自省録 (岩波文庫 青 610-1)

  • 岩波書店 (2007年2月16日発売)
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感想 : 278
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今まで読んだなかでもっと美しい本。
文学的高みを極めた本は何冊か読んだことがあるけど、これほど愛おしく、無駄ばかりで人間味のある本ははじめて。
恐らく栗本薫さんのグイン・サーガのアキレウス帝のモデルがマルクス・アウレーリウスだと思われる。
哲学者の皇帝として仁政で知られるが、到着時代がローマの威光に陰りがではじめた時で、意に反して戦争に明け暮れた皇帝だった。
この本は遠征先で自分宛に綴ったいわば日記のようなもの。その言葉は飾り気なくソリッドで美しい。そして度々皇帝の心のうちの弱さを包み隠さず吐露している。
各巻で文体が変わるが、最終巻は比較的キチンとまとまった文章で、正直この巻だけは面白みがなかった。もしかすると、後年の写本や編纂の手が一番加えられたのかもしれない。

無人島に流されるなら、本書とモンテクリスト伯、そしてディフェンスを持っていく。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2019年1月17日
本棚登録日 : 2019年1月17日

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