ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1999年5月14日発売)
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感想 : 210
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短編6作品
ブラジル蝶の謎:被害者はサラ金社長の弟、社長は既に他界している。被害者は瀬戸内海の離島で社会と完全断絶していた。現場の豪邸は社長のコレクションの蝶が無数に貼り付けられていた。なぜ蝶なのか、なざ天井なのかの追求に火村と有栖が臨む。鮮やかな蝶の絵が思い浮かんでしまい方法や機会の推理を妨げられた。謎の解明はスマホ。最後に火村の言葉、人を殺したいと思ったことがあるから・・・

妄想日記:自分が起こした交通事故でノイローゼになった被害者は地下室で暮らしていた。その被害者の屋敷で火だるまになって死亡した事件。動機と方法は推測がついたと思っていたがチョット違っていた。記号の日記は関係するのだろうか?なぜ火だるまなのだろうか?ゴムをなぜ使っていたのか?疑問が火村と有栖によって明らかになった。

彼女か彼か:女装趣味の男が被害者だ。その男と揉め事を起こしていた3人が容疑者。恋敵、いとこ、隠し子の3人である。現場は被害者の自宅マンション。それぞれの証言をよく読むとおかしな点がある。それに気づく楽しみがある作品だった。

鍵:社長秘書が殺される。社長の別荘が現場である。遺体のそばに落ちていた鍵が謎解きのカギとなる。
鍵は何の鍵なのか、金庫や宝石箱や楽器やドアのような実用性(?)のある鍵ではない。中世ヨーロッパがヒントとなる。その鍵が動機を指し示している。

人喰いの滝:岩手の千人滝に老人が落ちて死亡するところから始まる。自殺なのか他殺なのか?前年の夏に同じところで女優が落ちて死亡していたが遺体はあがっていない。火村と有栖によってこの2つの点が線となり謎が解かれていく。トリックが秀逸だと感じた。

蝶々が羽ばたく:火村と有栖は北陸旅行に行くことに、火村が電車に遅れたために有栖一人が先に向かうが、偶然乗り合わせた紳士が35年前の謎の男女蒸発事件の2人を見つける。その紳士は途中で下車、有栖は火村と合流し、話だけで推理していく。

どの作品も面白い、楽しめた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 有栖川有栖
感想投稿日 : 2022年9月28日
読了日 : 2022年9月28日
本棚登録日 : 2022年9月26日

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