読んだことあったかな、と思いつつ読んでみたけど多分読んだことなかった。
角田光代さんの短編集。ちょうど10年前に刊行されていて、今の彼女の作風との違いも楽しめました。
「花畑」はネガティブ炸裂しまくりでびっくり。ここまで暗鬱としてると寧ろ逆にポジティブになれそうです。
「誕生日休暇」もそこそこ暗いんですが、静かな穏やかさなんかも感じられて良かった。ひねくれてて、だけどちょっと素敵な非日常。
最後の「海と凧」では主人公にすごく感情移入できて、思わず私まで自身の記憶を掘り返す作業をしてしまいました。
総じてどの話も叙情的でひどくノスタルジックです。挿絵もいい味出してた。
作者のあとがきにもあったように、理由なんかまったくないけれど、自分の中にはふとした瞬間にいつでも鮮明に思い出せる風景と気持ちがあって、そしてそれはけっして失われないものなんだ、と痛感できたしかな心強さを覚えました。
切り取ったようなその瞬間はなるほど夢のようです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(国内)
- 感想投稿日 : 2014年9月26日
- 読了日 : 2014年9月26日
- 本棚登録日 : 2014年9月26日
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