205ページ
1300円
5月11日〜5月12日
無農薬でリンゴを作るのは不可能と思われていた。その不可能に挑戦した男、木村さんの半生を描く。完全無農薬に挑戦し、虫をとり、酢をかけ、考えうることをすべてやってみたが、リンゴは花を咲かせず、半分の木が枯れた。収入がなくなり、家族にも苦労をかけ、木村は首をくくろうと山を登る。山の上でどんぐりが元気に育っている様子を見て、そこからリンゴの根っこ、土に目をむける。9年ぶりにたくさんのリンゴの花が咲いて喜ぶ。『リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているわけではない。周りの自然の中で、生かされている生き物なわけだ。人間もそうなんだよ。人間はそのことを忘れてしまって、自分独りで生きていると思っている。』
木村さんの人柄にひかれた。大きな笑い声と木村さんがいるとその場が明るくなるということが、読んでいるだけでも伝わってきた。トラクタ一の本をとろうとして、一緒に落ちてきた無農薬の本。死のうと思って入った山の中で出会ったどんぐりの木。宇宙人の話。本当に楽しい木村さんでも、手探りの9年間は本当に苦しく辛かっただろう。木村さんのリンゴを食べてみたい。自分がここで諦めるということは、人類が無農薬のリンゴを育てることを諦めることだという言葉が印象的だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年4月9日
- 読了日 : 2023年5月12日
- 本棚登録日 : 2024年4月9日
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