ーーーいちばん大切なことは 目に見えないーーー
2022年最後の日 12月31日に この愛すべき『星の王子さま』の感想を記せることに感謝します。有名な作品なので、読んだことのある方も多いことでしょう。自分は、昔、内藤濯(ないとう あろう)訳で読みましたが、今回 河野万里子訳を初めて読み、あとがきを読み、知らなかったことを知ることができました。
河野万里子訳 巻末の訳者 あとがきは、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの生きてきた道と思想がわかりやすく記され、作品の背景が示唆されてます。
訳者あとがきでは、冒頭の献辞「レオン・ヴェルトへ」のことにもふれられていて、長年の疑問(「レオン・ヴェルトって誰だろ?寒くてひもじい思いをしている…。」)が払拭されました。
ここに、「献辞」を抜粋いたします。
献辞
レオン・ヴェルトに
この本を、こうしてひとりのおとなにささげたことを、子どものみなさんは許してほしい。なにしろ大事なわけがある。この人は、この世でいちばんの僕の親友なのだ。もうひとつ。おとなだけれど、なんでもわかる人なのだ。子どものために書かれた本でさえ。そして三つめ。この人は今フランスに住んでいて、おなかをすかせ、寒い思いをしているので、なんとかなぐさめてあげたいのだ。それでもみなさんが納得してくれないなら、この本は、昔子どもだったころのその人に、ささげるということにしたい。おとなだって、はじめはみんな子どもだったのだから。(でもそれを忘れずにいる人は、ほとんどいない)そうして献辞は、こう変えることにしよう。
小さな男の子だったころの
レオン・ヴェルトに
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p28~「バオバブの木」の箇所抜粋~
王子さまの星にも、ほかの星と同じように、いい草と悪い草があった。そうしていい草にはいい種が、悪い草には悪い種ができる。でも種は目につかない。土のなかでひっそり眠っている。やがてどれかひとつが、目をさまそうかなという気になると、(中略)小さな王子さまの星には、まさにそうしたとんでもない種があった…それが、バオバブの種だったのだ。(中略)星はとても小さいから、そんなバオバブが増えすぎると、ついには破裂してしまう。(中略)
〈子どもたちよ!バオバブには気をつけろ!〉長年なにも知らずに危険と隣り合わせてきたことを知らせるためなのだ。(中略)
2023年 1月現在も戦争が続いている今、第二次世界大戦を経験した著者からのメッセージが届いているような…。→「気をつけろ!」
そんな気がしたので、紹介しました。孫子の『兵法』にもあるように、無用な戦はできるだけ避けたいものですね。報道を見ると悲しくなるので…メッセージが強くなりすぎたかもしれません、失礼しました。
- 感想投稿日 : 2022年12月31日
- 読了日 : 2023年10月21日
- 本棚登録日 : 2022年12月31日
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