最後の家族 (幻冬舎文庫 む 1-20)

著者 :
  • 幻冬舎 (2003年4月15日発売)
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本棚登録 : 792
感想 : 70
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ひきこもりの長男を抱えて、崩壊の一途をたどるばかりのとある家族の物語。
社会派サスペンスのような要素が強く、ぐいぐい読み進めてしまいました。
この内山家は、ひきこもり長男の秀樹はもちろん、父親も母親も、そんな家族にうんざりしている女子高生の知美も、全員が全員に寄りかかり切っている印象があった。
私が育ってきた家庭も問題だらけでほぼ似たようなものだったので、誰に感情移入したかと言えば知美かな。
一刻も早く脱出したくてしかたがなかった。
そんな気持ちばかりが先行してしまう多感な女子高生を、導いてくれるような立場にあたる近藤にも好感がもてます。
宝石デザイナーへの夢、道、現実。近藤の言葉は静かに私のなかにも沁み渡りました。

家族はどうあるべきなんだろう。家族ってなんなんだろう。残酷で暗くてそんなことばかりぐるぐる考えさせられる話でしたが、あの形の結末はベスト。むしろあれ以外に無いベストな結末だった。
家族って到達点ではないんだ。必ず全員個人としての人生があるし、子供はそこからがすべてのスタート。
内山家のドライな後日譚はいくらかさみしいかもしれないけれど、家族の先にあるのがてんでバラバラの希望と未来でもそんなの全然かまわないんだと思えました。
家族はただ家族なんだから。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年7月27日
読了日 : 2017年7月10日
本棚登録日 : 2017年7月10日

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