蠅』を発表、新進作家として知られ、
のちに川端康成らと『文芸時代』を創刊。
伝統的私小説とプロレタリア文学に対抗し、
新しい感覚的表現を主張、
〈新感覚派〉の代表的作家として活躍。
昭和22年(1947)歿、49才。
代表作に「日輪」「上海」「機械」「旅愁」など。



「2018年 『セレナード 横光利一 モダニズム幻想集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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