英国ひつじの村シリーズ第5弾。
村に撮影隊がやってきた。ドキュメンタリーで、第2次世界大戦時のドイツ戦闘機を湖から引き上げて取材する。撮影隊には巡査エヴァンの恋人、ブロンウェンの元夫や、大学の同級生がいた。しかし、撮影隊の中の一人は誰にでも態度が悪く、相手を不快にさせることを好むような人物だった。その彼がスレート鉱山で死体となって見つかる。鉱山は戦時中、ナショナル・ギャラリー(美術館)から貴重な絵画が何点も保管されていた。保管場所となった小屋を建てた老人はまだ村にいた。
シリーズ名が「ひつじの村」となっているが、今までひつじ要素は感じなかったな。村はすごく小さくて、メンバーの顔ぶれは変わらずで、十分楽しめた。というか、この作品はコージーブックスの割にミステリー要素は高めのシリーズであったが、今回はさらにミステリーの割合があがり、もはやコージーではないと思う。今回は、第二次世界大戦中のエピソードや、鉱山の様子が丁寧に書かれていた。あとがきを読むと、作者は当時を舞台にした作品も書いているそうなので、取材や時代考証がしっかりしているのかもしれない。あとがき読むまで鉱山へ絵画を隠すという話は本当にあったことだと思っていた。北ウェールズ地方と南ウェールズ地方は別だと地元の人は考えている、という説明も面白かった。知らない場所のミステリー小説は、メインストーリー以外にも色々知ることができるのも魅力だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
イギリスの作品
- 感想投稿日 : 2023年8月30日
- 読了日 : 2023年8月30日
- 本棚登録日 : 2023年8月30日
みんなの感想をみる