英国庭園の謎 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2000年6月15日発売)
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本棚登録 : 2895
感想 : 205
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短編6作品。
雨天決行:題名からすると雨の日の犯罪をどう暴いていくかといったところかと想像を巡らせ読み始める。まさか運動会や遠足ではあるまい。雨天の意味は全く違った。そうだ、有栖川有栖がいるのだった。

竜胆紅一の疑惑:作家の名前を題名にしているあたり内容を推測しながら読んでしまう癖がある。竜胆という題名から、秋、青紫色の中に目立つ真紅、有名作家の推しといったイメージを持って読み進めた。紅一というと放火だろうか?しかし、予測は少しずつ外れていた。

三つの日付:火村、有栖、刑事森下からアリバイ証言を求められた有栖、いつものように同席している火村、この3人が喫茶ナスカで会話していく。3年前の事を思い出すにつれ真実が見えてくる。この形式は新鮮味がある。

完璧な遺書:犯人視点で書かれている。衝動殺人を隠そうと自分では完璧だと思っていることほど、綻びがある。完璧な事は起こる確率は低いのが世の常だ。将棋と同じで一手ごとにスキが増えるのである。ワープロの単語登録で天才と打てば有栖川有栖と出るようにしていたことがあるの件は笑えた。

ジャバウォッキー:1本の犯罪予告電話から火村はいたずらではないと考える。電話の内容は支離滅裂だが、そこから居所を推理していく。言葉遊びは嫌いではない。時間制限が緊迫感を高めてくれる作品だ。

英国庭園の謎:高級スーパー創業者発案の宝探しゲーム中にその創業者が殺される。その宝は自慢の英国庭園のどこかにあるが暗号が難解で、火村と有栖が挑む。

どの作品も読みごたえがあり楽しめた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 有栖川有栖
感想投稿日 : 2022年9月26日
読了日 : 2022年9月26日
本棚登録日 : 2022年9月20日

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