ブロンズの使者 (創元推理文庫 M あ 3-10)

著者 :
  • 東京創元社 (2003年7月1日発売)
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感想 : 11
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《マーキュリーの靴》(収録作品)

高層ビルの屋上にある邸宅に、独りで暮らす女性推理作家が、深夜に小雪の降った翌朝、胸にペーパーナイフが刺さった状態で、部屋の床に仰向けで死んでいるのが発見された。
邸宅の周りには、うっすらと雪が積もっていたが、帰宅時の彼女の靴跡しか残っていないことから、警察は自殺だろうと考えた。
しかし、私立探偵のわたしのもとへやってきた弁護士は「自殺ではなく他殺だと立証してほしいんだ」…そう依頼してきた。
早速わたしは、事件解明に乗り出すのであった。

タイトルの由来は、作中の次の言葉が語っている→

「他殺じゃないですよね?犯人の出入りした靴跡がないんだから。仮りに一歩ゆずって雪の降る前に忍び込んでいたとしても、足跡をつけずに逃げることは不可能です。西洋の商売の神様のマーキュリーは、羽根の生えた長靴をはいていたそうですが、犯人も空中を飛ぶ靴でもはいていたのでしょうかね」

空を飛んでやってきて、殺し終えるや、再び空の彼方へ飛び去ってゆく…。
…ああ、悪魔の夢想を喚起する、なんてゾクゾクするイメージなんだ!

わずか40ページの短編だが、作者は予想外の結末を用意していた!

見事な作品である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2010年12月18日
読了日 : 2010年12月18日
本棚登録日 : 2010年12月18日

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